文化祭第二弾!でもやっぱり喫茶店……
「竜一」
「なんだ?道也」
「お前、去年こんなにやってたのか?」
「そうだぞ。正直。お前がいてくれて助かる」
竜一と道也は、現在、厨房に立っていた。
無論、それらは簡易的なものである。
しかも、例年は何を血迷ったか水曜日にやっていたのだが、今年は日曜日にやるということになった。
誰にとっても休日のはずである。
が、二人は料理を作り続けていた。
「反対意見がないというのも、いろんな意味で問題だな」
「去年も思ったんだが……俺、民主主義って言葉が都合のいい時にしか使われないように思ったんだよね」
愚痴っているが、手は止まらない。
包丁で切って、焼いて、ゆでて、炒めて……と言ったことを繰り返す。
はっきり言おうか。飽きる。
ただ、料理人が少なすぎて過剰労働なうえに、カテゴリーの問題で休みがない。
しかも、去年の評判がよすぎたのか、どこかで聞いたような、そんな大物が客で来るときがある。
食通まで来るとか、どこまでどこまでうわさが飛んでしまったのか……訳が分からんぞ。
「まあ、接客をしなくていいということに関していえば、俺はいいと思っているんだがな……」
「あのな。道也。俺、さっきから何回厨房から出ていると思う?サブしか作ってないお前はいいけどな。メインもいろいろ作ってしかも同時進行させている俺は何回も呼ばれるんだよ」
そう。道也は今回はサブしか作っていないので、特に問題はないのだ。
いや、それなりにあるけど。
問題なのは、メインをすべて引き受けている竜一である。
「糸瀬。オーダー入ったぞ」
デュリオが笑顔でこちらにデータを渡す。
えーと……七品か。
『ミートスパゲティ』
『ハンバーグ』
『フルーツパフェ』
『トンカツ』
『エビカツサンド』
『カレーライス』
『牛丼』
「……」
「どうしたんだ?」
「いや、エクストリームメンバーとレムが来てる」
「オーダー見ただけでよくわかるな……」
順番に、レイフォス、サーガ、ユフィ、シャリオ、クラリス、セルファ、レムである。
アイツら来たのか。まあ休日だからな。
速攻で作る。まあ、速攻で作るには少々難しいと言わさせてほしいものではあったが、それを言うタイミングではない。
「……ん?教室がちょっと騒がしくなったな」
「誰か有名人でも来たんだろ。それか、インパクトがある人か……」
デュリオが変な表情でオーダーを持ってきた。
見て、竜一の表情が引きつった。
「どうした?」
「リオとシフルとルナードだ」
「……」
ルナードは分かる。娘の接客でも見に来たのだろう。
あとの二人は……意味が分からん。
「で、メニューは何だ?」
「リオもシフルは発音するのも面倒なデザートだ。ルナードはオムライス」
「すごくルナードが庶民に見えるな」
否定はしない。
しかし、顔を見ようとは思わないが、これまたすごいメンバーがそろったもんだ。
ちょっとVIP過ぎて怖いぞ。
道也がのぞき穴から見ている。
「珍しく桜が硬直しているな。リオは笑いをこらえているようだが」
無理もないのだが……まあ、そのあたりはいいとしよう。頑張ってくれ。俺はリオのオーダーを作るために忙しいんだ。
「あ、なんか不良が入ってきた」
「え、大丈夫なのか?」
「まあ……ルナードは警察だからな」
そう言えばSPだった……。
まあ、前年度は直々に出ることになったが、今年は問題ないだろう。
「あ、ルナードが警察手帳見せた。あれには勝てないよな」
「リオを護衛する立場になるもんな。それなりに実力もあるだろうし」
「最近の不良は、ちょっと大きな声を出したら思い通りになると思っているところも多いからな。学校に関しては、無暗に監視カメラを付けることもできないし」
未成年だからね。
「不良にとって、本来ならただ飯ぐらいのための場所のはずだが……まさか警察本人がいるとは思っていなかっただろうな。かわいそうに」
「道也。今すごく棒読みになってるぞ」
「自覚している」
さてまあ……今年はそれなりに平和だった。
が、いろいろな意味で面倒なことが多いのは事実であった。
来年はする必要が本来はないのだ。三年生は楽しむだけだから。
だが……なんか誘われそうなんだよなぁ。
未来についてちょっと不安な竜一であった。
創造神であっても、いや、創造神であるからこそ、巻き込まれるのである。




