なんか色々面倒なことになった(今更)
竜一、デュリオは二年三組、エルザこと直樹は二年四組である。
で、もうバスケの試合がひどいことになっていた。
この三人が一緒のチームになってしまったのである。
「よっと」
竜一がハーフラインからスリーを入れ、
「それっ!」
デュリオがダンクを叩き込み、
「ん」
直樹が超高速ドリブルのあと突然急減速→アリウープでゴールに入れる。
相手がバスケ部五人だったが、実質三人対五人でフルボッコにしていた。
まあ、授業中なので試合時間は五分である。
結果。
28対0。
バスケ部がかわいそうになっていた。
試合終了後、『作者ぁ。一点くらいとらさせてくれてもいいじゃねえか……』と嘆いていた。
知らんな。
とまあ、そんなひとこまはさておき、放課後、竜一、デュリオ、直樹が『NWO研究会』の部屋にいた。
二人が入ったわけではない。ただ単純に、そのほうが都合がいいだけだ。
位置的な話で。
「しかし、ブリュゲールの連中、なんだかんだ言って進んでいるよな」
前回は大々的に宣告していたが、今回はそんなことはせず、地道にやっている。
「ただ、何て言うかな。NWOって過疎地域がバカみたいに多いし、そういった場所を占拠しない限りは痛くも痒くもないんだよね」
デュリオ。それをいったら終わりだ。
だが、正論でもある。仮にロードキャッスルが占領されてしまった場合、様々な部分でプレイヤーの動きが鈍くなるだろう。
ロードキャッスルは安価でいい物件が揃っているし、バスタードマーケットがあるのでその利用場所がなくなった場合、多くのプレイヤーが困る。
「多分だけど、バスタードマーケットが使用できなくなったら、数兆レイク規模の損害になるだろうね」
直樹、あまり生々しい数字を出すな。否定できないけど。
「今はどんな感じになっているんだ?」
「リトルブレイブスの傘下の情報ギルドがあるんだが、そうそろそろロミュナスに到達するかもっていってたかな」
「いや、それってお前のところのギルドホームがあるところだろ」
中規模なギルドとホームの大きさだが、メンバーは悪くはない。
今日子先生もいるしな。
だってあのブリュゲールを運営できる実力があるのだ。なかなかすごい人である。
「僕としては釣り場が占領されなかったらどうでもいいんだけどね」
「お前はそうだろうな。ていうか、連中にとっては優先度低いだろうなぁ……」
NWOで釣りをするプレイヤーは珍しいと言えばまあ珍しい方なのだ。
要するに需要の話になるのだが、あまりにも低いのである。
「それにしても、NWOのシステムって色々と穴があるんだね」
「いや、直樹、生産職としての視点から言わせてもらうが、実は、いまがバランス的にギリギリなんだよ。デザイン的に」
「そうなのか?」
「ああ、特に細工師が作るものは、組み合わせの前で銃の部品っぽくなるのは初心者ではよくあるんだよ。俺もそうだった。だから、そう言った禁則事項が多いと、初心者が特に苦労する。デザインとは言うが、これがシビアな世界だからな」
「そうだったのか。僕は料理担当だからよくわからなかったが……」
「NWOって、長いことやっていても全くわからないことって多いからなぁ」
「竜一はアイテムのことは大体わかっているんだろ?」
「いや、漠然と把握しているっていうか、認識しているって言う程度だな。ようは自分が困らない程度でいいんだよ。NWOは最近は何かに専攻しないと、生産職ってなにも売れないから」
作ったものがすでにあったりする場合がほとんどなのだ。
しかも、実力主義と言うより、成果主義であるNWOなので、レベルや狩り場にもよるが、毎回毎回役に立つ場合はかなり少ないし、そもそもバスタードマーケットにいったら大体なんでも揃っている。
新米プレイヤーにも様々なアイテムがあるものだが、どこまで意味があるかどうかは本人次第だ。
そう思えば、リアルマネー課金アイテムだけでいままでうっとおしかったブリュゲールはすごいとも言えるがな。
「とにかく、防ぐとしたらどこになるんだ?」
「そうだなぁ……バスタードマーケットがあるロードキャッスルは確定なんだけど、他はあまり決めていないな」
マジカルストーンは需要が高いので、それをとれるダンジョンはよく占拠されやすいが、まあほとんどは多勢に無勢ですぐに終わる。
「思えば、ロードキャッスルという町があるからNWOって成り立っているのかもな」
竜一の呟きに二人はうなずいた。
「さて、今回はどこまで行けるんだろうね」
「ロマン兵器……か。需要的にどうだろ」
「ないと思うぞ。銃すらまともに無いのにロマン兵器を思い浮かべても仕方がないからな」
たっている土俵が違う。それもかなり。
「自重しないのは分かっているけどさ。もうちょっと考えてほしいよなぁ」
今年はまあなんか色々やってくれそうなのだった。




