アップデートはダンジョンメイク
さて、四月となり、竜一は二年三組となり、なぜか桜とデュリオと冬香がクラスメイトというフラグ臭の漂うなか、四人は集まっていた。
「新しいアップデート見たか?」
まず竜一から話し始めた。
「ああ、見た。アップデートで『ダンジョン作成』が追加されたようだな」
そう、いままでなかった要素、ダンジョンの作成がアップデートで追加された。
なんと今から始めるプレイヤーであっても簡単なダンジョンなら作成可能というシステムらしい。
「具体的にどんな感じなんだろうね」
「分からないが、自由度は高いだろう。少なくとも、洞窟しか作れないと言うことはないはずだ。なにせ、ただ単に広いエリアが新しくできていたからな」
「NWOっていうのは、どんなプレイスタイルであっても腕があれば稼げる。ダンジョンを作ったことと、通常のプレイに関するゲームバランスを考えれば、多分ダンジョン作成者は自分で作ったダンジョンが攻略できないって言う制限くらいだろう」
「効率のいい稼ぎ方ってあるのかな?」
竜一は少し考えたあと言った。
「俺みたいな生産職には嬉しいかもな。例えば鉱山を掘った感じのダンジョンを作っておいて、それを適正レベルにあったプレイヤーにレイクを渡して攻略、というか素材スポットを掘らせて、あとはそれらを買い取る。こうすれば、比較的安い金額で素材の入手が可能だ。ゼノンあたりが実際にやりそうだけどな。あとはそうだな。毒状態を発生させる霧を発生させて、他のメンバーの状態異常耐性の熟練度を上げたりとか、まあ考えれば色々あると思うぞ」
都合のいい状況を望めると言う意味でもある。
ただまあ、毒状態になる霧はあっても、麻痺状態になる霧はあまり出来ないかもしれないが。
麻痺は完全と言うわけではないが動けなくなる状態異常だ。毒以上の厄介さがあるので予想しているよりかなり鬼畜な状態になる。普通にあるダンジョンでもなかなか無いものなので、ダンジョンの内部構築がポイントを使用してでのコスト制であれば、かなり多く必要になるだろう。
「ダンジョン作成にも色々制限はあると思うけどね」
「ポイントコスト制が採用されている。ポイントの集め方は、『自動回復』『プレイヤー撃破』『プレイヤーの消費MP回収』『レイク→ポイントの変換(逆もある)』『プレイヤー視点の優位物設置』の五通りだ」
「最後の何?」
一番プレイ歴の短い桜が疑問をもった。
「例えば、自動で回復する部屋だとか、モンスターの出てこない安全エリアだとか、そんな感じだろ」
「ちなみに、プレイヤーに有利すぎるとあまりポイントは増えないらしいな」
桜と冬香はわからないようだ。
「商人が儲かるからな。このタイプは」
「ああ」
「どう言うこと?」
「NWOは、商業ギルドだって100や200じゃすまないくらいあるからな。まあそれはいいか。例えば、Aが作ったダンジョンとBが作ったダンジョンがあるとして、Aの戦闘員&荷物運びがBのダンジョンに、Bの戦闘員&荷物運びがAのダンジョンにいく。そして安全エリアで待機しておけば、キャンプ狩りしようとするプレイヤーたちに、直接商談出来るからな。そういうときって、消費アイテムってちょっと相場より高くても売れるんだよ」
「キャンプ狩りプレイヤーの手助けか」
「本人たちにとっても利益はあるしな。ダンジョンの構成にもよるが、レイクをポイントに変換できるんだから、稼げればダンジョン稼働は続けることは出来る。ダンジョン作成っていうのは、物によっては全てのプレイヤーに影響が出るんだよ」
「す、すごい事なんだね」
「ブリュゲールのギルドホームもダンジョンっぽい感じだったけど、あれとはまた別の感覚だ。まあ、どう利用するかは本人たち次第だ」
「竜一君は作るの?」
「俺はでかいものを作るのはあまり好きじゃないけどな……まあ、ちょっとした隙間時間で攻略できそうなダンジョンを乱立しようかなって思ってる。なんだかんだ言ってMPを使わせるような構造にしておけばポイントは稼げるからな」
「シュラインは喜びそうだね」
「だろうなぁ」
新しく始まった学年。アップデートでダンジョン作成が追加される。
そして俺たちは、一年の頃さんざん振り回されたあのギルドによって、面倒なことをするはめになるのだった。
自重しろよ。原始太陽を名乗るのならさ……。




