エンタメって難しい
「……ターン制限を設けている訳ではないが、もうもはやそんな感じになったな」
「そうですね」
ゼツヤは少々ゲンナリしていた。
オラシオンが作ったアイテムが入賞商品と言うこともあって、参加者は比較的多かった。
まあ、新しい何かに興味がわくのもゲーマーの基本と言うものなのか、そんなたいした理由はなく集まるのが普通である。
「試作段階にしては上出来と言った感じだが、まだいろいろ改善案があるな」
バトルロワイヤル式で、全員が一斉に参加するタイプだ。
召喚獣の展開には継続のためにMPが必要になるが、ポーションに関しては数に制限を設ける。
ただし、装備品やマジックアイテムによるMPの回復には制限がないようにした。
あとは、職業に寄るいろいろな補正の問題も出るのだが、今回はなしにした。
いやなほど練度が試される感じにはなったが、それに関してはいいとしよう。
なお、モンスターが出ない森を使うことにした。
アイテムの数は持てる分は全部持ってきていいことにしたので、なかなかカオスなことになっていたが、別に悪くはない。
なお、プレイヤーにはダメージが発生しなくなるが、モンスターが倒されると指定エリアに転移する。というアクセサリーを作って大量に配布した。
なお、召喚獣を出していないときは、ダメージ無効効果は発生しない。
ちなみにこのアクセサリー。ゼツヤが指定したエリア、期間しか機能しないので、はっきり言って使い捨てである。作るのもかなり簡単だった。
「というより、ゼツヤさんがいると大概のことができますからね」
「手段の数では俺は絶対に負けないからな」
だからこそオラシオンの正体がばれると面倒だったのだが。
まあ、それは今言っても仕方がないのでいいとして。
「改善点としては……優勝賞品が強すぎて次回の大会の開催に影響が出るということですよね」
「言うな」
はっきり言うとやりすぎました。
いや、それくらいしないと来てくれないかなって思ったんだよ。
これが予想以上だったというだけの話だ。
反省は若干しているけど後悔はしていません。
「しかし、プレイヤー同士が出会うたびによくわからんエンタメがあったからな」
「そうですね」
中二病にとっては良い状況ではあるからな。
……リオがギルマスであるジョーカーのところにいるドレイクがいた時は、何を言えばいいのかわからなかったが、途中で従魔が焼かれて退場していたのでいいとしよう。
「召喚獣を出す時、なんで詠唱があるんだろうね」
「何故でしょうね」
一体何を考えているのやら。
まあ、そのせいで若干中二病連中の魂に燃料を注いだことになるのだが、もうそれに関しては突っ込んでおくのは止めだ。
「しかし、森と言うこともあって、なかなかアクロバティックなモンスターが多かったな」
「一応記録されていますから、そう言う見せる戦いと言うものは必要なのだと思いますよ」
レインがいろいろとやって、ちょっとしたブームになっているからな。
まあ、誰かが新しいことをして、多くの者がそれに乗っかるのはよくあることだが。
それはともかく、言いたいことは一つだ。
「言いたいことはいろいろあるけど……バランスがヤバいよな」
「ですね」
オラシオンの影響がもろに出やすいのだ。
だって、モンスター同士の戦闘だからな。エッセンススキルも限られたものしか機能しない。
なかなか、面倒なカテゴリがあったものである。




