船の名前についての議論(第四の壁崩壊)
機能性、と言う点において、オラシオンに任せておけば問題がない。というのはNWOプレイヤーの総意と言っても過言ではない。
だが、ネーミングセンスにおいてはいろいろ思うことはあるだろう。
NWOにおいて、モンスターの名前が神話や伝説などから引用したものである場合、攻略難易度が同じくらいのダンジョンであってもモンスターだけは強いというのがよくある。
まあ、これくらいのことでいちいち文句を言っているとゲームなどできないのだが、それはそれとして、名前を決めることができるものとできないものがある。
プレイヤー名とギルド名は当然プレイヤーが設定できる。
アイテムに関しては多くの場合は決めることはできないのだが、一定以上の大きさ。というか、建造物クラスになるとプレイヤーが設定できるのだ。
そして、船も可能なのである。
「というわけで、大海原に乗りだす前に、『船の名前を先に決めておいて黒歴史を作らないための会議』、略して『SNC』を行う!」
「ゼノン。そんな長い議題名を出すような奴に呼び出される元凶が俺であることに納得ができないんだけど」
傘下の多い、それこそイギリスがやったブロック経済すらも可能なギルド『アンフィニッシュド・レギオン』ギルドマスター『ゼノン』の会議開始宣言に、ゼツヤは反論した。
ちなみに、ゼノンが発表するときの題名は『議題名と内容がほぼ同じ』である。
まあ、その方が分かりやすいのだが、それだと幹部が困るので略してほしいということになった。
「……僕としては、どうして『SNC』になるのかが気になるけど」
無駄に広い拠点を持つ『ジョーカー』のギルドマスターのリオが呟いた。
ゼノンは簡潔に答える。
「簡単です船の『ship』と名前の『name』と会議の『conference』のそれぞれの頭文字からとりました。さっきの議題の英文を考えるのがめんどくさくてグ○グル翻訳したら長かったので簡潔にした結果です」
「それって君の事情じゃなくてレルクス側の事情じゃないのかい?」
リオ。メタいことを言うんじゃない。
「それはそれとして、進めようぜ。まあ、皆時間があるタイミングを狙っているから雑談しても問題はないけどな」
レイフォスが苦笑しながら言う。
ゼノンが頷く。
「さて、続けよう。文字通り、ゼツヤのネーミングセンスのなさによって変な名前を付けられないようにするために話しあう。ちなみに、各々で決めて個人で名前を提出すればいいのではないかと言う質問があるだろうから答えるが……」
ゼノンが溜めを作り。
真顔でこういった。
「俺の出番の確保だ」
さいですか。
「主人公であるゼツヤ。彼女であるミズハ。相棒であるサターナはなんかレギュラーっぽい感じで、チートキャラのリオも名前だけ出て来るときはある。だが、ぶっちゃけた話、それ以外のメンバーはレルクスの文才の低さもあって全然出てこない。前章では、ORACLE・ZEUSを倒す時にぽっと出番復活してきたダマスカスのチーム。ロスト・エンドが出てきたが、リーダーであるダマスカス本人が出てこなかったくらいだからな」
「……レルクスの文章力のなさは今更じゃないか?」
竜一たちが通っている学校、沖野宮高校の生徒が多く所属するギルド『リトル・ブレイブス』ギルドマスターである大剣使い、バスターが呟いた。
「文章力がないだけならいいが成長しないからな。しかも後付けの設定が増えていくからどんどん矛盾点も多くなる。というか、この小説が始まって五話で十人くらいクラスメイトが集まって、その三話くらいあとに全員のキャラネームが公表されたのにそれ以降ほとんど出場せず、しかも三十話くらいで一人増えた」
バスター。もうそのあたりで止めて置こうぜ。
「まあ、文字数稼ぎは終わりだ。会議を始める。どんな名前にするのがいいか話しあおう。まあぶっちゃけ、よほどひどくなければ何でもいいんだが、このままだと『ゼツヤは生産力はあるがネーミングセンスは皆無』ということがモブにも暴露されることになるからな」
「ゼノン、本音出てる」
それはそれとして、重要ではある。
「○○船うんたらかんたら。見たいな名前だったり、○○丸になったりするからな」
「表記だと『○○丸』だが、実際言ってみると『まるまるまる』だから聞いただけでは一瞬わからんかった」
「アニメ化されたとしたら字幕必須だな。ラジオどうするんだろ」
「作品のクオリティから考えて無理だからスルーするぞ。基本的にはその中から二種類だ。外国船だとうんたら号になったりするな」
ゼツヤも思いだした。
「タイタニックとかだな」
「沈没船を例に出すな」
「でも俺ほかに知らないけど」
「お前本当に船作れるの?沈没船ができるんじゃないか?」
「大丈夫だ。問題ない」
この時、ゼツヤ以外の参加メンバーは『少なくとも一隻は沈むな』と思っていた。
「というか、そもそもゼツヤってネーミングセンスがひどかったっけ」
「安直すぎるからな。まあ、そもそもレルクスのネーミングセンスを反映しているからどうしようもない部分もあるけど」
「レルクス、ハーメ○ンでオリジナル世界の遊○王小説書いたけど、名前はひどかったな」
「主人公の名前、宮襟遊世だが、最初は『よ』じゃなくて『せ』だった。アニメの三代目とものすごく被るから急遽『よ』にした裏設定がある」
「……大丈夫なのかね」
……そんな感じで数時間後。
「……もうそろそろ12時来るけど」
「なら、『あらかじめ皆には伝えておいた』が、自分のギルドの船の名前を書いた紙をゼツヤに提出してくれ」
「いやちょっと待て。それを言うと会議を開いた意味が無いぞ!」
「いいんだよ。今回は俺の出番のためなんだから」
ゼノンは何の躊躇もなくそう言った。
さて……多分カオスなことになるだろう。
……いつも通りか。




