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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
オーシャン・アップデート
201/218

あの運男。海の上で本気出しやがった。

「よっこいしょ!」


 操縦桿を倒して、鉱石をゲット。

 相変わらず単純作業の繰り返しである。

 飽きないのか。と言う質問に対しては『そんなもんで飽きてたら追及とか無理』と言うことで納得してもらうことにする。


「そう言えば、最近は海上戦闘が多いみたいだね」


 ミズハがカフェオレを飲みながらつぶやいた。


「海上戦闘ねぇ。具体的には?」

「さすがにプレイヤー個人の近接戦闘力はあまり意味はないから、パワータイプの人には盾を持ってもらったり、大砲を動かしたり、あと、スピードタイプの人には、メールでは制御しきれない雑用が待ってるって感じかな」

「まあ、船だもんな」

「落ちたら大変だもんね」

「俺らは最初から海の中にいるけどな」


 落ちるのが嫌だって?なら最初から下にいろよ。と言わんばかりの言い分だが、要するにそんなもんだ。


「ただ、ジョーカーの船がすごいみたいだね」

「……だってリオが乗ってるんだもんな。大砲とかまず当たらないだろ」

「だよね」


 運がすさまじいからな。


「ただ、変な話を聞いたんだよね」

「変な話?」

「近距離でも当たらないって言う話もあるんだよね。まあ、近くに行くのもかなり難しいけど」

「……近距離でも当たらないか……」


 どういうことなのだろうか。

 遠くから撃つ場合、大砲が持っている調節システムを使用するだろう。

 リアルで大砲を撃った人間がいるはずもないし、FPSでも補助機能を使うものはいる。

 下手な弾も数撃てば当たる。とはいうが、それはリオだけである。

 ただし、補助システムを使うということは、ゲーム性の再現のために確率に縛られるということであり、そうなると、運がいいリオにはまったく当たらない。

 これは『節理の中心地点(セントラル・ポイント)』に使用制限がない、ということを考えると分かるだろう。

 ただ、近距離なら、その補助システムなど必要はない。

 普通に切ればいいのだ。

 だが、それでも当たらないということは……。


「もしかして、本気出しているのかもな」

「え、あれでまだ本気って出したことないの?」

「リオの特性っていうのは知っての通り『運』だが、運って言うのは、基本的には二種類なんだよ」

「そうなの?」

「簡単に言うと、自分だけか、他人も巻き込むか。この二つだけだ。で、エッセンススキルを持っている人間は、大体、自分の中だけで完結するタイプの運を持ってる」

「……?」


 まあ、この説明で分かれば苦労はない。

 ……が。


「エッセンススキルは『自分の特性に気付くための運』ってこと?」

「おおざっぱに言うとそうなる」


 勘のいいミズハは、それだけの説明で理解できるのだ。

 少なくとも、自分にとっては分かりやすい言葉で。


「リオの場合、その運は他人にも影響する」

「じゃあ、相手の運を下げることができるってこと?」

「逆に上げることもできる」


 リオの真骨頂はそこだ。


「だが、普通は他人に対する運の操作を行うことはない。と言うかできない」

「できない?」

「他人が持つ運の固定力はすさまじいみたいだ。だから、かなり近距離なら可能だが、それ以上はできない。そして、そこまでリオに取って融通が効くものでもない」

「そこまで影響力って強くないんだ」

「リオは普段、『自分の成功確率の上昇』を行うが、勝者と敗者って言うのは常にどちらも存在する。普段なら、これだけでいいんだが、チーム戦となると妙なことになるからな」

「チーム戦かぁ……でも、自分のチームの有利になるんでしょ?」

「ならない」

「え、ならないの?」

「チームとしての勝利は、リオは確定できない。勝敗を左右する重要なポジションに立つだけで、リオがいるから勝つという確定はない」

「へぇ……」


 運がいいのは確かだが、基本的にはリオ本人のみの話である。


「リオの本気って言うのは、切り札『統括』のことだ。効果としては、『自分が認識した確率を自由に設定できる』のことだよ」

「面倒だよね」

「ああ。あれを使った時のリオは、まさしく最強だぞ」

「戦ったことあるの?」

「俺が本体を出さない理由の一つに、『リオを相手にしないため』って言うのがある。実際には『統括』を相手にしないためっていうのが本音だ」

「もしかして、普段の会社の経営でもそうなの?」

「使っていると思うぞ。世界の金の三割か四割か、どっちか忘れたが、それくらいの資金を集めることができる人間が普通のはずもない」


 資金、情報、武力。

 この三つがあればかなりの強者といえるが、運が足りなければすぐに崩れる。

 よく、裏の支配者とか、そう言った連中がいるが、そういったものは圧倒的な運を持っている。

 リオは、それ以上のものをも言ってるのだ。本名はただのモブの癖に。


「でもなんで、本気を出してるのかな」

「出しても影響力が少ない時は使うことは多いぞ。まあ多分、くだらない理由で使ってるんだろうな」


 最近は子供も生まれたしな。と、ゼツヤは思っていた。

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