主人公は苦労するものだがその分自重しない
「いやー……これはすごいな」
現在、ホテルにいます。ホテルの名前は『ホテル・スペリオル』である。
無論、オーナーはリオだ。
いや、リアルなのでリオと言うのは少々違うかもしれないが……それはいいか。
ところで、画面の前の読者諸君。リオのリアルネームを覚えているだろうか。
ちなみに作者は覚えていなかったぞ。
新川修。それが彼の名前だ。
閑話休題
一流と言っていいホテルであり、なんと地上百五十階である。
高すぎて、地上付近の喧騒など全く聞こえない。
そんな空気密度の薄さすらも感じるような場所に、豪華なインテリアが充実していた。
国賓が来るということなので、中央に円卓があり、そこからいろいろとやったわけだが、本当にもう、キラキラしている。
だが、やりすぎている感じもしない。
「一体いつこんなに資格をとったんだい?」
「夏休み。全てにおいて一発合格を連発したらいつの間にかこうなった」
「高校を卒業したら僕が運営している技術系の大学に行くのもありかもしれないね」
「授業料はそっち持ちな」
「無論だ。まあそれはいいとして、よくここまで作ったものだよ」
プロが見ても素晴らしいとまず言うほどだろう。
一体どんな技術を持てば再現することが出来るのかよくわからないものが並んでいるが、まあ、分かるものにしかわからないだろう。
インテリアの配置的にバランスが悪いわけではないからな。
無論、全てインテリアの設計図を書いたのは修である。
竜一としては『自分でやれ』と思わなくもないが、貸しを作ると言う意味で引き受けた。
「で、どこの人が来るんだ?」
「セリュアル王国の人だよ。ヨーロッパの小国で最親日国なんだが……ちなみに日本語ペラペラだよ」
「だろうな。で、これからまだ俺は料理まで作る必要があるんだよな」
「うん」
うん、じゃねえよ。
「で、インテリアの方はこんな感じでいいんだよな」
「そうだな」
「っていうかさ。普通国賓って天皇陛下が相手するんじゃないのか?」
「僕が会うのはその後だよ」
さようか。
……やっぱりコイツの普通は意味が分からん。
「で、国王とか来るの?」
「国王と第一王女が時間をずらしてくる」
「時間をずらして?……ああ、同じ飛行機には乗れないもんな」
どう見たとしてもツートップだ。同じ飛行機に乗ると、可能性はかなり低いが、ミサイル一発で終わってしまう。
最近のものはすごいらしいからな。
「ちなみに、第一王女はNWOをしているらしいよ」
「世間は狭いな」
「VRMMOだから現実の距離は関係ないがな」
それもそうだけどね。
「トーナメントには出られないか。年末だから時間なんて取れないだろうし」
「そうだろうね。ただ、ネームは聞いているよ」
「ほう……」
「確か、セトナ。と言っていたはずだ」
「セトナ……ねぇ」
竜一の記憶が正しければ……。
その名前は、NWOでフレンド登録の『古い順』を選択した場合、一番上に来るはずの人物だった。




