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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
オーシャン・アップデート
204/218

アイドルのステージ。主人公は不在

 ミズハはアイドルである。

 これは設定としてはみんなも知っているだろう。

 そしてある程度の人気があることも知っているだろう。

 まあ、そう言うカリスマはあるし、勘でファンの考えを何となく予測できるというある意味反則技を使えるので当然といえば当然なのだが、彼女はアイドルだ。


 本名は桐谷桜で、芸名もこちらで通しているのだが、彼女だけのステージで、四万人くらいのファンが来るというのだから、一種の社会現象である。

 ちなみに、それだけ人が集まるということは、逆に言えばファンの数もすさまじいということだ。

 そんな状態のアイドルと交際している、と言うのはなかなかすさまじい印象である。


 ……ちなみに、リオがメディア操作をして、アイドルの恋愛に関しては若干酷評具合が緩和されているのだが、アイドルと言うのは偶像なもので、なかなか抜けきらないものだ。当たり前である。


「すごいなぁ……」


 当然、VRMMOプレイヤーの多くも、桜のライブを見に来ることはある。

 竜一もそうだと言えばそうなのだが……今回はとある海上でいろいろやっていた。


「なんだろうな……普段とは雰囲気が違うって言うか……」


 主人公の相棒である道也も、桜のライブは見に来る。

 ちなみに、あれから神無月千秋と付き合い始めてリア充になった道也だが、桜のライブは見に来る。

 怒られないのか?と言われるかもしれないが、桜本人の恋愛事情を知っている千秋も、一応起こることはない。


「そう言えば竜一は?」

「今ステージで歌ってるやつの誕生日プレゼント作ってる」


 レイフォスもとい、荻野光矢が首をかしげて、道也が即答する。


「へぇ、誕生日プレゼントねぇ……何を作ってるんだ?」

「……視察に行って来たが、そうだな。水上のテーマパークのような場所だった」

「誰が運営するんだ?それ」

「すべてのシステムをマジックアイテムにして自動化するみたいだな。だから余計に時間がかかるらしい」

「なるほど……ん?マジカルストーンって足りるのか?」

「最近、自分で作れるようになったようだ」


 素材から何かを生み出すのが生産職と言うものだが、とうとう素材そのものも普通に作れるようになってしまった。


「海から取れた素材を使えば簡単に作れる、と言っていたな。まあ、アイツの剣のおかげで作業時間を短縮できるから、それがあるからこそのやり方だろう」

「……なんともまぁ……骨の折れる仕事だな」

「空から落ちてきた角材が腰に直撃してHPが半分くらい吹っ飛んだらしいぞ」

「折ってんじゃん」


 と言うかよく無事だったな。


「それにしても、こうしてみるとすごいアイドルなんだが……日常を聞くとじゃじゃ馬だな……あ、目が合った」


 光矢と目が合って、しかもウインクしてきた。

 ……あとでヤバいかもしれない。

 何をしてくるのかは想像できないけど。


(こうしてみる分にはいいんだけどなぁ……)


 なんとなく、可愛そうな主人公になったものだと、ステージで踊っている桜を見ながら思うのだった。


 ★


 その頃のゼツヤと言うと……。


「いつつ……角材が頭に振って来るとは思わなかった」


 ゼツヤは頭を抑えながら悶絶していた。

 ある程度基盤は出来た。

 時間はかなりかかったが、ここからは流れ作業で行ける。

 んだけど、作業量が……。


「ちくせう……受験生だってのに、でもミズハの言うことは聞いておかないとひどい目にあったからな」


 文面から察するに実体験なのだが、突っ込まない方がいいだろう。


「ええと……少なくとも建物が百軒は普通に立てることはできるな。水路も十分に確保した……あぶねえ!」


 後方にジャンプすると、上から空中に用意した水路が落ちてきた。

 なんか端の方でボッキリ折れている。

 のだが、落ちてきたというのに、通路部分だけは傷一つない。


「ジョイント部分がもろかったのか?いや、数値データの世界だってのに、そんなバランスは……あ、柱が足りなかったのか……」


 基盤は若干甘かったようだ。

 しかも……。


「しまった。今は試運転で水を流しているんだった」


 文字通り、上から水が降ってきていた。

 水圧がすごいのか、降ってきた先にある建物がヤバいことになっている。


「うおおおおお!!!!!」


 ワープをして水の制御装置を操作して止める。

 そして、被害状況を把握して、すぐに直す。


 のだが、三日くらい前からこの作業だった。

 はっきり言ってもぐらたたきである。


「……はぁ。何時になったら終わるんだあああああああ!」


 中途半端にチートな彼は、こういう時につらいのである。

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