バトルロワイヤルからちょっと激戦だった
さて、NWOはイブである。
待ちに待ったデュエルカップが開催されている。
「うわー……なんかいろんな意味でヤバい感じになってるな……」
ゼツヤは茫然としていた。
まあ確かに、前年度よりも表に出てくる強キャラがたくさん出てきているので波乱万丈になると思っていたが、ここまでことに発展するとは思っていなかった。
いたるところで火柱が上がり、キラーモンスターの断末魔が響く。
「これはなかなか妙なことになりそうだな……ん?あれは……」
何かがものすごいスピードで多くのプレイヤーを斬り進んで行っている。
あの紫色の装備は……。
「カムイ、来てたのか。てことは、あの三人も来ている可能性が……大丈夫なのか?」
NWOをやっていて思うことがある。
バランスブレイカーって、面倒だな。と。
バランスブレイカー。ゲームにおいて、とてつもなく高いステータスや強力な効果をもった何かがごく少数に与えられることである。
一人いれば戦況を変えることが出来る。とでも言えばいいか。
ゲームにおいて、それはあまりふさわしいとは言えない。
だが、カードゲームにおいてどんなカードでも使い道があるように、NWOでも、どんなスキルやアイテムでもいい使い方があるため、想像力によっては、運営が考えもしなかった現象が発生することもある。
だからこそ、それらを抑えるために調整と言うものがされるわけだが、NWOはその部分が薄い気がしなくもない。
というか、根本的な下方修正と言った部分がかなり少ない。
カードゲームで言えば、制限や禁止と言った類のものがあまりにも少なすぎるのである。
だが、銃においてはかなり制限が強いので、システムそのものはしっかりしている。
自由度が高いと言えばいいのか、それともただの理不尽が認められるのか……。
ただし、ハイエスト・レベルに至っている者がバランスを崩しているということも事実である。
完全にいろいろとバラバラなので、一々制限するときりがない。そう言う状況だ。
「はぁ……バトルロワイヤルの時点でこれか。これは……大判狂わせがありそうだな」
ゼツヤは、このデュエルカップの優勝で誰が優勝するのかと言う賭けがいたるところで行われていることを知っている。
だからこそと言うわけではないが、多くのものが涙目だろうと思った。
「しかし……さっきから大規模な魔法は続いている。シャリオが生きているのは分かった。あと、さっきから雨(矢だけど)が降ってきているところを見ると、ミズハもまだ残ってるな。多分この二人は残るだろう」
しかし……空気が変だ。
「リオをマスターとした『ジョーカー』が厄介なんだろうな……レムも暴れているのか?」
全員がレベル100だろう。
というか、NWOは最初から最大レベルの100が解禁されているゲームなので、レベル100でないプレイヤーにとってはかなり不利なことになる。
レベルが100になってからが本番と言う意見もあるし、それに関しては大いに賛成だが、頭を悩ませる原因が多いということに変わりはない。
そして……。
決定した。
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ゼツヤ 俺
ミズハ ゼツヤの彼女
レイフォス エクストリーム
シャリオ エクストリーム
リオ ジョーカー
エルザ ジョーカー
ライズ ジョーカー
ドレイク ジョーカー
ザイル ジョーカー
サターナ ゼツヤの相棒
チアキ 相棒の……?
カムイ ゼツヤの弟子
アルモ ゼツヤの弟子
フィノ ゼツヤの弟子
ヘリオス ブリュゲール
レム セルファの娘
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「これはちょっと……コメントに困るな」
ミズハは予想通り残っていた。
だが、エクストリームメンバーからはレイフォスとシャリオだ。レイフォスに関してはギルドマスターとしての意地を感じていればいいのか、シャリオに関してはさすがの頭脳と考えればいいのか、それに関してはよくわからないが、去年は四人出場していたことを考えるとかなり削られたものだ。
ジョーカーからは五人が出場している。
上がってこなかったのは……シュラインとシフルの二人か。シュラインはいいとしても、シフルが負けたのか。あえて負けたと言う状況も否定はできないがな……。
サターナとチアキは勝ち上がってきた。流石相棒。チアキも頑張っているようである。
「去年まで出てきてなかった弟子が三人も出てる……」
カムイもアルモもフィノも、去年までほとんど音沙汰なかったのに、一体何があったのだろうか。
まあ、相手になった場合は全力でやるだけである。
「ヘリオス……何かあると思っていたが、今年は来たか」
ブリュゲールのギルドマスター。
今までのヘリオスなら、例年通りバトルロワイヤルで敗退しているのだろう。
「本来の方で来たといったほうが正しいとも言えるか」
うすうす感じてはいた。
何と言うか……薄いのだ。いつものあのヘリオスは。
いつか来るとは思っていたが、このタイミングで来るとは……。
「しかし……レム。来ちゃったな。セルファは今頃何を考えているのやら……」
いや、可能性がないと思っていたわけではないのだが、本当に来るというのはちょっと予想ができなかったのだ。
あの外見であの強さなので、初見殺しと言えばまあ通じるかもしれない。
「なんていえばいいんだろう。どうしてこうなった?」
ぽつりと漏らしたゼツヤの呟きは、多くのプレイヤーの気持ちを、最大限に代弁していたといえるだろう。




