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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
仮想の沙汰も金次第
215/218

開拓開始

「……森だな」

「森だね」

「森……だな」

「森ですね」


 ゼツヤ、ミズハ、サターナ、チアキの四人は森に立った。

 ゼツヤは相変わらずの青のアイボリーの服装。

 ミズハは若干ステージ衣装っぽくなったもの。

 サターナは黒いロングコートと、鎖のようなアクセサリー。

 チアキは着物姿だった。


 ダブルデートのようなメンバーだが、これで問題がないのだから妙な話である。

 いや、問題があることに、無意識に目を背けている結果とも言えるが。


「それで、どうするんだ?」

「サターナとチアキは近くにいるモンスターを倒しておいてくれ」

「ゼツヤ君はどうするの?」


 ゼツヤは眼鏡を取り出して、それをかけて、きょろきょろした後いう。


「このあたりを開拓しよう。かなり遠いところまで行かないと平原にたどり着けない」

「その眼鏡は?」

「『千里鏡(せんりきょう)』というものだ」

(がん)じゃないの?」

(きょう)だ」


 と言うわけなので、開拓をすることになった。


「さてと、まずはこれで」


 ゼツヤがとりだしたのは火炎放射器だ。


「「「ちょっと待て!」」」

「え、どうした?」


 ゼツヤが『何?』と言いたそうな顔で三人を見る。


「どうしたじゃないよ!」

「ゼツヤ。お前、森を焼く気か!?」

「私たちはモンスターを倒しに行くのですよ?その森を焼くというのはどういうことですか!?」


 正論である。

 だが、ゼツヤは普通に答える。


「……いや、こっちの方が早いだろ。普通の火炎放射器より強力だし」

「まず、その『普通の火炎放射器』がどういうものなのか知らないんだけど」

「いやでも、お前らが着てるそれ、俺がちょっと前に改造した奴だろ?それなら、火炎耐性があるから問題がないはずだが……」

「「「そう言う問題ではない!」」」


 どこの世界に、自然破壊を率先して行う奴がいるというのだ!


「別に森を全部焼くわけじゃないって、必要なところを焼くだけだ。ちょっと開拓するだけなんだし。。早い方がいいだろ」

「いやでも、なんていうかな。斧ってないの?」

「そんな非効率な無機物持ってくるわけないだろ」


 三人は絶句する。

 思えば、三人のエッセンススキルは技術的と言うより、本人の体内ですべてが完結するタイプのものだ。

 ゼツヤの場合、もともと生産に手を出していたというのもあるが、色々な部分が頭おかしい。


「……俺達の迷惑にならないように作業しろよ」

「勿論だ」


 あきらめたようなサターナの言葉に、ゼツヤは頷く。

 そして、木の近くに行って、火炎放射を起動。


 『炎』ではなく『レーザー』が出てきて、木の幹を貫通。

 一本だけではなく、その奥にある木も、まとめてなぎ倒した。

 ズン……ズン……と、木が倒れているような音が連続で聞こえてくる。


「あ、出力ミスった」

「「「アホか!」」」


 さっきから三人の心が一つになっている気がする。


「何だあの威力は!」

「いや、火炎放射器なんだけどな。何かできそうだったからやってみたんだ。昨日試射したばかりだったの忘れてた」

「忘れちゃだめだよ!人に向けたら一発で終わるよ!」

「でも、普段からゲームの中で人に剣や銃を向けてるんだ。別に放射線をぶつける訳じゃないんだし、火炎放射機なんておもちゃだろ」

「おもちゃの威力じゃないですよ……」


 ……サターナは『ん?』と思った。


「剣は分かるが、銃なんて作ってるのか?」

「たまにな。地平線の向こうだって狙えるぞ」

「物理的におかしくない?」


 いや、そう言う問題ではない。


「実用レベルのものが普通に作れるのか?」

「まあな。一応システム的に作れないと言っているだけで、実は作れるものはそれなりに多いぞ」


 三人は『聞きたくなかったそんな話』と言うかのようにげんなりした。


「ところで、モンスターを倒しに行かないのか?」

「……ミズハ。しっかり見張って置け」

「分かった」

「チアキ。行くぞ」

「うん」


 サターナはチアキを連れていった。

 そして、三人は思う。

 『ゼツヤをリーダーと考えるのは止めておこう』と。

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