やりすぎると叩かれるのは提供者である
「ちょっとやりすぎたな。うん」
「自業自得だ」
次の日の放課後。
竜一は道也と共に帰っていた。
「七本渡したって話だな。一体何だ?」
「名前だけを言うと……」
『聖刻剣イクシード』
『魔法剣エンディミオン』
『極宝剣オリハルコン』
『巨人剣ドレッドノート』
『機構剣マシニクル』
『天恵剣ユグドラシル』
『竜王剣ドラゴイウム』
「って感じだ」
「いろいろ作ったな。それぞれも強そうだが、まだ機能があるんだろう?」
「もちろん、エンタメがやりやすい機能がいろいろ付けている……んだけど、メールボックスがもうヤバいのなんのって」
「だろうな。武器の装備制限がない剣聖エスクードに、あんな券を渡したんだ。俺も見たが、どちらも『本当の意味で』第一線で使えるだろ。あれ」
「うん」
オラシオンシリーズを得ようとして頑張っているところはいろいろあるわけだが、第一線で使えるものとなると本当に少ないのだ。
当然だが、ゼツヤだって生産能力は上がっていく。
あとの時代になればなるほどそれはよくわかるが、結果的に、安定しているのはポーションのような消費アイテムだけなのだ。
そう言うこともあって、装備においてはかなりうるさい。
「あと、なんだって、『突然変異』だったか、あれって一体何だ?」
「いや、あれを作ったのは一応三年くらい前なんだけど、もう埃をかぶっていたからな。渡した。そしたらああなった」
「……お前って、渡したものでどうなってしまうのかを考えないタイプだよな」
「いつものことだ」
だからこそいろいろ言われるわけなのだが。
「あれ以外にもあるのか?」
「いろいろ渡したからな。エンタメって言うんだからいろいろ必要だと思って頑張った」
いろいろ渡したが、どう活用するのかは彼女次第である。
「しかし、オラシオンが混ざると、本来まじめに行くような難易度のところでもああなるんだな」
「アイテム一個で伝説が出来るからな。何個も渡したらああなるのは目に見えてるだろ」
「で、調子に乗って現在苦労していると」
「そうなんだよな。しかも、ほとんどが魔法具なもんで……」
「カムイが苦労しているんじゃないか?」
「逃げられた」
「そうか」
「だから、特殊アイテムを使って、一分間に130回くらいメールを連打したら来た」
「メールボックスが容量オーバーだろうな」
「だろうな」
オラシオンだからな。いろいろできるのだよ。
「しかし、そんなに渡して使いきれるのかね?」
「分からんが、もう人気だもんな」
いろいろスレもすでにできているし、本人の容姿がいいこともあってファンクラブもできているようだ。
別に珍しいわけではないがな。
ただ、少々ペースが早い。
「ブームが発生しそうだな」
「召喚術師って結構面倒だけどな」
召喚獣の展開には、時間ごとにMPを使用する必要がある。
ポーション代がかさばるのだ。
「今から帰れるとしても魔法職くらいのものだろうな」
「竜一はどうするんだ?」
「ちょっと俺はいろいろと忙しくなりそうだからな。オラシオン初の店舗が出るかもしれないレベル」
「そう言えば、オラシオンって今まで店とかなかったな」
「オークション会場で十分だったからな。まあ、量産体制に入れるくらいになったら俺がやる必要もないわけだが」
アイテムが絡むと本当に面倒なのだ。
誰かにできることは誰に出もできる。
数値に管理された世界ではそれが真実である。
だからこそ、真似されたり真似したり、と言ったことがあるわけだが、NWOでは、真似されたとしても愚痴を言っては行けない。
そもそも、マネできるほどのものにオリジナリティーなどないのだ。
真似したいと思うほどの何かを生み出した。と考えた方がいいのである。
無論、納得する、しないは本人の自由だが。
「次は何が出るのやら……」
「どうなるんだろうな。俺も見てみたいよ。俺は作るだけで、そこから先は丸投げだからな」
「行動主義なのか傍観主義なのかわからんな」
「提供主義なのさ」
「だから叩かれるんだよ」
違いない。




