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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
西暦、何年だっけ?ああ、2529年のデュエルカップ開幕
152/218

第三試合 カムイVSエルザ 第四試合 レイフォスVSフィノ

 第三試合 カムイ VS エルザ 


「さて、行くか」


 紫色を基調とした装備をまとって、カムイは立ち上がった。

 コロシアムに行くと、黒色で青いラインが入った装備のエルザがいた。

 包丁なのか短剣なのか、ちょっと不明だが、まあ問題ない。

 身長が少々低いのか、それが原因なのかはわからないが、ゼツヤと同い年であることを前提とすると……少々、弟的な雰囲気が強い。


「初めまして、だよね」

「ああ、初対面だ」


 エルザの言葉にそっけなく返す。


「片手剣使いなのは分かったけど、僕、速いよ?」

「知っている。師匠から聞いた」

「師匠……ゼツヤさんのこと?」

「そうだ」

「弟子の中で誰が何番目に強いの?」

「あまり興味はないが、多分一番だろう」

「なるほど」


 カウントも近づいてきた。

 カムイは剣を構えて、エルザは包丁を構える。


「料理人が包丁を人に向けるのはどうなんだ?」

「ゲームだからね」

「……そうか」


 カウントゼロ!


「『オールブースト』『オールダウン』」

「え、ちょっと……」


 カムイのステータスが全て上昇し、エルザのステータスが全てさがった。


「『ソニックシンフォニー』『マンモスビート』」

「はい?」


 カムイのAGIとSTRが急上昇する。

 そして、カムイは突撃した。

 エルザも遅れて動きだしたが、体が思うように動かないらしい。

 ちなみに、ユフィの場合はこうはならない。

 アバターを動かしている以上、体が感じる感覚は全て脳が受信したものだ。

 圧倒的な動体視力を持つユフィの場合、自分がどれほどの速度で動いているのかを瞬時に判断できるのだ。数学の速度計算は苦手だが。


「ちょっとこれはつらいね」

「分かってやっている」

「百も承知だよ」


 片手剣と短剣が鍔迫り合いをした場合、刃を当てる場所を本気で考えないと、ほぼ短剣の方が負ける。

 というか、鍔迫り合いに持ちこもうとする段階で押し負けると言った方が正しい。

 そのため、STRを最低限にしてAGIを上げているエルザに、鍔迫り合いと言う選択肢はない。

 かわして斬る。

 だが、なかなか当たらない。


「むむむ……なかなかやりにくい」


 いったん距離をとろうとした時だった。

 銃口がこちらに向いていることに気が付いたのは。


「はい?」


 神威が引き金を引くと、光る弾丸が発射されて、エルザの肩を貫いた。

 HPは……二割も削られてる。

 え、拳銃を相手に五発くらったら終わりって……。

 というか、そう言ったものがあるにしても、出し惜しみって言葉がこいつの辞書にはないのか?


「どこで手に入れたんだい?」

「弟子はそれぞれいろいろとやっているが、俺は魔法具専門なんだ。専門にやっていればこんなもの作れる」

「実弾じゃないから?」

「そうだ。まあ、一発にMPを600使うし、連射もできないが」

「ゼツヤさんには見せた?」

「40点と言われた。支障が新しく作った場合、これよりも威力が高く、MP消費は10で、普通の拳銃みたいに撃ち続けることが出来る」


 エルザの脳内には反則だろ!と言う言葉しかなかったが、ゼツヤと言うのは昔からそう言うものだと思うことにした。そうでないとやっていられない。


「さて、どうしようかな……」

「思考時間が長いぞ」

「え……」

「『ディストラクション・センス』」


 エルザに付与術がかかる。


「ものすごくいやな予感が……」

「アクションスキルの使用不可、ステータスはすべて半分だ」


 理不尽だ!

 エルザは泣きたかった。

 が、泣く相手などいないし、今はデュエル中である。


「ゼツヤさんの弟子って言うだけで……ここまでとは」

「今回トーナメントに出てこれなかった三人も、いろいろ隠していることが多いぞ。出す前に新年を迎えるだろうが」


 それはドンマイ。

 しかし、どうすればいい。いや、どうすることもできないと踏んだ方がいい。

 まあとにかく、頑張ろう。

 エルザは包丁を構えなおした。


----------------------------------

 第四試合 レイフォス VS フィノ


 レイフォスは大太刀を抜いて、構えた。

 目の前にいるのは忍び装束の少女だ。


「君もゼツヤの弟子だったか?」

「うん。ボクもそうだよ」


 そう言ってフィノは小太刀を構える。

 忍びらしいというか、何と言うか。


「じゃあ、俺のことも聞いているだろうね」

「そだね。一回戦で前年度の準優勝者に当たるとは思ってなかったけどさ」


 顔は笑顔だけど。


「ま、思い出作りには手伝ってやるよ」

「よろしくね」


 フィノはウインクした。

 レイフォスは溜息を吐いた。

 カウントゼロ。

 で、フィノからグレネートが飛んできた。


「効かん!」


 グレネートを両断した。

 当然爆発。

 で、火薬をぎゅうぎゅうに詰めていたのだろうか。斬ったのはいいがレイフォスも巻き込まれそうになった。

 パターンチェンジで爆発寸前にそれを認識できたので何とかなったが。


「驚いた」

「グレネート斬ったらダメでしょ。導火線きらないと」

「……プッシュ型のスイッチ一つだけだったのにどうやって斬れと言うんだ?」

「頑張ってね!」


 笑顔でそれを言うんじゃない。

 レイフォスは突撃した。

 ポイポイ投げて来るが、全て刀の腹でしばき飛ばしながらフィノに近づいていく。


「ずるい!グレネートを躱しながら突撃なんて!」

「無茶いうなこの子……」


 ずいぶんとコメントに困る文句である。


「第二の手段」


 フィノは槍を取り出した。

 槍術もつかえるのか?

 と思ったらそれを振りかぶる。

 と言うことは……。


「『グングニル・レイン』!」

「なぬ!」


 一本しか出していないのに、雨と言うことは。

 投げられた槍の先から大量の槍が放出された。


「ちょ……それって『グングニル』じゃなくて『ゲイ・ボルグ』だろ!」

「どのみち神話から引用しているんだもん!」

「グングニル持ってるオーディンは北欧神話で、ゲイ・ボルグ持ってるクー・フーリンはケルト神話だろうに……全然違うぞ」


 だがしかし、大量に降る雨なんぞ、レイフォスのパターンチェンジからすれば何の問題もないのである。

 振り切ることなく切り続けるのだ。AGIは低いがそんなことは関係ない。

 まあ……自分が投げたグングニル本体を弾いた時、その槍がフィノのところに戻って行ったのには愕然としたが。


「えーとたしかマガジンが……あったあった」


 槍の先端部分をずらして中にある直方体を外して、新しいのと取り換えた。


「……やっぱり……ゲイ・ボルグ機能を付けるためのものは別にあったのか」

「私の担当は消費系アイテム。グングニルはカムイに作ってもらったけど、このマガジンを作っているのは私だよ」


 要するに大量にあるということだ。


「また面倒なことになったな……ていうか、なんで手元に戻るんだか……」

「あれ、知らないの?グングニルって投げても戻るんだよ」

「知らん」


 まあとにかく……。


「それが俺に勝てる材料だと思ったら大間違いだぞ」

「嘘でしょ!?結構自信作なのに……」

「経験の違いだ。と言うわけで行くぞ」


 レイフォスは再度突撃した。

 槍をまた投げてきているが、一度経験すれば何の問題もない。


「しまった。本気で倒しきる手段として使うべきだった」

「遅い!」


 レイフォスは大太刀を一閃する。

 胸をちょっと切り裂いたと思ったが、布だけ斬った。

 思わずパターンチェンジが止まってしまったレイフォスであった。


「……何かすまんな。いや、男の俺が言うのもなんだが……」

「むー……ゆるさーーーーーーーん!!!!!」


 グレネートを八つ当たりかと思うほど投げつけてきた。


「うおおおおおお!!!!!」


 レイフォスも必死である。

 なんでこんなことになったんだろうか。

 まあ、結果だけを言うなら、一応勝つことはできたのだが、何とも言えない心境になったのは間違いないのだった。

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