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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
西暦、何年だっけ?ああ、2529年のデュエルカップ開幕
157/218

準決勝第一回戦 ゼツヤVSカムイ 第二回戦 サターナVSリオ

準決勝第一回戦 ゼツヤVSカムイ 


 師弟対決である。

 実のところ、やった回数はそこまで多いわけではなかった。


「さて、カムイ。一体どこまで強くなっているか、俺が測ってやるよ」


 ゼツヤはコロシアムに行った。

 いつもの通り、紫色の装備のカムイがいた。


「デュエルするのは久しぶりですね。師匠」

「そうだな。まさか、出場してすぐにここまで来るとは……成長はうれしいが、師匠としては負けられんよ」

「ええ、まだ勝てるとは思っていない。せめて、一発入れてみますよ」

「やってみな」


 カウントゼロ!


「『オールブースト』『オールダウン』『マンモスビート』『ソニックシンフォニー』『ガーディアンレート』」


 カムイのすべてのステータスがまず上昇し、攻撃力、敏捷、防御力がそれぞれ増加する。

 だが、ゼツヤのステータスは下がらなかった。


「不思議に思っている時間はないぞ。分かっているんじゃないか?」

「……それもそうですね」


 ゼツヤなのだ。

 控室にいる間に、付与魔法によるステータスダウン対策をしていても、何をおかしいところはない。

 第一、立場が逆なら自分もやっているはずだろう。

 だが……。


「なんで、師匠のステータスが上昇しているんですか?」

「そりゃもちろん。この腕輪だ」


 右手首にある交差する剣が刻まれた腕輪を見せた。


「視認した者が付与術に寄ってステータスが上昇した時、その変化状態を俺にも発生させる。まあ、俺も本来使う分のMPが自動消費されるが、それでも、俺のMPはカムイよりも多いからな」


 カムイは舌打ちした。

 無効化する手段程度なら誰もが考えるだろう。

 モンスターの中にも、そう言ったことをしてくるものがたくさん居る。

 用意するかどうかは個人次第なのでどうなるのかはわからないが、即席でそれを作れるゼツヤに対してそれは確定事項となる。存在そのものが準備万端みたいなものだからな。

 だが、相手に発生するはずのメリットまで自分がコピーするというのはどうなんだ?


「さて、そろそろ行くぞ」


 ゼツヤは剣を構えて走り出した。

 カムイも走り出す。

 鍔迫り合いから始まって、斬撃が炸裂する。

 うーむ、速く重くなったもんだな。

 何度か戦っているところを見たことがあるが、それにしてもかなり成長している要である。


「ずいぶんと腕を上げたな……」


 ただし……その成長は、ゼツヤには届いていない。

 ゼツヤもまた強くなって行くからだ。


「く……」


 カムイが剣を引き絞った。

 そして、突きをはなって来る。

 集中力も、剣に乗っているオーラもすさまじい。

 『貫通信号(ピアースサイン)』を使っているな。

 しかし……。


「俺に意思力で勝てると思うな」


 その剣は、ゼツヤには届かない。

 いくらカムイの意思が強かったとしても、それは、ゼツヤには及ばない。

 途中で逸らされて、空を貫く。

 一発ぶち込んだ。

 カムイが数メートル飛んで、うまく着地した。


「強くなったはずだが……まだ勝てないか」

「そりゃ俺は師匠だからな。まだ負けていられんよ」


 苦労があることも葛藤があることも知っているし、分かっている。

 ゼツヤに勝てば決勝戦なのだ。

 だから、と言うべきなのだろう。

 譲れない。譲ることはできない。

 勝ち取っていない勝利は、未来でもやもやした関係を作るだけだ。

 だから、ゼツヤに勝てるまでは、勝ちを譲らない。


「ふう……」


 カムイが剣を光らせた。紫のエフェクトが出現する。

 ゼツヤも構えなおして、剣を光らせた。純銀で光り輝いている。

 先にカムイが突撃する。


「『アメジストシング・スパイラルドライヴ』!」

「『主神と軍馬オーディンアンドスレイプニル』」


 螺旋のエフェクトが迫りくるが、ゼツヤは下段からそれを容赦なくはじき上げる。

 そして、ゼツヤの突きがカムイに直撃し、HPを消し飛ばした。


「……強いですね。本当に」

「まあな」


----------------------------------

 第二回戦 サターナVSリオ


 サターナはコロシアムに来ていた。


「さて、やっぱり悩むな……」

「君もそう言う意見になるんだね……」


 サターナの第一声にリオは苦笑する。


「だが、そこまで深く考えているようには見えないね」

「それはそうだ。自分が思ったようにことが進むことはほとんどない」

「そうだね。僕は運がいいから結果的にいいことにつながっている。その先で何が起こったのかは、全てが終わった後で分かるからね。途中のことを僕が思い描いたように進んでいることはほとんどない」


 そう、リオの場合、運がいいからこそ圧倒的な才能を得ることができているが、大まかな部分の予想はできても、その間に起こったすべてを予測することなどできはしない。

 そこに何があるのかは知らない。

 だが、小細工がそもそも通用しない敵であることも確かだ。

 サターナはコートのうちから眼鏡を取り出してかけた。


「獣、と言うべきものだったな。なるほど、それがルーティンになっているということか」


 カウントゼロ!

 次の瞬間、リオの首の前に刃があった。

 リオは人間に視認不可能な速度でしゃがんだ。

 首があった場所を刃が通過する。


「危ないな……これは……」


 リオの危ない。と言う言葉は、普通に聞けば、サターナが圧倒的な速度を出せることにある。

 だが、この場合は違った。

 リオは手加減するべき相手かどうかは瞬時に判断できる。

 本気になっているサターナに対して、少なくとも油断はできないと思っていた。

 そこで、一つだけ手札を切っていた。

 名を付けるとするなら、『間違いの終着点エンド・オブ・ミステイク

 失敗の連鎖ともいい変えることが出来る。

 その効果は、認識したものがしたことが、様々な要因に寄って失敗するということだ。

 スポーツで勝手に転んだりシュートが変なところに行ったりということもこれに寄って引き起こすことが出来る。

 それを発動していた。

 だが、サターナはほぼ一瞬で距離を詰めてきた。

 そして、その理由も、リオは認識することが出来た。

 達人であるからと言って、失敗しない理由にはならない。

 これは要するに、達人であっても、その何かに対する成功率は100%ではない。と言うことだ。

 『間違いの終着点エンド・オブ・ミステイク』は、その100では無い数値を0にすると言うものである。

 と言うところまで考えて経過時間は0.2秒。


「一応、回避する方法は二つあるが……」


 一つは、失敗が発生したその次の瞬間に態勢を整えたり、失敗した結果を利用して次につなげること。

 そしてもうひとつは、自分が絶対に100%成功するという行動だけをすると言うものだ。

 どちらにせよ、一筋縄ではいかないことである。


「さすが、ゼツヤの相棒だな。面倒な部分もよく似ている」


 面倒な部分が全て似ている訳では無論ないのだが、いろいろと気になる部分がたくさんあるのだ。

 リオは剣を構えなおす。

 そして、サターナを見る。

 また首の位置に刃があったので、しゃがんで回避。

 ちょっとなんか振り向くのが怖くなってきたリオであった。


「ここまで心臓に悪いのは初めてだね」


 リオは振り向いた。

 サターナがいない。

 そして、リオの聴力が捕らえ、出した結論は……バックステップだった。

 居た場所に刃が振り下ろされた。

 どうやって音もなく跳躍したのだろうか。意味が分からん。


「レムほどではないが、不可思議なものだね……」


 ただし……。


「もうひとつ。切っておこう」


 リオは特に考えずに、剣を振った。

 すると、その剣は当たった。

 その次の瞬間。リオは剣を光らせて切り刻んだ。

 サターナのHPがすべて消えた。


「すまないね」


 『必中連鎖』と名付けたものだ。

 効果はシンプル。成功。ただそれだけだ。

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