結局一番強いのはあの男である。
「そう言えば、ゼツヤ君はエンタメってできないの?」
「現役アイドルの彼女から言われるとなんか複雑だ」
そんな感じで色々話していたわけだが、結局やるのかどうかという話になると、やるんです。
「というわけで、やっちゃおう!」
ミズハの提案により、オラシオンの地下闘技場(ホコリをかぶっていた。というレベルでは済まない放置度である)でデュエルをすることになった。
「言っておくが、俺のエンタメは少々過激だからな。そこそこ覚悟しろよ」
「主人公がそんなラスボスみたいな事言って大丈夫なんですか?」
「大丈夫だ」
「おまけに若干パクってますよね」
「オラシオンだからな。流行の最初の人間になったとしてもいいだろう」
「パクる人のいいわけですね」
「それを言うな。というわけで、早速やるぞ」
『START』
「我が心を満たす採光よ。剣を取りて新たなる開闢をこの世に示せ、『剣聖エスクード』!」
騎士が出てきた。
ぜツヤも杖を構える。
ちなみにかなり久しぶりである。
「死を得し不死鳥よ、元素の方舟に導かれ、限界にて姿を現せ。『マキシマムイデア・ホワイトフェニックス』!」
出現したのは、真っ白な不死鳥である。
あとサイズがやばい。
「うわ、なんですかこれ」
「エースモンスターでないが、まあ、色々と面倒だからきをつけろよ。やれ!フェニックス!」
不死鳥が翼を広げて、エスクードに向かって突進する。
「かんたんにやられそうですね!」
「数値的にはそっちは2500だけど、こっちは5000だからな」
「圧倒的じゃないですか!」
叫びながらも、レインは何かを投げる。
オーブか。
「『ソニックオーブ』ですよ。回避してください!」
ぜツヤには、エスクードが一瞬消えたように感じた。
「行ってください。エスクード。『ソード・オブ・アクセル』!」
なんか真上から一閃された。
「でもあまり効いていないですね」
「圧倒的に差があるからな」
「それなら……」
レインはオーブを2つ出して、使用する。
エスクードに日本の剣が装備された。
『機構剣マシニクル』と『巨人剣ドレッドノート』か。
「まさかの脳筋作戦!?」
「行っちゃってください。『ソード・オブ・ストロング』!」
思いっきり打ち込まれた。
うーん。なんか妙だ。異様に効きすぎだろ。
いやまあ、自分で作ったんだけどさ。
「仕方がない。これを使おう」
ぜツヤが取り出したのは、一つの物体だ。
「……プリズム?」
「そういうことだ。プリズムオブジェクトってアイテムなんだけどな。さあ、その力を見ろ!」
ゼツヤがプリズムを掲げると、不死鳥が鳴き、細い光の線になる。
そして、プリズムを貫通した。
「死を得し竜よ。今こそ大いなる頂に君臨し、すべてを震撼させる王となれ!『マキシマムイデア・スペクトルドラゴン』!」
スペクトルが体に刻まれた竜が出現する。
「なんですかこれー!」
「俺の切り札だ」
「なら、私も切り札を使いましょう。来てください。七本の剣」
ゼツヤが渡した7本の剣が出現する。
「そして、合わされ、来てください。『神格剣プレシャス』!」
七本の剣が合わさって、一つの剣になる。
そして、エスクードがそれを握った。
「さあ、始めようか」
エスクードが剣を構えなおして、スペクトルドラゴンが雄叫びを上げる。
どうなるのかは、お互い、なんとなくわかっていたかもしれない。
だが、過程は俺達が決めることだ。
ただ、ひとつだけ。
エンタメというのは、うまく行かないときは本当に行かないものである。
そして、やっぱり強いのは、創造神だった。




