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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
仮想の沙汰も金次第
213/218

女の勘がいいのはフィクションの中だけで勘弁してくれ

「会いたい奴がいるから、そのための剣を作れって……」

「そもそも、何故剣なのですか?」

「セトナ。一体いつ来た?」

「ワープリングを渡している相手に関しては、工房に入るだけならセキュリティは皆無ですので」


 そういやそうだった。


「まあそれはそれとして、質問の答えだが、ダムアが合いたいプレイヤーがいる部屋は、特殊な扉でできているんだ」

「特殊な扉……」

「『開錠』スキルを所持した剣が必要になる」

「切りつけると同時に開けるのですか?」

「まあそんな感じだ。プレイヤー本人が開錠スキルを持っていても意味はなく、剣が持っていることに意味があるらしい。で、セキュリティ云々の問題で、そう言う剣が出来るんだとさ」

「剣である必要はあるのでしょうか、槍でも斧でもいいと思いますが……」

「ダムアは『片手剣』のスキルしか武器スキルを持ってないからだ」

「ああ。なるほど」


 一体どういうふうに作ればそうなるのやら。


「できるのですか?」

「すでに作って渡した」

「……そうですか」

「自動生産施設が整っているからな。はっきり言って、素材なんて有り余ってるんだ。それに、その程度のものならいくらでも作れる。まあ、ダムアが俺に頼んでまで会いたい奴がいるって言うのもちょっとは気になるがな」

「そうなのですか?」

「ダムアは人に何かを頼むことを躊躇する人間ではもともとないんだが、それでも、あそこまであっさり頼んでくるとは思わなかった」

「ダムアさんも、あなたが苦労すると思っていなかったのでは?」

「その可能性もあるけどな」


 ダムアは経済と言うものを見ることにおいてかなりの実力者だ。

 経営者としてもすでにやって行けるだろう。行動力と言う意味ではすでに持っている。

 それ故に人脈も広く、敵も多いが、逆に言えば、それらを使えば大体のものはそろうのだ。

 ゼツヤにアイテム関連で頼んでくるのは別に不思議なことはない。

 知り合いならそれ相応の優遇するだけだし、ゼツヤ視点ではあるが、対したアイテムではなかった。

 だからこそ普通に引き受けた。


 とはいえ、珍しいことであることに変わりはない。


(変わったな)


 昔を思い出して、そして、変わらなかったら逆にすごいだろうな。と思いながら、ゼツヤは溜息を吐いた。


「ところで、セトナは何をしに来たんだ?」

「今でも狙っていますから」

「それは私が許さないよ!」


 ゼツヤとセトナは工房の出入り口を見る。

 そこには、肩で息をするミズハがいた。


「……なぜあなたは分かるのですか?」

「勘だよ」

「あなたのその勘のシステムは知っていますが、離れている相手の状態をどうやって知るのですか?」

「ん?簡単な話だよ」

「え?」


 ミズハは普通に話し始める。


「近くにいる人の判断に関しては確かにエッセンススキルだよ。でも、遠くにいる人に関しては、本当の意味で『女の勘』なんだよ」


 最強である。

 セトナは頬をぴくぴくさせて苦笑しながらゼツヤを見る。


「大変ですね」

「まあな」


 どこにいても悪いことはできないのだ。これ以上の悪夢はない。

 一番怖かったのは、生放送でミズハが歌っている時に、本人からメールが来たことだ。

 しかも、メールのやり取りで普通に会話まで出来た。

 あれは本当に怖かった。

 あとで調べてみると、メールは『予約送信』だった。

 ゼツヤが何を返答するのか、それが会話する前から分かっているのである。

 ここまで来るともう逃げられない。


「だが、適度な現実逃避は必要だろ。王女ならわかるんじゃないか?」

「ここまで面倒な相手はいませんよ」


 でしょうね。

 ついでに言うと、セトナのエッセンススキルを使うと、相手のプレイヤースキルが機能効率が悪くなるが、こういう女の勘と言うのはそう言う分類ではないのであまり関係はない。

 まあ、妙な話だが、もうあきらめるしかないのだ。

 何の予備動作も準備もなく、真実を知る。

 それがどれほど理不尽な力なのかはまだ自分でもわからないが、自分の上位互換のような気がしなくもない。


「ミズハさん」

「む?」

「セリュアル王国は貴族・王族限定で一夫多妻制が存在する国です。セリュアル王国の国籍を取得すれば、公的に二人とも妻になれますよ」

「いや君も何言ってんの?」


 ミズハは数秒考えた後、叫ぶ!


「ゼツヤ君は渡さーーーーーーん!」

「……えぇ?」

「国籍を得るってなったら、必然的にセトナが正妻じゃん。それは許さないよ!ゼツヤ君の未来は私のものだ!」

「それもそれで横暴じゃないか?というか、多分可能だからやめてね」


 なんだこれは。


「ですが……」

「ですがも何もない!ゼツヤ君と『ピー』したり『ピー』を『ピー』したり、『ピー』をやったり『ピーーーーーーーー』をするのは私なの!」


 アイドルの口から出ているとは思えないほどヤバいことなので自主規制させてもらった。

 セトナは……顔を真っ赤にして部屋の隅で震えていた。

 どうやら、攻撃力はあっても防御力はないようだ。

 まあ、ミズハは攻撃力が高いからな。

 防御力はそんな高くないんだけど回避力が高いのであまり意味はない。下手するとカウンターも跳んでくるけど。


「フフフ、温室育ちの娘に、アイドルの苦労は分かるまい!」

「ちょっと文脈整理してからしゃべったらどうだ?」


 先ほどからトップアイドルとしてのイメージが崩壊している。

 まあ、ゼツヤは最初からアイドルとしてミズハのことを見ていなかったが。


 まあそれはそれとして。


「ダムアが何をしてるのか見に行ってみるか……」


 ゼツヤは、そうそうに逃げ出したくなっていた。

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