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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
西暦、何年だっけ?ああ、2529年のデュエルカップ開幕
154/218

第七試合 ミズハVSレム 第八試合 リオVSザイル

 第七試合 ミズハ VS レム


「どうなるんだろう」


 ミズハはそんなことを考えながら、コロシアムに立ったレムを見た。

 二本の大きな斧を持っている。

 初対面のものは愕然としただろう。

 いや、別にシステム的に不可能と言いたいのではない。

 筋力パラメータがたりていれば誰にでも可能だ。

 むしろ、現実にできないからこそ、こういったゲームでしようと言うものも多い。

 ただし、アカウントの一つしか作れないNWOでそれをするものは少ないのだが。


「頑張るのだ~」


 小学一年生になって、もうあと三か月もすれば二年生になる。

 一年って早いなぁ。

 まあ、それはいいとして、ミズハも弓を構えた。

 カウントゼロ!


「むん!」


 レムはいきなり突撃してきた。

 セルファには悪いが、デュエルなので串刺しでも文句は言わせない。

 ということで。


「ミリオンレイン!」


 情けはなかった。

 しかし……。


「ほっ!」


 レムは斧を振り回した。

 そしてそれは偶然にも、全ての集中型の矢の雨を消し飛ばしていく。


「えっ!?」


 ミズハには一瞬何が起こったのか全く変わらなかったが、素早く弓を構えた。

 そして、背中にある矢を構えた。


「スーパーノヴァ!」


 隕石と化した弓矢が真正面からレムを襲う。

 が……。


「とりゃ!」


 斧を振り下ろして隕石を一刀両断する。

 この時点で、ゼツヤ製作のこの弓『スターゲイザー』に付与された技が全て通用しないということでもあった。


「……一体、どうなってるの?」


 レムがハイエスト・レベルであることは聞いていないが、疑いようもないし、納得できる。

 だが、これは一体どういうことなのだろうか。

 ミズハのスキル『身近な神託(オラクルスペース)』は、ちょっとしたことであっても、勘に寄って気づくことが出来る。

 テストであれば、これかな?と思ったことが大体当たっている。

 リオの強運とは方向性は違うものの、本人たちが確信しないことでもそれが真実になっていることはほぼ同じだ。

 だが、レムのスキルに、気づくことができなかった。


「む?」


 レムが首をかしげる。

 先ほどまであんなに矢が来ていたのに、今は全く撃ってこないので疑問に思ったのだろうか。


「なら、こっちから行く!」


 斧を二本持った小学一年生が突撃する。

 しかも、満面の笑みで。

 シュールと言うより……なんだこれは。

 ミズハは弓を構えた。

 そしてそのころ、控室にいるリオにメールが来ていた。

 セルファからだった。

 娘に関して何かが心配になったのだろうか。

 まあ、気持ちは分かるが。


『おい、リオ』

『どうしたんだ?セルファ』

『私の娘がハイエスト・レベルだといったな』

『ああ。そういった。というか、今年のトーナメント出場者は、全員がハイエスト・レベルだが』

『……まあそれはいい。私の娘のスキルは何だ?』

『余談だが、今まで仮名称だったから本来の名前を言っておこう。それらのスキルのカテゴリーは【エッセンス・スキル】だ』

『なるほど、それで、どういったものなんだ?さっぱりわからん』

『あえて名づけるとするなら……【不安定な天秤】と言ったところだろうか』

『どういうものなのだ?それは』

『安定している天秤には、全ての皿に、まあ、仮に皿が円の形に何十個並んでいるとしても、相対する場所にある皿には同じ重さのものが乗っている。だが、【不安定な天秤】の場合、そのバランスがめちゃくちゃだ。それによって、本来持つはずの危機感や能力が、外見相当ではなくなる』

『ようするに……そのバランスが崩れていることで、レムはあんな感じになっているのか』

『まあ、彼女に関しては僕にもわからない部分はあるから、仮設でしかない。だが、僕が言うのだから、たぶんそれは正解なのだろう』


 彼女は小学一年生らしさが薄い。

 天真爛漫。これだけなら小学一年生と言っても普通だろう。

 だが、危機感や恐怖と言った部分になると、乗り越えていい部分とちょっと自重してほしい部分があるのだ。リオ本人の希望もちょっと入ってるけど。

 そのため、ミリオンレインだろうがスーパーノヴァだろうが全く怖くない。

 そして、乗り越えることが出来る。いや、出来てしまうと言った方が正しいのか?それは不明だが、様々な部分における許容範囲が広すぎる。

 ポテンシャルが高いことも言えるだろうが。

 あと、セルファの疑似予知能力。

 これのメカニズムは、観察眼から、自分に確定できる何かが起こるという決断力から、それを逆算して発生させている。

 誰にでもできることではない。だが、セルファの場合がこの決断力がすさまじいのだが、それが娘であるレムにもしっかりと受け継がれてしまった。

 結果。どんな時でも踏み込める性格になったのである。


『最大に原因は私の遺伝子と言うことか?』

『そうだな』


 遠回りに手遅れと言っているようなものだが、それに関しては胃薬を片手に頑張ってくれ。

 リオも許容範囲は広いが、面倒見切れる部分と見切れない部分の境界線はある。レムは完璧にぶっちぎっている。

 試合そのものは、ミズハの辛勝と言ったところか。

 まあ、決断力があっても、同じ土俵で自分以上のことをされたら歯が立たないので、今回は近接戦闘力の低いミズハの場合に強く見えただけだ。

 精進はしないでほしい。もうちょっと自重してほしい。

 だが、無理なのだろうとリオは思う。

 さて、次は自分の試合か。


----------------------------------

 第八試合 リオ VS ザイル


 なんか多くの者にとって勝敗結果がわかり切っている試合が始まった。


「ちょ!ひどくない?」


 ザイルがかわいらしくも眠そうな顔で涙目になった。

 うるさいな。ンなこと言われてもほとんど確定している。あと、地の分を読むな。


「フン!どうせメタフィクションなんて今更だもん!」


 ザイルは頬を不恨ませて起こりだした。


「始めるぞ」


 リオは歩き始めた。

 多くの者にとっては腹立つが、突撃してこなくてザイルは安心した。

 ザイルは魔法使いだ。直線的な遠距離攻撃が主な手段だが、リオの場合、適当に避けたりアクションスキルを使ったりしただけですべての魔法が沈黙する。


「『ラースインフェルノ』『ボルテックスオーケストラ』『ブリザードエイジ』『ポイゾナスガトリング』『スペリオルハリケーン』!」


 黒い炎、雷の軍勢、超巨大な吹雪、毒弾丸の超絶乱射、超巨大台風。

 なぜ魔法同士が干渉しあわないのかリオには不思議でならないのだが、来るものは仕方がない。

 リオは剣を光らせる。

 そして、黒い炎を剣風で吹き飛ばし、雷の軍勢と斬り落とし、超巨大な吹雪を一閃で消滅させ、毒の弾丸を全て切り落として、超巨大な台風をそれ以上の風を引き起こして霧散させた。


「いやいやいやいや!どうなってるの!?」

「……いつも通りだろ」


 そうであるからこその理不尽と言うものなのだが。

 というか、あそこまで魔法を連発できるザイルもパワーバランスと言う観点からするとおかしいのだが、リオが相手では相手が悪いとかそう言うレベルではない。


「むむむ……『整理管理の記憶端末オーガナイズ・データベース』も通じないし……」


 ザイルのエッセンス・スキルである。

 ザイルは得た情報を常にカテゴリーごとに分けて記憶することが出来る海馬を持っており、必要情報を瞬時に引き出すことでシミュレーションを行うことが出来る。

 なお、完全記憶能力者なので、忘れることもない。

 ちなみに、そのシミュレーションソフトも記憶領域に存在する。

 そのため、セルファとは違った予測能力を持っている。

 だが、自分の持つすべてのポテンシャルが数段上の相手に対して、一体どのシミュレーションをすればいいと言うのか。直ちに連絡お願いします!本当に!

 と言った感じで内心絶叫しているのだが、そんなメールが届くはずもなく、届いたとしても読んでいるときに斬られて終了する。

 魔法職のザイルは紙装甲だ。

 ちなみに、シャリオやクラリスも魔法職だが、着ている者がオラシオンシリーズなので防御力も高いのだが、彼女が着ているのはシュライン作である。

 あれから取り組んでみたらしいが、オラシオンシリーズと比べると木造平屋と巨大豪邸だ。

 で、ザイルが取った手段は……。


「降参!リザイン!白旗万歳!」


 最後のはちょっと違う気がするものの、まあ、結果的にそう言うことである。

 こうして、ライズ、ゼツヤ、カムイ、レイフォス、サターナ、アルモ、ミズハ、リオの八人が第二回戦に出場することとなった。

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