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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
国賓だと?どっからでもかかってこいや!
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エッセンススキルは反則か否か

 一応、そこからは四人でいろんなフィールドで戦っていた。

 戦うといっても、そこまで苦戦するような状況は一切なく、普通では考えられないペースである。


 ありとあらゆるアイテムを生み出し、準備完璧なゼツヤ。


 勘ですべてを把握し、先に行動できるミズハ。


 基礎戦闘力が平均して高く、さらに本能に寄って叩き潰せるサターナ。


 全ての相手が本気を出せないようにすることが出来るセトナ。


 サターナは基本的に使ってはいないが、使えば圧倒的な戦闘力を再現することは可能である。

 マジでもう本当に獣だからな。

 この中で二人いるだけでも様々な状況に対応できると思われるが、それが四人もいるのだ。

 さらに言えば、ゼツヤは集中による演算、ミズハは勘、サターナは性格と本能、セトナは英才教育ゆえの洞察力によって、打ち合わせはなしで連携もとれるのだ。

 あとは……そうだな。ゼツヤが作った武器が強すぎるので、ほとんどの場合すごいペースで終わるのだ。

 なんでこんなことになるのかと言うと、アイテムの性能の下方修正や、モンスターの強さの上方修正が行われないためである。

 まあ、行われたとしても、その習性を把握することが出来れば何も問題はないのだ。

 ちょっと才能があるくらいでは天才には届かない。


「あら、もうこんな時間ですね」


 セトナが時間を確認してそう言った。

 現在の時刻は『17:43』


「そろそろ戻る必要があります。今日はありがとうございました」

「いや、私も楽しかったから大丈夫だよ」


 ミズハも笑顔で返す。

 登場した時はすごかったのだが、なんだろう、セトナの人心掌握が早かったのだろうか。

 すぐに適応したようである。

 本来ならばミズハの勘が働くので、『人心掌握されている』ということを認識できるはずだが、ミズハに対するデメリットが少ないことと、エッセンススキルによってある程度性能が緩和されているということもあって、特に何も思わなかったのだろう。

 簡単に言えば相性の問題である。


 セトナが戻って行って、打ち合わせがあるからと言ってミズハも戻って行った。


「……すごい女だったな」

「ああ」


 サターナの呟きにそういうしかなかった。


「ゼツヤは、エッセンススキルは一体どういうものだと思っている?」

「リオは『潜在能力をピンポイントで認識し、それを定着させることで身に付ける技能』といっていたな。天才というより、奇才に属するって言うのがシャリオの判断だったが……俺からすれば、運がよかっただけっていうか、『本質そのものが単純だった』ということだろう」


 リアルでも使える。ということと、おそらく、エッセンススキルである、ないにかかわらず、似たような才能を持っているものはどこにでもいるだろうということだ。

 分かりやすいから、それを自分で認識できたり、他人にもわかったりするというだけの話だ。

 ただ、ピンポイントすぎると、他の人にはわからないし、周りと見える世界が違うので、違うような扱いを受けることもある。

 視覚情報であるユフィやシャリオ、思考的な部分であるサーガとクラリスはその典型だろう。文字通り、見えている世界が違うといっても過言ではないはずだ。


「ただまあ、自分の潜在能力なんて、普通に生活しているだけじゃないわからないからな」

「それはそうだろうな。人が何かを測る場合があるが、それは試験だったり、体力テストだったり、とにかく、社会に必要とされるものだけだ。そんなピンポイントな職業につかないと使えないようなものを鍛えようとはしないだろう」


 テストの答案がいいから人として良いというのなら、有名な大学に入っているものたちだけで日本を動かすことが出来る。

 だが、社会と言うものはそう言うものではない。

 人とのコミュニケーション能力や、身体能力を求められる時だって当然ある。

 常識と言うものが国を作るものだが、これがまた面倒なものなのである。


「テストでは測れない才能っていうけど、そういうものなのかね?」

「わからん。ただ、エッセンススキルを持っているからと言って、必ずしも成功するということではないがな」

「そうだけどな」


 使い方によってはいろいろあるのだ。

 例に挙げたユフィの動体視力の場合、次々と流れて来るものを把握し、違っているものを見分けるような工場では活躍できるだろうし、シャリオの場合は……まあ、アイツは基本スペックも大きいけどな。エッセンススキルでいうと、建設においては間違えることはまずないといえる。

 サーガやクラリスの場合、同時に多くのことを考えることが出来るのだから、多角的に考えることが必要な会議では重宝されるだろう。

 レイフォスのパターンチェンジは……すまん。俺にもわからん。多分どこかにはあると思うよ。


「ゼツヤは、エッセンススキルがあることを卑怯だと思うか?」

「俺の場合は精神疾患がそのままエッセンススキルにつながっているからな。そもそも、潜在能力そのものは誰にでもあるはずだろう。言ってしまえば、偏差値や身体能力が低かったとしても、エッセンススキルは持っている訳だからな」


 ……ユフィがそうなのだがな。

 そこまで頭がよくないし、身体能力も高くはない。

 だが、圧倒的な動体視力と言うものを持っている。


「サターナは卑怯だと思うことはあるのか?」

「使わない。と言うことができない以上、考える必要があったというだけの話だ。ただ、膨大なプレイヤーがいるNWOで、決勝トーナメントに出て来るのがほとんどエッセンススキル所有者であるということも変わりはない」


 それもそうだけどな。

 まあ、結局のところ、どう使うかだと思いたいのだがな。持っている身としては。

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