ため息の行方は誰も知らない
露崎佐賀弥。
名前だけ出せば誰なのかさっぱりわからないが、実はこれ、サーガのリアルネームである。
通っている高校は南雲高校。作者がパッと思い付いた名前……ゲフンゲフン。まあ、偏差値は普通で授業料の高い高校だ。
設備はかなりランクが高い。その維持費で経費が高く、授業料が高いと認識すればいい。
佐賀弥はため息を吐く。
南雲高校は佐賀弥の地元の高校なので通っている高校だが、生徒の中にははっきりいって真面目ではない生徒も多い。
例えば、二年生になってクラスメイトになった生徒の中には……、
「ふふふ、今度こそブリュゲールをトップにするぞ。ダンジョン作成を有効的に活用しなくてはな」
昼休みにそんなことをいっている生徒もいる。
もうなんとなくみんなわかっているかもしれないが、一応いっておこう。
富里矢次。
ブリュゲールギルドマスター。ヘリオスのリアルである。
そう、同じ学校の生徒だったのだ。去年は全く気づかなかったのに。
「素材重視のダンジョンを傘下のギルドに作らせて楽に素材を入手して、それを使ってスミスギルドに任せれば、ふふ、強力な装備をてに入れれること間違いなしだ」
いったい何万人が気付けるかというような作戦で不気味な笑い声をあげているのだろうか。
佐賀弥には理解できない。
まあ確かにいい手段ではある。
素材重視でダンジョンを作成し、その素材のランクをつぎ込めるだけポイントをぶちこんでいれば、それは活用できるだろう。リアルマネーが多く、間接的に大量のレイクを集めることができるヘリオスなら尚更だ。
ただまあ、ゼツヤを越えられるわけではないだろう。
しかし、数が重視で、今までは課金アイテムのなかでも高額の装備で強化していたブリュゲールが、今度は素材がよくなり装備のランクが上がるとなると、戦力強化は避けられない。
「シンプル・イズ・ベスト……と言うことなのかな」
ある意味でヘリオスはそれに忠実である。
小賢しいことを考える知力を持っていないと言うこともあるが。
設定できる素材にも寄るだろうし、結果的にどこまで強くなるのかは分からない。
「さらに、マジカルスクロールの素材も設定できれば、あの作戦をまた使える。これはいいことだ」
佐賀弥はNWOのホームページを開いて、ダンジョン作成の項目を見る。
マジカルメリーの代役は出来そうになかったが、劣化版はいるようだ。あと、マジカルストーンの大量発生は可能とのこと。
劣化版、どの程度までなのかさっぱりわからない。
それでもシャリオ一人の方が面倒だろう。確かジョブは『宮廷魔導師』だったか。
まあいいか。
「他にも策はあるかもしれんな。まだまだ考えてみようか」
数万個くらいあると思う。
ダンジョン作成というが、ダンジョンは文字通り千差万別だ。
しかし、レイクからダンジョンの専用ポイントに変換できるというこのシステム。
これがあるからこそブリュゲールがやかましくなるのだろう。
運営が何を考えているのかは考えるだけ無駄だろう。
だが、少しは自重して欲しいものだ。
運営も、ヘリオスも。
「ふふふ、フフフフフフフフフフ」
聞くだけ無駄のような気もするが、ヘリオスは思ったことがすべて口に出るタイプの人間だ。聞いておいて損はない。
前年度、散々大暴れしていたからな。
解決したのほとんどゼツヤだけど。
ただ、優秀な素材が集めやすいという意味では、ヘリオスの兄が前年度以上に仕掛けてくることも考えられるし、可能性が高い。
「兄さんにも連絡するべきか。兵器オタクが仲間にいたらしいからな、もしかしたらこんどはあのゼツヤを越えられるかもしれない」
それは……無謀な挑戦なのではないか?
挑むことは勝手にすればいいし、勝手に玉砕していればサーガとしてはなにも問題はないが、戦う相手を間違えている気がする。
最近この小説、ゼツヤが作るアイテムよりもキャラのプレイヤースキルの話になっている傾向があるものの(メタ発言やめろ)、それでもゼツヤの生産能力は圧倒的だ。
そう言えば、ゼツヤの切り札のあの黒い長剣。アップデートで強化されていないのかな。ちょっと気になった。
アップデートで装備の効果が変わると言うことはほとんどないが、あそこまで特殊な武器だ。何かあってもおかしくは無いだろう。
そこはあとで確認すればいいか。
「ゼツヤを越えたあとは、いよいよ進撃だ。ブリュゲールが天下をとる日は近い」
兄のことはどうでもいいのか?サーガが思うに、似たような性格の兄弟だが。
ブリュゲールの協力(?)があったとはいっても、戦艦や戦闘機まで作るような思考回路だ。
こんどは何を作るつもりなのだろう。素材によっては無茶ができるだろうし、ロマン兵器かな。前提がNWOであることを考えると戦艦や戦闘機もロマンのはずなのだが。
というか、一番最初の目的がゼツヤを負かすことか……ハードル無茶苦茶高いな。もう少し下げたほうがいいぞ。
「はぁ……」
佐賀弥はため息を吐いた。
これからの日常生活でため息が一番多いのは佐賀弥かもしれない。
こいつらはいったい、どこに向かっているのだろうか。




