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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
相棒と遺跡
149/218

動きはいろんなところである。デュエルカップに向けて

 さて、超巨大宮殿にて。

 覚えているだろうか。攻城戦で、ゼツヤとシュラインがリオに頼まれて(はめられて)作ったあの宮殿を。

 もう広すぎて訳が分からないとさんざん言われた。

 というか、作った二人もいまいちわかっていないと思うが。

 とにかく、そのある会議室で、メンバーが集まっていた。


「さて、今回のデュエルカップが最初の挑戦だな」

「ていうか、リオが出る時点で優勝候補決まるよな」


 リオの言葉にシュラインが呟いた。

 まあ、頭に来るほど運がいいからな。

 ゲームの話ではないが、リオの学生時代の体育の授業のバスケの試合の時であった。

 リオは当時、自分の運がいいことは自分でもなんとなく分かっているが、スポーツになるとそれが露骨にでるのだ。いや、勉強でもそうだけど。

 相手選手は転びまくるわ、自分はコートの端から適当に投げたらゴールに入るわで、本来なら起こらないような珍プレー連発試合となる。

 運が尽きる。という言葉がある。

 幸運が続いて、大事な時には不運になっているだろうという、まあ、日本人が考えていそうな言葉だが、リオにはそんなものは通用しない。

 終始一貫独壇場である。


「まあ、攻城戦では負けましたけどね」


 エルザが魚を料理しながら言った。

 ……いや、あれは主人公の彼女が悪い。ちなみに、人生で初めてリオが胃薬を飲んだ日である。

 リオは自分にそう言い聞かせていた。


「今年もシャリオは出るだろうか……」


 相変わらず右腕のみが訳の分からんオーラを放出しているライズである。

 在学中の大学がシャリオと同じだから気にしているのだろうか。

 まあ、心配せずとも、シャリオは毎年出ているが。

 あの魔法バカが出ない年はなかったからな。ここ数年。


「たぶん出ると思うよ~。他にもいろんな人が来るんだろうけどね~」


 ザイルがものすごく眠そうな顔で言った。

 まあ、トーナメント出場メンバーが毎年ほぼほぼ決まっているとはいえ、多くのプレイヤーが参加しているのは間違いない。


「俺は戦闘中の在庫数が心配だがな……」


 攻城戦の最中に社会的にほぼ終わっているドレイクが呟いた。

 まあ、ポーション担当ではあるが、その本命は、調合によってモンスターを生み出すことである。

 ストレージの容量は、特に何もしない場合は150キログラム。

 スキルスロットは、レベルが100なら15個はあるので、ゼツヤのような万能型ではないのでスロットに空きはあるだろう。それ以上でも問題はないし、調合品の多くは軽いのでほぼ問題ないと思われるが……。


「私も久しぶりに思いっきり振れそうですね」


 シエルも楽しそうである。

 因みに、第一子の男の子を産んだばかりだが、まあ、リオの妻だ。普通でなくとも特に問題はない。

 まあ、負けたらリアルの方で息子の相手をするつもりだが。


「さて、このメンバーでどれくらいの人数がトーナメントに行けるんだろうね」


 リオの予想は……自分を入れて五人だった。


----------------------------------

 その頃、ブリュゲールギルド本部。

 ギルドマスターであるヘリオスはいろいろ考えていた。


「セカイさんが言うには、このゲームはサービス期間が20年を迎えた時点で終了すると言っていたからな……そろそろ僕も本気で言った方がいいか?」


 ヘリオスと言うキャラで行く場合、彼はそこまで強いといえるものではない。

 が、それ以上の実力にならいくらでもできる。


「まあ、一応許可はある。もうそろそろ本気で行くべきか……まあとにかく、トーナメントの出場権利はもらうとしよう」


 フッと笑って、ストレージを確認し始めた。


----------------------------------

 城塞都市『ヴァルガ二スタ』のエクストリームのギルドホーム。


「さて、今年も頑張るか。で、セルファとクラリスは出るのか?何時も出ていないが……」

「私はMP自動回復のめどが立ったから出場するよ」


 クラリスは出場する予定のようである。


「私はあくまで盾役だ。出場はしない。ただ……」

「?」

「レムが出るらしいのだ」


 あの子。出るんだ。

 メンバー全員の思考は、大体そんな感じだった。


「重量武器使いだったか?」

「うむ、最近は、去年のバスターの大剣四刀流をやろうと頑張っていて、諦めて二本の斧で妥協したようだ」


 妥協と言う言葉の使い方が違うような気がしなくもないが、レムなのでどう表現すればいいのかが分からないのだ。

 不思議な子だからね。うん。


「レベルは?」

「一か月ほど前に100になったといって喜んでいた」

「やっぱりなってたか……」


 一体……どんな風に接してやればいいのだろう。

 オマケにあれはあれでかなり強いし。


「あれから一度、リオにあわせたのだが……」

「何かあったのか?」

「レムは『ハイエスト・レベル』らしい」

「「「「ええええええ!!!!」」」」


 サーガと言った本人であるセルファ以外の全員が絶叫した。

 クールなはずのサーガだが、頬がぴくぴくしている。


「あ、でもなんか納得できるな。ぶっちぎりの最年少だが」


 もとからコメントに困る子なのだ。別にそれくらいは問題ない。


「どんな風に育つんだろうな……」

「その言葉を私の前で言わないでくれ……」


 リアルでは日本でも有数のトップクラスの大学の理事長でも、NWO(こっち)ではただの苦悩するおっさんである。

 彼の心配が消える日は……作者の気が向かない限りないだろう。


----------------------------------

「お、ここにいたんだ」


 アルモはとある丘に来ていた。

 アルモの言葉に少年が振り向いた。

 身長はゼツヤ達とほぼ変わらない程度で、顔は好みに分かれるが悪くはない。と言った感じだ。

 武器は片手剣で、全体的な色は紫色だ。

 ただ、目が死んでいる。


「ちょっと素材集めにな」

「まあ、この丘は質が高い石が取れるからね。モンスターのレベルも高いけど」

「そうだな」

「師匠のところには行った?」

「そこそこ行っている」

「まあ、君の場合はそんな感じだろうね」


 自分と同じ、ゼツヤの弟子である『カムイ』の言葉に、アルモは頷く。


「マジックアイテムはいいものが出来たのかい?」


 カムイの担当である。


「40点と言われた」

「師匠って採点厳しいもんね。でも、40点超えるだけでもすごいんじゃない?」

「それもそうだがな」


 カムイは手に入れた青い石を手のひらで転がしている。


「デュエルカップには出るのかい?」

「ああ、今年から出るつもりだ。アルモはどうなんだ?」

「僕も出るつもりだ。まあ、ピクルとホルンとローズの三人は、毎年出ているみたいだけど」

「そう言えばそうだったな」


 カムイは三人のことを思い出した。


「で、フィノはどこにいるか知らないかい?僕の情報網にも引っかからないんだけど」

「あのボクっ娘忍びか。俺も見ていないが……」


 次の瞬間。二人の中心に人影が……。

 忍び装束の女の子だった。

 身長は低い方で、細い体つきだ。胸もね。


「呼んだかい?」

「「別に呼んだわけではない」」


 二人はハモった。


「で、フィノ。一体どこにいたんだい?」

「いろんなところをうろうろしてた」


 迷子か!


「っていうのは冗談で、『居城ヴァルハラ』にいたんだよ」

「『主神オーディン』がいる場所だったか。一体何しに行ってたんだ?」

「新しい冒険だよ!」


 ……なんもいえねぇ。


「で、いいアイテムは開発出来たのかい?」


 弟子は六人いるが、彼女のみ消費アイテムの開発である。


「出来たよ」

「師匠のところには?」

「行った。70点だった」

「高っ!」


 一体何を渡したのだろうか……。

 それでも100点ではなかったんだな。


「で、フィノは出るのかい?デュエルカップ」

「ボクも出るよ。弟子がみんな出るって言うし、それにもうそろそろ、いろいろ考えるべきだからね」

「まあ、俺達はスピリットアバターだからな」


 誰が言いだしたのかは思いだせないが、リアルでは死亡しており、脳のデータをコピーして疑似人格を生み出す技術を用いて作られる存在。

 弟子の六人は、全員がリアルではすでに死亡している。

 ホルン、ピクル、ローズの三人はシャリオの手に寄って今の状態だが、アルモ、カムイ、フィノはゼツヤに寄って今の状態になっている。

 だが、彼らには限界がある。

 記憶の保存量と言うことではない。

 彼らは、NWOの中だけでしか、生きることはできないのだ。

 26世紀である現在、脳のデータのコピーは法的にかなりギリギリの部分であり、彼らは、NWOの中に存在するキャラクターとして存在している。

 NPCと言うわけではないが、プレイヤーでもない。

 そう言う存在なのだ。

 彼らは法的にNWOにしかいることができないため、この世界が終われば、彼ら全員も消える。

 そして、無限に続くゲームなど存在しない。

 ゲームは20年続けばいい方だとされている。

 現在、16年目。今年を入れて残り五年なのだ。


「そろそろ、何か残しておいた方がいいかもしれないね」

「まあ、そう言うことだ」

「大規模ボス攻略とかやってみたいね。まあ、確実にインフレするけど、こっちが」


 確かにな。と苦笑した二人だった。

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