対人戦もなかなか面白い。が、ほとんどは当て馬
「少々、問題が出てきたな」
「そうですね」
ゼツヤとレインは話していた。
オラシオンの応接室である。
まあ、おいているもののランクはちょっと限度を知らない感じであることは置いておくとして。
「強すぎたな」
「はい」
ゼツヤは提供主義ではあるが、誰にでもばらまくわけではない。
というか、リアルで知り合いだと優遇する場合がほとんどだ。
まあ、ゲーム内で稼ぎたいからやっている訳ではないし、そもそも生産職は自由なのだ。
やることをいちいち否定されることは根本的にはない。
「まさか、あんなことになるとは……」
ゼツヤは思いだしていた。
NWOには対人戦が存在する。
召喚獣同士であったとしても、一応戦えると言えばそうだろう。
エンタメサモナーとして活動しているレインだが、そう言う対人戦の形式があってもおかしくはない。
で、実際にやったのだ。
モンスターを操って相手を攻撃しまくる。
ある程度、見せることも考えて展開されるので、結果的に、カードゲームをアニメ化したような感じになったのだ。
ある種のブームにはなったが、問題があった。
レイン個人が強すぎるのだ。
「なんていうかな。某カードゲームで言うと、平均すると2000くらいの環境で、4500とか普通に出せるような感じになってるんだよな……」
そう言うことを想定したゲームではないので当然だが。
「何とかならないんですかね……」
「まあいっそのこと、フィールドその物に効果を発生させる設置型のアイテムを使うと言った感じだろう」
「そんなアイテムがあるんですか?」
「あるよ」
というか、ゼツヤ達が今いるオラシオンだって、モンスターが出現しないようにするための像があるし、特に植物系のアイテムを栽培を補助するためのアイテムもある。
「あとは……そうだな。デュエル設定をマニュアルで設定してカスタマイズすることだな」
「いろいろ設定できるんですね」
歴史が長いゲームにはたびたびあることだ。
ソロ同士だけではなく、パーティー同士だったり、レイド同士だったり、あとは、制限時間や退場条件、特殊な勝利条件など、様々な項目がある。
アイテムの制限を設定したりもする。
それらを組み合わせて、砕いて言うならば、NWOと言うゲームの中で、新しいゲームを作るのだ。
このデュエルを、普通にモンスターが出るフィールドでやると、モンスターと戦っている時に、無差別に襲い続ける存在が時々混ざって来るのでかなり面白い。
忍者屋敷でやった時はカオスだったな。もう六年くらい前だが。
システム的に設定できない部分は、アイテムの効果を使ったりすることもある。
「ですが、どんなルールがいいのでしょうか」
「見た感じがカードゲームをアニメ化したような感じだったんだよな。だが、NWOには、そこまでランダム設定できるようなシステムはない」
カードゲームと言えば、カードの束をシャッフルしておいて、それをランダムでデッキゾーンみたいなところにあるから面白いのだ。
「アイテムでは再現できないんですか?」
「できなくはない」
「あ、できるんですね」
「が、作るの面倒」
「やっぱりそう言うと思っていました」
悪かったな。
「いくつか、テスト的な感じでできればいいんですけど……」
「別に大会もできなくはないがな」
「そうですか?」
「コロシアムは、年末のデュエル大会以外では自由に使えるようなシステムになっているから、そういったものを利用して大会を開いたりするんだ。色々経済効果もあるからな」
やっているところはそこそこあるのだ。
で、開かれていると思ったら大体アーネスト率いる旋律騎士団が演奏しているのである。
「でも、みんなそんな簡単にでてくれるものでしょうか?」
「入賞したもの達のための景品を俺が作れば、関係があるやつは来るだろ」
今でもオークションはすさまじいことになっているからな。
「……いいような。悪いような……」
「改善のための策なんだから別に悪くはない」
そして開き直るのが早いのもゼツヤの特徴ではある。
ということで、考えていくことになった。




