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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
ダンジョン作成によるヘリオスの再暴走
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失敗を恐れないことは素晴らしいことなのである

 さて、ブリュゲールはすでに、何台も機関銃を完成させたようだった。

 そしてそれを、前回つくった戦車に搭載する。

 まあ、機関銃を乗っけた戦車は確かに驚異ではあるだろう。

 しかも、構造そのものはものすごく難しく、真似するのは困難なのだからまあいい話なのかどうかは別にしてかなり良いものではある。

 まあ、他のゲームに行けというのが一番の思考ではあるが、それは今さらなので置いておくとして、ちょっと面倒なことになっていた。


「なあ、ゼツヤ」

「どうしたんだ?バスター」


 現在、バスターがギルマスを勤めるギルド、『リトルブレイブス』の拠点がある『ロミュナス』と言う町に、機関銃搭載戦車がたくさん進行してきていた。


「何であんなに有るんだ?」

「量に関して問うのは野暮だろ、あいつらには」


 そう、その戦車の数、なんと500台。

 もうね、いっそ清々しいよ。本当に。


「『ネスティーアステリスク』の大量栽培方法でも発見したのかな。構造的にそうじゃないと、持久力皆無なんだけど……」

「大量栽培方法、あるのか?」

「無い訳じゃないよ。すごくめんどくさいけど」

「ようするに、めんどくさいけど出来ないわけではないのか。そして、それを達成する根性があったってことか?」

「いや、金があるんなら、NPCソルジャーでも出来ない訳じゃない」

「要するに金か」

「簡潔に言えばな」


 ブリュゲールのある意味で一番の強みなのだが、これはこれでなんというか……ウザイ。


「壊すのにどれくらいかかるんだ?あれらは」

「いや、機関銃を搭載した戦車と言う認識方法だから面倒だと思うだけだよ」

「?」

「戦車のデメリットはなんだと思う?」

「NWOにおいては小回りが効かないことか」

「まあそんな感じだ。動かす方法がアナログだからな。そして、ガッチリと装甲で固めている。すぐには逃げられない」

「……ん?」


 バスターにはゼツヤが何を考えているのか分からなかった。

 ただ、どうせ鬼畜なのだろうと悟った。


「ゼツヤ、いったい何が言いたいんだ?」

「『走る機関銃』は怖いけどさ、『動くオーブン』なら怖くはないだろ」

「……え?」


 戦車を目の前にして動くオーブンと言うのは……。


「焼くのか?あれ」

「たぶんそれが一番手っ取り早い。それに、NWOは調合師がたまに使う手段だが、手榴弾とは言わないが、爆発物はしっかりあるんだよ」


 ゼツヤは懐から楕円形の物体を取り出す。

 しっかりと安全ピンがついている物体だった。


「そういうの手榴弾って言わないか?」

「言いません」

「じゃあ何て言うんだ?そのアイテム」

「『グレネート』と言います」

「ぶっとばしていいか?ゼツヤ」

「止めてください。これの側では火気厳禁です」


 言葉を使う状況を間違えている気がするのだが……、とバスターは思ったが、あえて追求しないことにした。というより、追求することをめんどくさがった。


「じゃ、ちょっと行ってくる」

「そのグレネート、装甲に穴を開けれるのか?」

「無理な分量で調節している」

「じゃあどうやって中に入れるんだ?」

「戦車って上は柔らかいから」


 間違ってはいないはずだがな。

 ゼツヤは近づいていくと、戦車の上に飛び乗って、剣で戦車の天井を刺しまくってこじ開ける。

 そして、ピンを抜いて入れておいた。

 そして、直ぐ様バックステップ!


 ドッカアアアアアアアアアアアアアアアアアン!


「……」

「……」


 ゼツヤは遠くでバスターが自分のことを汚物を見るような目で見ていることを感じていた。


「火薬の分量、間違えたかな。いや、確かに装甲は砕けなかったけど」


 くだけなかったし、現在炎上中なのでやりたいことは達成した。

 が、爆発音がでかすぎて心臓に悪いのである。

 ちょっとバスターがいるところに戻っていった。


「凄まじかったな」

「うん」


 あ、炎上中の戦車からプレイヤーが出てきた。


「オーブンから食材が逃げ出すとは、火力が足りなかったかな」

「お前はいつから料理人になったんだ?」

「前年度の文化祭を俺は忘れない」


 いったいどれだけ作ったのかさっぱり覚えていない。

 なんせ調味料レベルで細かく作っていたときもあったからな。


「ま、ちょっと行ってくる」

「そうか。まあそれはいいが、どうやって切り抜けるんだ?もう簡単には通してくれないと思うが」


 バスターが前方を見ると、すでに機関銃はスタンバイ完了であった。

 どこからどう見てもこちらを蜂の巣にする気満々である。


「まあそこは考えようだ」


 ゼツヤはインゴットを取り出した。

 黒い金属だった。


「なんだそれ?」

「かなりピーキーな金属だ。名前は『リソースモーメント』って言うんだけどな。日光があると爆発的な性能を誇る金属だ」


 ゼツヤは黒い長剣を構え直す。


「『モンスタークリエイト リソースモーメントゴーレム』」


 リソースモーメントが黒く輝き、粒子になると、次の瞬間、高さ8メートルのゴーレムとなって出現した。

 もとの色が黒いので恐ろしいほど圧迫感がある。


「思ったんだが、クリエイトというより、錬金術に近いな」

「まあそうとも言えるがな。素材に関しては『創造媒体』みたいな感じで考えていいと思うぞ。それじゃあ行ってくる」


 ゼツヤはゴーレムに先にいかせる。

 次の瞬間、機関銃が弾幕パーティーを開催するが、ゴーレムに傷をつけることはできても、全てが決定打にはならず、傷が発生した瞬間からすぐさま回復し、傷が消えている。

 リソースモーメントの特徴。

 日光があれば、ものすごく強くなる。

 なお、この日光は他の光では代用できず、日光がない場合はちょっと固い程度の性能になる。

 需要は知らないが、まあ、そんな金属だ。

 まあ、今の状況下では、かなり相手にしたくないカテゴリーではある。

 ゼツヤは次々と戦車をオーブンに変えていった。


「失敗を恐れないことは素晴らしいことなんだが……どうもゼツヤが相手だとなぁ」


 スッキリしない。

 要するに、それだけなのだ。

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