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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
国賓だと?どっからでもかかってこいや!
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難易度とモチベーションの関係

 人と言うのは、モチベーションが下がるとすごくやっていることをつまらなく感じるものである。

 まあ、当然と言えば当然だ。

 そもそも、つまらないことをしているからこそモチベーションが下がるということもあるので、今更議論する必要のないことなのだが、それでも言いたいことはいろいろある。


 難易度との関係性だ。

 人は特定の病気や体質を持っていない限り、呼吸することを困難だというものはいないだろう。

 ……あ、状況もあるな。流石に水中では呼吸はできない。

 いや、そう言うことが言いたいわけのではない。


 難易度が高いとモチベーションが上がる人と下がる人がいる。

 難易度が高い場合、ゼツヤ(表面)の場合はすごく下がる。ゼツヤ(本体)の場合、すごく上がる。

 まあ、これは設定した性格の問題である。


 ただ、難易度がすごく低くなった時、もしくは、本来なら高かったはずなのにいきなり急激に低くなった時、モチベーションはどうなるだろうか。

 決まっている。


「なんていうか……拍子抜けだな」


 ゼツヤは会議室でそう言った。

 まあ、なんというか、言葉通りと言うのだろう。すごく終わるのが早かった。

 なんと、会議時間に三十分。会議終了から三時間で拠点を発見。発見してから五分で必要戦力を整えて、そこから三十分くらいで拠点の制圧→再起不能状態という、何とも言えないスピード勝負だった。

 無論、限度を踏まえたうえで自重はしないレベルといったスペックのアイテムを量産して渡した。

 結果として、なんだろう。すごくつまらない感じになったのだ。


「まあ、一応、依頼達成って言うことにはなるからさ。報酬としてアイテムはこれ以上につくるぞ。戦闘系と偵察系ばかりだったから、日常系だったりとかいろいろ作るけど」

「それに関しては魔法具を作ってほしいところじゃのう。特に収納関係じゃな。運搬容量が多くなれば有利になる部分も多いことはお主もわかっておるじゃろ」

「だな。運搬かそれならこれ使うか?」


 見せたのはベアリングだ。


「ほう、ベアリングじゃな。少々大きいが、馬車用ということかの?」

「まあそんな感じだな。そっちの運搬技術、俺がアイテムを作って渡した時の反応から察するに、今でも馬車、良くてもそれを魔法で強化したものだろう」

「それもそうじゃな。ただ、反応を見ただけで分かるものかのう……」

「まあな」


 そもそも、ゼツヤは表面の人格を出している時、全集中力の内の七割を使っている。

 かなり頑張ってあの人格を作っているのだ。

 ただ、ミズハが言うには『表面も本体も私から見ればあまり変わらないけどね』と言われたのだが、当然といえば当然だ。表面であっても本体であっても、どこからどこまでを許容範囲とするか、と言うラインが少々違うというだけである。

 ただ、本体の方がやや自信家になるというだけの話だ。

 どちらにせよ。根本的には変わらない。

 ただ、七割を使って演じていた集中力を、本体が出ている時はフルに使うことが出来る。

 その状態の場合で相手を見れば、喋ろうと黙認しようと、表情や状態の変化を全て明確な数値データとして把握できる。


 目は口程に物を言う。

 言いたいことが顔に出ている。


 そう言った言葉があるが、それを有言実行である。

 ちなみに、同じ特性を持っている父親である薫は会社では人事部の部長だ。


「とりあえず、容量が大きいアイテムボックスと、性能のいいベアリングだな。大量に作っておく」

「量はそこそこでよいぞ。というより、これ以上もらうとこちらとしてもドン引きじゃよ」

「そうか。まあそっちがそう言うんなら構わない」

「それはいいが、おぬし、これからこの世界でどうするのじゃ?」

「何もしない」

「む?」

「既に、この世界で俺の生産力は見せつけた。闘技場にも行ったが、今までのものとは別ものだったよ」


 本体サーバーにおける最高の生産職であるゼツヤが来たのだ。これから変わるだろう。


「そもそも、俺が来たのは本体サーバーにおける生産職の力が小さくないことを示すためのものだった。だから、俺がこの世界ですることはもうないといっていい」

「そうか。まあ、お主がそう言うのなら構わぬが……セトナであったか?あの子のこと。完璧に忘れておるじゃろ」

「……うん」


 正直にうなずいた。

 うん。完璧に忘れてた。


「まあ、埋め合わせはこれからするさ」

「そうか。それと、もうひとつ聞いておきたい」

「なんだ?」

「お主、本体サーバーの方とは明らかに人格が異なる。その理由は聞かぬが、今のお主の人格で、お主は一度も戦ってはいないのじゃ。確かに生産だけを見せに来たというだけのことはあるがのう」


 ああ。なるほど。


「俺が強いのかどうかってことか?」

「そう言うことじゃ」

「それに関しては……まあ、秘密だ」


 不敵な笑みを浮かべながら、ゼツヤはそういった。


「ふむ。まあいいじゃろう。ワシが踏み込む話でもない」


 そうしてくれて助かる。


 それにしても、NWOの名を持つ別の世界……か。


(なんていうか、ヌルいことやってるよなぁ)


 運営の質の差。と言うことで納得して置くことにした。

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