極宝剣完成。でも装備はやっぱりできなかった
「竜一。どうしたんだ?お前が授業中にうとうとするなんて珍しいな」
教室で話していた。
しかし、竜一、眠るは愚かうとうとすることすら珍しいという。生活態度よすぎである。
「ああ、欠片をこの前見つけたろ」
「そうだったな」
「出来たんだよ。極宝剣」
「……え?」
「だから出来たんだって」
と言うわけで、帰って早速ダイブ。
「さて……何で俺よりも武器庫に行くのが早いんだよ。サターナ」
「別にいいだろう」
「まあ確かにそうだがな」
「まず聞こう」
「なんだ?」
「装備で来たのか?」
ゼツヤは何も答えずに歩き始めた。
あえて何も言わないサターナだった。
そして、それは台座に立ててあった。
純銀の輝きを放つ剣で、シンプルではあるが、神々しさはかなり強い。
鑑定結果はこんな感じだ。
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【極宝剣シルバニオル・レゾナンス
製作工房 オラシオン
ATK4500
耐久値無限
・常時発動効果
『STRMAXUP』
『HPMAXUP』
『MPMAXUP』
『強奪無効化』
・特殊効果
【魔法を切断可能】
・起動効果
【・・・・・・・・・・(鑑定不可)】
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「こんな武器のATKなんて初めて見たな……それに、MAXUPなんて初めて見た」
「俺もだよ。我ながらよくわからないものを作ったもんだ」
「しかし、最後の起動効果が分からないのは置いておくとしても……魔法切れるのか。今まではアクションスキルを使わないと切れなかったからな」
「そうだったな」
さて、極宝剣とは言うが……一体この剣が何をもたらすのかね……。
「しかし、シンプルだな」
「それは俺も思った。確かに、攻撃力はすさまじいが、俺には装備できないからな。長剣があれば個人的にはほぼ問題はない」
それもそれで事実である。
「お前はこの剣をどうするつもりなんだ?」
「それを今考えてる。まあ、極端な話、誰かに渡すのであれば、片手剣使いに渡すさ。ゼノンに渡してもいいが、アイツは二刀流だからな。片方の剣が強すぎるとバランスがおかしくなる」
「といって、テラリアに渡してもな」
「黒曜石が重点に置いているギルドだからな」
まあ、本当に毎日毎日黒いもの見すぎている可能性がある。純銀のものを渡したらちょっとヤバい空気になりかねない。
「片手剣使いって多いけど……周辺メンバーには少ないな」
「逆に、現段階最強プレイヤーが片手剣使いなんだけどな」
「ん?……ああ、リオか」
ジョーカーの活躍はそれなりに聞いている。
エリアにおけるアップデートでいろいろ追加されたが、それらのエリアを開放しまくっているらしい。
うーん。よくわからん。
「複雑だな」
「だろうな」
渡したらいろんな意味でヤバくなると思う。あのポテンシャルでこんな化け物渡せない。
「誰にも渡さない方向性で行くとすれば……ゴディアスあたりにでも渡しておくか」
「ゴディアス……NPCソルジャーか」
「そうだ。悪い話ではないしな。多分装備できるだろうし。ていうか、作った俺が装備できないってやっぱりおかしいと思うんだよ。そのあたりどう思う?」
「俺に言うな。まあ、そんな調子で作るのはいいとしても、装備なんぞされたらインフレにもほどがあるだろ。そう言う理由なんじゃないか?」
「インフレなんて今更だろ。俺達『ハイエスト・レベル』にとっては」
「久しぶりに出てきたな。その呼び方」
定義したのはリオだがな。
「で、結果的にどうするんだ?」
「まあ……今は考えるさ。さて、次はどうするかな……」
「好きにするといいさ。ただまあ、遺跡探索は楽しかったぞ。やっぱりお前と一緒にやるのは充実している」
「相棒なんだから当然だ。だが……遺跡はもうこりごりだ」
「ふふ……」
サターナは小さく笑った。
「次は何を作るんだ?」
「弓」
「お前らしいな……で、ミズハには誕生日プレゼントは渡したのか?」
「NWOでは何も渡していないが、リアルでワンピースとか作っておいた」
「器用な奴だ……」
「それがオラシオンだ。まあ、何を渡してくるかは予想していたみたいだがな……」
「勘……だよな」
「ああ。そうだな」
もう本当にあれはどうにかならんのか……。
「勘のいい彼女を持つと苦労するんじゃないか?」
「しますね~。うかつなこと出来ないし」
「しかもリアルじゃ人気アイドル。なんでスキャンダルにならないのか逆に不思議だ」
「いろいろやっているらしいな。あと、結婚したらアイドルはやめて専業主婦になるとか言っていた」
「もうそこまで考えているのか……」
「俺は職に困らないだろうし、ミズハの方も勘だけで株とか為替やったらバカみたいに稼げるからな」
まあ、リオみたいに買った株の値段がバカみたいに上がることはないだろうから、上がり方はちょっと微妙だろうがな。
「そう言えば、もうそろそろデュエルカップの時期だな」
「そう言えばそんな時期か……サターナは出るのか?」
「無論だ。チアキも出るといっていた」
「アルモも出るって言ってたな」
「お、弟子全員参加か?」
「いや、俺の弟子、全員で6人いるから」
「……それを弟子たちは知っているのか?」
「もちろん。あと二人いるけど、そっちの方の弟子も知っているよ。まあ、アルモとその二人は普段からいろんなところに行っていて忙しいから呼んでもすぐには来ないからなぁ……」
「妙な師弟関係だな……」
「そうだな。さて、今年はどうなるのやら……」
「ゼツヤは全盛期が1年にならないように気を付けないようにしないとな」
「……そう言えば、俺去年優勝してたんだった……」
忘れてた。
「でもまあいいがな。だって俺生産職だもん」
「まあ、お前がそう言うのならいいが……」
サターナとしては複雑である。
とまあ、そう言うことなのだ(どういうことだ?)。




