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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
相棒と遺跡
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一年以上も投稿していたら久しぶりくらいあるものだ。

「やっと……やっとラスボスだよ!ちょ、師匠。大丈夫?」


 ヤマタノオロチ・原種を倒して、その後も進んでいるわけなのだが……長い。

 地下大空洞。その名は伊達ではなかった。

 いや、最初に具体的な数字を宣告されたけどさ。


「……結構限界です。はい」

「持続力足りないぞ。ゼツヤ」

「だって普段インドアなんだもん」

「インドアって言うか、お前の工房は穴倉だろ」


 否定できません。あの工房ドアないし。

 いや、昔はあったんだけどね。アップデートでドアがあったあたりがぶっ壊れちゃって。そこからはもうワープしか使っていないのだ。


「ワープと言うのは人を堕落させる。それだけのことなのだ」

「まあ、それもそうだよね」


 ワープするということそのものがゲームならではと言う意見もあるが、VRMMORPGである以上、いろいろ考えるものがあるのだ。


「ていうか、ハーフの時の蛇で『草薙剣(くさなぎのつるぎ)』をくれたけど、なんでなんだろうな」

「そう言えばそうだな。本来は、スサノオが手に入れた『天叢雲剣あまのむらくものつるぎ』に、ヤマトタケルが名を与えることでこの名前になるはずだが……」


 今回、ドロップとして手に入れたのはサターナなので、クエストであれば、スサノオ役がサターナと言うことになるだろう。だが、いきなり草薙剣だったのでびっくりした。


「NWOだからね……めんどくさかったんじゃない?」


 実はこれは本当だったりするのだ。手抜きにもほどがある。


「まあ、とにかく、これで最後だ。行くぞ!」


 ゼツヤは扉を開けた。

 広い空間だった。

 かなり奥に玉座がある。

 そこに、巨人が座っていた。

 やや竜的な印象のあるフォルムで、しかも色が白や金なので神々しいイメージがある。


「よく来た。冒険者たちよ」


 物凄く重々しい声だった。


「人語を話すモンスターか。珍しいね」


 アルモが呟いた。 


「ふむ、まあよい。余の名は『シグマ』だ」


 ゼツヤは叫んだ。


「なんだお前なんだよ!」

「え、何!?余の住みかに入ってきたのは貴様が初めてのはずだが……」


 リアル時間で九か月くらい前に出てきたやつだ。

 な、何故こいつがここに設定されているんだ?

 まあいい。とにかく倒してやる。

 同じところを何時間も歩かされたんだ。八つ当たりしたって文句はあるまい。


※主人公としてあるまじき行為です。


 さて、行くぞ!


「ふふふ、我が召喚を見せてやろう。『ホープレスナイト』」


 なんかダンボールがたくさん出現して、その中からくすんだ色の鎧をきて、もう既に空になった酒の瓶を片手にもって、もう片方の手に剣を握っている騎士が出現した。

 ……やっぱりこうなるのか。


「『ホープレス』じゃなくて『ホームレス』だろ!」

「るせぇ!貴様のようなさえない男があんなかわいい彼女なんてできる方が不自然だろうが!どうせ弱みでも握ってんだろ!」


 なんか逆ギレされた。


「うるさいのはこっちの台詞だ!俺は弱味なんぞ握ってねえよ!ミズハのハートを握りしめただけだ!この人生の敗北者共!!」


 同じって言うか使い回しじゃねえか!


「ていうか、連れてきてねえのになんで分かるんだよ!」

「勘に決まってんだろうが!」

「変なところで俺の彼女の長所出すんじゃねえ!」


 第三者からすれば五十歩百歩である。


「そして、そこの黒いの!」

「ん?俺か」


 サターナが反応した。


「貴様もだ!この小説で数少ないおしとやかキャラを手ごまにしやがって!」

「……?別に俺と千秋はつきあっている訳ではないが……何がいいたいんだ?」

「だよな。どういうことだ?」

「師匠……サターナ……」


 アルモは悲しいものを見るような目でゼツヤとサターナを見た。


「ん、どうしたんだ?アルモ」

「いや、何でもない」


 アルモは棒を構えなおした。


「貴様だけは絶対に許さん!この剣の錆びにしてくれる!」

「だからすでに油で……ギトギトじゃねえ!ちょっとメンテされてる!」


 九か月の間に成長したのか?


「貴様、どこまで我らを愚弄すれば気が済むのだ!もう許さんぞ!」

「ええい!もうなんか面倒になってきた。一思いにやってやるぜ雑魚どもが!」


 ゼツヤは長剣を構えなおして突撃する。


「ん?やっと始まったか。『ブレイジングソウルベ……」

「遅い!『ハードバランス』!」


 ゼツヤは魔導書(グリモア)を引っ張り出して使用する。

 モンスターのステータスアップがなくなった。

 ちなみに、本を取り出すことになるわけだが、それは胸ポケットから取り出している。

 で、そんなポケットに本一冊が本来のスケールで入っているはずがなく、ポケットから出す時にものすごく大きくなるのだ。

 はたから見れば猫型ロボットが付けているポケットである。


「どうなってんのそのポケット!?」

「俺は創造神だ。今更驚いてんじゃねえ!」


 というか、あくまで設定年代の話だが、NWOがあるのは猫型ロボットができた世紀よりも四世紀あとである。

 ゲーム内でこんなシステムが出ていても別に不思議はないのだ。

 まあ、胸ポケットにそれをするかどうかは個人に寄るだろうが。


「ならば……『レイズゲート』」


 一体何を呼び出す気だ?


「……MPが足りなかった」

「イオ○ズンか!」


 コメディボス属性は健在かこのポンコツ!


「なんか面倒になってきた」


 ゼツヤはアイテムストレージから紙を大量に取り出して、それをポケットに入れていた革で本になるようにはさんでそれをシグマ達に向けた。


「『即席魔導書(インスタントグリモア)』だと!」


 そんなアイテムジャンルはありません。魔導書は魔導書です。


「『サティスファクション・レイン』!」


 グリモアから大量の細い光線が放出される。


「ちょ、規模理不尽じゃね!?」

「超級魔法をほぼほぼ自由に使える俺を相手にした時点で理不尽確定に決まってるだろ!」


 しかも、魔導書だからクーリングタイムもないしね。

 ぶっちゃけ連発できる。


「ぬおおおおお!うお、騎士が全部やられてる!」


 当たり前じゃ。超級魔法の中でも鬼畜的な威力があるからな。

 ……しかも隠れて六連発してたし。


「おい!?」

「え、何?」

「地の分読んだわ!ふざけたポテンシャルもいい加減にせよ!我を誰だと思っている」

「コメディボス!」

「やかましいわ!ふうむ、MPがほとんど残っておらんな。だが、こう言うときのためにMPを回復できるアイテムを……いれていた袋が全て貫通されている……」


 させるかバーカ。


「貴様。一体どうやって……」

「勘に決まってんだろ」


 オーバーライド『直感』である。


「理不尽だ……」


 自動回復できないお前が悪い。


「まあよい。こうなれば、我自らが拳で語るまでよ」


 MP一割も残ってなかったのか?

 シグマは玉座から立ち上がり……腰がグキッと悲鳴を上げた。


「こ……腰が……」

「「「……」」」

「ちょ……ちょっと待ってくれぬか?湿布を貼りたいのだが」


 なんていうかすごく爺クサいな。


「させると思うか?」

「まあぶっちゃけ、ボスは倒しやすい方がいいしね」

「すごく締まらないのは事実だが……まあ、クリアできれば問題ない」

「このKY小僧どもが!え、あ、ちょっとま……ギャアアアアアアアアア!!!」


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「で、何か手に入ったか?」

「それよりもまず……ゼツヤ、何かあったのか?」

「師匠、あのボスとすごく知り合いっぽかったけど……」

「忘れてくれ……あいつ疲れるから……」


 サターナとアルモはあえて何も言わなかった。


「さて、ドロップアイテムは……あ、『極宝剣の欠片』って言うのがある。僕も知らないアイテムだ」

「……そうか」


 九か月前にアイツが使っていた剣。アルテミオスオーガだったか。あれ出てくるんじゃないだろうな。

 そんなことをひそかに危惧していたゼツヤだった。

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