心労
矢次はセカイのいるマンションに来ていた。
「お、来たね。なんかやつれているけど……」
「兄さんに振り回されて……途中からヘリオスでいられなくなったし……」
「彼、なかなか凄まじいからね」
セカイはログを見ている。
「しかし、ことごとく粉々にされたものだね」
「ゼツヤをなめていた訳じゃないが、なかなかの鬼畜っぷりだった。いったい誰に学んだんだか……」
「彼の母親はなかなかそう言うことにもなれていたはずだけど……」
「母親譲りだったのか」
「うん。そう言えば今年で30歳になるんだったかな」
「ふーん。え、若すぎないか?」
「え、言ってなかったっけ、ゼツヤは母親が13歳の時に産まれたんだよ」
「中学一年生で産んだのか……」
衝撃の事実である。
「じゃあ、ゼツヤが小学五年生になるまでは本人も学生をやっていたのか」
「うん。まあ、流石にやばそうだったけど」
「けっこう詳しいんだな」
「そりゃそうさ。彼女は僕のいとこだからね」
爆弾二発目。
「なんかすさまじいな」
「遠い親戚だからね。竜一も知らないんじゃないかな」
「色々とあるものだが……凄まじいな」
「そう言うものだよ。それにしても、彼もよく育ったものだ」
「まあそれはあとでかんがえるさ。それで、今度は何をする気なんだ?」
矢次は唯一の工作員だ。セカイが新しいことをすれば、それに応じて動く必要がある。
「それは今は考えている途中だ。まあ、夏ごろにいつもイベントを考えているけど、今年はどうしようかなって迷ってる。色んな個性のあるプレイヤーがたくさん表に出てくるようになったからね」
「何か考えているのか?」
「まあないわけではないが、それよりも前に、何かしらの企画があるようだ」
「企画?」
「詳しくは僕も知らないけどね」
セカイはからからと笑う。
「さて、どうしようかな。そう言えば、僕が設定していない世界が前年度あったらしいね」
「ああ、あれか」
本来とは違う襲撃があったあれだ。
「いったい誰がやったんだろうな」
「一応目星は着いている。潜入操作でもしようかな」
「今度の仕事は面倒なことになりそうだな……」
矢次はげんなりした




