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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
国賓だと?どっからでもかかってこいや!
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裏技!

「さて、ここがカーティスの拠点だ」

「ここですか……」


 ゼツヤとセトナは移動して、とある場所に来た。

 彼らの目の前にあるのは、言ってしまえば『城』である。

 高くそびえる城壁、その周りにある幅五メートルくらいある水の堀、そして西洋の城がある。


「城壁、石ではなく金属でできていますよ」

「クートで買えるからな。そりゃ『金で買えるもの』は何でもそろうだろう。この光景も想定内だ」


 ただ、見せるための城など作ったことはそうそうないので、見るとしても久しぶりだ。


「一体これからどうするのですか?」

「まずは普通に入るよ。商談に来たとでもいえば普通に通してくれるだろうし」


 普通に攻め込んだとしても負けるつもりは一切ないし、この世界で使ったものと言ってもたいしたものではないのだが、それを使うだけの者なのかは見てから判断する。

 門をノックする。


『……なんだ』


 低い声が聞こえてきた。


「商談に来ました。ゼツヤと言います」

『ふむ……いいだろう。我の部屋に来るといい』


 一人称、我って……。

 門が開いたので、入ることにした。

 庭やら城やら、とにかくお金をかけただけ。言ってしまえば、『ランクが高い物』を並べただけのような雰囲気を感じる。

 かなりごちゃごちゃしているが、資金力を見せるうえでは露骨にした方がいいと言う部分もあるのだろう。

 正しいのかどうかではない。勝者であるかどうかと言うだけの話だからな。

 入って行って、上に上がって、上がって、上がって……着いた。


「なんといいますか……サングラスがほしいですね」

「あるけど」

「別にいいです」


 ぴかぴかと言うよりピッカピカだったのだ。

 確かにサングラスの存在を考えても不思議ではないだろう。

 それはそれとして、部屋にノックした後、自動で開かれたので入った。

 そこには、ひょろっとした貴族っぽい雰囲気で金髪の青年がいた。

 ゼツヤとセトナの第一印象としては『弱そう』である。


「よく来たな。まあ座ってくれ」


 まあ、座ることにした。

 うーん……カネがかかっている感じはするが、最先端と言う感じはしない。

 そんな感じのソファだった。


「我はカーチェス。この城の主だ。ゼツヤと言うプレイヤーの話はここまで届いているぞ。高性能のアイテムを作成し続けているという話だったな」

「はい。そうですね」

「商談と言う話だったな。何を持ってきたのだ?」


 と言うわけなので、いろいろと並べまくった。


 武器や防具、アイテム、インテリア系統、その他もろもろを出していく。


「す……素晴らしい。これらすべて、あなたが一人で作ったのですか?」

「ええ、その通りです」


 事実である。


「なるほど、それでは……この金額でどうでしょう」


 カーティスが掲示してきた金額は十万クート。

 レイクに換算してもその四倍である。

 ケチなのか……物の価値が分からないのか……。


「いえ、さすがにこれらにも研究費用はありますので、色を付けてほしいものでして……」

「ふむ、そうでしょうね。それでは、この金額でどうでしょう」


 と、言うことを続けていった。

 結果。

 十億クートまで上がった。

 実際問題、一億までは普通に跳ぶように上がり続けていたのだここまで来れるとは思っていた。


「商談成立ですね」

「ええ。良い買い物でしたよ」

「そうですね。そこで一つ。気になることがあるのですが、これほどの資金を集めるというのも苦労したでしょう」


 カーティスの顔に初めて動揺が走った。


「ええ。そうですな。苦労しましたよ」

「それと、一つ報告しておきたいことがあるのです」

「なんでしょう」

「発信機と言うものを御存知でしょうか」

「発信機?」

「実は、とある調査をするために、ここ最近のアイテムには、トレードが行われた場合、その相手が誰になるのかが分かるようになるようなシステムを付けてお売りしていたのですよ」

「トレードした経緯が分かると?」

「ええ。全てです」


 そろそろ確信を持っていただきたいものである。


「まあ。それはいいとしましょうか。していたといってもごく短い期間ですし。それ以上に重要なことがあるのですよ」

「そ、そうですか」

「偽金貨。というものが出回っている可能性があるのですよ。ご存じですか?」

「いえ、私は知りませんが」

「そうですか。実は、とある調査をした結果。そのような存在があることが分かったのです。そして、その証拠映像がね」


 カーティスの顔が驚愕に染まった。


「気を付けるようにしてくださいね。まあ、知らないというのであれば、あなたには関係ないでしょう。それではまたお会いしましょう」


 次の瞬間、ゼツヤはセトナの手を握った。


「ワープ・ホーム」


 ゼツヤは転移して、自分の店に戻ってきた。

 セトナの顔を見ると、何か嫌なものを見るような目でゼツヤを見ていた。


「なかなかいい茶番だっただろ」

「趣味が悪いとしか言いようがありませんが」


 否定はしない。


「ところで、証拠映像はあるのですか?」

「あるよ。俺嘘つかないもん」

「……」


 セトナは不審げな目でゼツヤを見る。


「こうなった時の俺はって言う意味だぜ。まあ見てみな」


 オーブみたいなアイテムを出して起動する。

 すると、光が放出されて空中に映像が映し出された。

 そこでは、工場みたいな感じで次々と石を偽金貨に変えていく映像が流れている。

 それプラス、鑑定したりして完璧な証拠であることに疑いの余地をなくした。


「……いつ撮ったのですか?」

「それはだな」


 ゼツヤはパチンと指を鳴らした。

 すると、ゼツヤが部屋に入ってきた。


「!」


 セトナはすごく、それはもうすごく驚いている。


「驚きすぎだろ」


 入ってきたゼツヤもあきれた目でセトナを見る。


「え……ど、どういうことなのですか?」


 セトナはすごく驚いている。

 入ってきたゼツヤと元からいたゼツヤを比べると、瞳の色以外に差はない。


「『ドッペルゲンガー』って知ってるか?あれな。アイテムで作れるんだよ」

「……」


 セトナはあんぐりと口を開けた。


「では……瞳の赤いあなたは『裏ゼツヤ』で、入ってきたあなたは『表ゼツヤ』と言う感じなのですか?」

「いや、瞳が赤い俺は『ゼツヤ(本体)』で、入ってきたのは『ゼツヤ(表面)』って感じだな」

「そうだな。ぶっちゃけた話。俺の人格は社会で生きていく倫理観を構築するために、集中力の一部を使って再現していたものだ。表面って言い方は妥当だ」


 セトナは頭を抱えた。


「……あの、まったく意味が分かりません」

「まあ、そこはオラシオンだからって感じで考えていた方がいいぜ」

「とはいっても、最初はできるだなんて思ってなかったけどな」


 このドッペルゲンガーだが、一人増やすことが出来るのだ。

 ただ、レベルは同じなのだが、スキルに関しては分けておく必要があるし、第一、表面の方の俺はこういうことをしようとは考えないのだ。


「しかし……演じていたというより、その、ええと……私は何がいいたいのでしょう」


 セトナは混乱した。


「まあ、そもそも俺がどういう思考回路をしているのかってところから説明する必要があるんだ。ゆっくり聞いてくれ。あ、表面の方の俺は出番終了な」

「わかった。まあ、どのみち、本体サーバーの方では俺が出ることになるだろうから、それまで待っている」


 ゼツヤ(表面)は消えた。


「じゃあ、説明するとしよう」

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