第五試合 サターナVSドレイク 第六試合 チアキVSアルモ
第五試合 サターナ VS ドレイク
「さて、始めるか」
サターナは刀を構えなおして、コロシアムに行った。
すでに試験管をいろいろと構えているドレイクがいた。
「確か、ジョーカーのメンバーだったか?」
「そうとも、そちらは……あまり見ない顔だね」
「ああ、俺はサターナ。ゼツヤの相棒だ」
「ほう、なるほど、それは楽しめそうだ」
カウントゼロ!
「ちょっと早くないか?まあいいか」
サターナは突撃した。
だが、ドレイクは試験官の中身をばらまいた。
すると、ゲル状だったり木のモンスターだったりと言ったものが大量に出てきた。
「なるほど、そう言う手か」
モンスターを作る薬品か。
専門にしているものは少ないだろうが、別に珍しいと言うわけでもない。そう感じる。
というものの、彼の相棒の方がチートクラスのものを大量に作るからと言うのもあるし、何かを生み出すことにおいて、ゼツヤを超えるプレイヤーは、例えリオが選んだプレイヤーであったとしても、そうそういないとサターナは分かり切っているからだ。
サターナは左手を出した。
「『ブリザード・インストール』」
魔方陣が出現し、今いるこの世界に吹雪が到来する。
全部凍った。
「え、嘘!君魔法使えたの!?」
「スキルスロットに入れたら使えるだろう……何を驚いているんだ?」
レベル100のキャラのスキルスロットは15。
足りるか足りないかは個人で違うだろうが、サターナの場合は問題があるということもなく、ビルドに問題はない。
ただし、器用貧乏はそこまで好きではない性格なので、全ての魔法属性をとっている訳ではないが。
だが、一般的に汎用性が高いと言われている物は取得している。
普通、特化したスキル構成の方がいいと言われるが、それは、普通にやると器用貧乏になるからと言うだけの話だ。
「まあそうなんだけどね」
ドレイクも剣を取り出して構えた。
剣術もできるのか。
まあ、作りだしたモンスターがそもそも存在することのできないエリアなどもたくさん存在するので、本当にそれしかできないと考えていたわけではない。
そして、ドレイクはその剣に試験官の中身を一滴垂らす。
サターナはドレイクの目を見ると、サターナの刀だけを見ていた。
鍔迫り合いに持ち込もうとしたのだろう。
サターナは、まだ試験官の中身がかかっていない部分を掴むと、刀を持った右手でぶん殴った。
「ぐはっ!」
数メートル飛んだ。
サターナは筋力にもかなりポイントを振っている方だ。スピード型であることに変わりはないが。
「サターナ君。ひとつ聞いておきたい」
「なんだ?」
「君、性格が悪いと言われないかい?」
「苦労人とはよく言われるが」
「そうか。まあ、君が悪いのではなく世界が悪いのだということにしておこうか」
ドレイクは苦笑した。
「で、問題だが、もし鍔迫り合いをしていたらどうなっていたと思う?」
「鍔迫り合いをする気は毛頭ないから正解は必要ない」
「なるほど、そう言う意見もあるな……どこまで自信家なんだこいつ……」
本音が漏れたようだ。
が、サターナはそんなことは関係ないと言わんばかりに突撃する。
「無自重だな」
ドレイクが呟く。
そして……思いっきり鍔迫り合いになった。
「え……」
ドレイクがとぼけた声を出した次の瞬間、ドレイクは文字通り、HPがなくなるまで斬られた。
「すまんな。このデュエルのルールでは、勝敗が決した瞬間にすべての状態がリセットされる。あの試験官の中身が何だったのかは知らないが、別に勝てば問題はない」
「やっぱり君は性格が悪いね」
「そうかな?あなたが使っていや薬品も、なかなかたちが悪かったと思いますけど」
「分かってたの?」
ドレイクは驚いた顔をしていた。
何かを言うつもりはないが、たちが悪いことは薄々分かっていた。
「まあ、そんな感じです」
サターナは歩いていった。
やはり彼が何と言おうと、性格は悪い。
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第六試合 チアキ VS アルモ
「さてと、僕も行こうか」
アルモは棒を構えなおしてコロシアムに向かった。
「初めまして、チアキです」
「宜しく、僕はアルモだ」
「聞いた話では、ゼツヤさんの弟子のようですね」
「ああ、そうだよ」
「この大会に出場している弟子の方々はなかなかすさまじいものでした。遠慮はしませんよ」
「ま、遠慮なんてものは僕もするつもりはないけどね」
アルモは棒を構えて、チアキは刀を構える。
カウントゼロ!
ブザーが鳴った瞬間、お互いに突撃していた。
お互いに、最も優れた戦術が近接であることに変わりはないからである。
ただし、鍔迫り合いをするかどうかは彼ら次第だが。
「よっ!」
「はっ!」
武器が交差して火花を散らした。
そこから、攻撃の押収になる。
に足りよった位のビルドでなおかつ近接だとこうなるのだ。
無論。アルモは棒なので刀とは大きく違った動きになるのは当然だが。
何回か撃ちあった後、お互いに距離をとった。
「実力はほぼほぼ拮抗しているのかな。なかなか当たらん」
「私もそう感じます」
しかし……アルモが見る限り、思うことはある。
この子。ハイエスト・レベルだな。
そしてそれは要するに、リアルでも使用可能な何かを持っているということだ。
アルモ自身もハイエスト・レベルである。まあ、彼の場合は現実と言うものは存在しないが。
「さて、どう攻めるかな」
「お互いに手札を切った方がよろしいのでは?このままでは使ったもの勝ちと言うことになりますよ?」
「一応納得しておくとしようか。僕の特徴はこういう一対一のデュエルではそこまで使えないんだけどね」
「それなら、私が勝つだけです」
チアキが突撃してきた。
確かに、チアキが言うことも一理ある。
が……。
「きみのスキルも大体わかってるけど、ちょっと練度に差があると僕は思うよ」
アルモのスキル。
それは……。
「すまないが、君のパターンは分かった。それを自由に切り替えることができなければ、君に勝ち目はないよ」
ゼツヤ、レイフォス、リオ、ヘリオス。
専門ではないにしても、切り替えることが出来るものは数多くいる。
だが、できないものにとっては、アルモのようなタイプは苦手だろう。
先ほどよりも軽く、棒でチアキの刀を弾いていく。
「一体、何が……」
「君の攻撃個所とタイミングから察するに、おそらく君のスキルは『死角認識』だろうな。相手の視線や集中点を即座に認識、それを頭の中で演算して、相手に見えない部分を即座に把握する。攻撃速度がそこまで早くないことを考えると、筋力と器用さにステータスが偏っているんだろうね。まあ、ミズハには勝てないだろうけど」
たまに抜き手や拳の攻撃も混ぜてくるが、そうした攻撃はかなり適格と言っていいだろう。
ただ、アルモが言う通り、抜群の勘を持つミズハだ。持っている弓だって破壊不可能だし、容赦なく弓で防御をしてくるし、そもそも避けられるだろう。
勘でヤバいと思ったら即座に実行するタイプだからな。
「なぜ、それを……」
「僕もね。あることに関して、脳の回転が速いんだ」
アルモのスキル。それは『真相理解』
アルモの思考は情報屋とも言えるが、探偵ができる理由でもある。
多くの推理小説を読んでいるうちに、こんなことを考えるときがあるだろう。
すなわち、探偵たちが真相にたどり着くヒントが少なすぎると。
そんな彼らを支えているのが、圧倒的なまでの『ひらめき』である。
ただし、アルモの場合はひらめきではない。
もうひとつの思考『疑問連鎖』により、生まれた疑問を解決するための情報を、本来付随しているもの以上の情報を得ることで、それを材料にして真実に気付くことが出来る。
「だからと言うわけじゃないけど、すまないが、君に勝つためのルートはもう、全部わかっているんだ」
勝者。アルモ。




