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ネイバーワールド・オンライン  作者: レルクス
ジョーカー・オン・ザ・ステージ
111/218

なんだかんだいって二人は建設を自重しない。

 ゼツヤとシュラインはリオから設計図を受け取った。

 二人は最初。日本の和風の城のようなものをイメージしていた。

 それと同時に、この面積(東京ドーム100個分)で和風の城なんてつくったら想像を絶することになる。

 建築面積で見ると、東京ドーム一つで、日本で最大の城である名古屋城の10倍くらいあるのだ。その100倍の面積なのだから、明らかに合っていない。

 世界にある宮殿で見ると、ブルネイという国に存在するイスタナ・ヌルル・イマンという宮殿が世界最大だが、この宮殿の床面積は約200000平方メートル(有名なヴェルサイユ宮殿の三倍弱)であるが、今回の面積はその23倍である。

 いったいどんな設計図になるのか不安なのと、ゲームが終了するのかどうかがすごく心配だった。

 シャリオも苦笑中である。

 その設計図をみる。

 地図は正方形である。ただ、しっかりとした数値が記載されておらず、どれくらいの大きさなのかという比例値だけ書かれている。

 簡潔にいうなら、中央にドカンとでかくて床が正方形の建物があって、その周囲にいくつもの建物がある。まあ、真上から見たら、地面が見えるのは全体の1割未満である。


「材料揃えるのだけでかなり苦労しそうだな」

「きつすぎるだろ。いや、材料的に無理だ。しかも、『それなりに耐久性のある壁にする』ってかかれてる。これは素材にまずエンチャントをすればいいけど、材料が全然足りない」

「コネで集めるか?」

「そのようなコネはオラシオンにはないぞ」

「俺にもない」


 結局リオに課金してもらって用意した。


「設計図はあるからなんとかなるかもしれないけど、あまりにも広すぎて全然わからん」

「俺もだ……シャリオ」

「どうした?」

「面積が4675500平方メートルの正方形って一辺がどれくらいになるんだ?」


 46755平方メートルが東京ドームの建築面積である。


「小数点以下を抜きでいうなら2162メートルよりもわずかに大きいくらいだ」


 計算早すぎ。暗算でそれをしてしまうのだからわけのわからなさが尚更である。


「兎に角一番大きい部分は2150メートルでいいか」

「そうなるな。よし、取りかかろう」

「まさかゲーム内でギネス更新か……」

「言うな」


 材料を見た。

 山のよう。ではすまないな。うん。

 さて、パーツを作成していくか。

 ちんたらしている時間は無駄だ。超特急でいく。

 まあそれで早く終わったら、現実でそんなに時間がかかるはずもないんだけどね。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 建設を眺めながら、他のメンバーは喋っていた。


「セルファ」

「何だ?リオ」

「質問があるんだ」


 珍しい。完璧超人のリオが質問とは。


「実はな。今年の五月に第一子が生まれるんだ」

「ほう、いいことだな。それで質問は何だ?」

「子供に対する接し方というかなんというか、子育ての方法ってどういう風にすればいいんだ?」


 完璧超人でも子育てはわからないのか。


「千差万別だと思うがな。まあ一番重要なのは……」

「一番重要なのは?」


 セルファはレムを思い出していた。

 ふむ。


「適切な距離感を把握して愛し続けることだな」

「アドバイスって言うよりただの生々しい経験論だな」


 サーガ。今それをいってはダメだ。


「適切な距離感か……」

「どういう風に育つんだろうね」

「英才教育はそこまでしない方向性で行くつもりだ」

「帝王学は?」

「僕もしていないからな……」


 リオは帝王学とは無縁だった。


「しかし、まあなんというか、元気に育ってくれればいいと思うぞ。少なくとも最初はそういう雰囲気で接するべきだ」

「若干こえが荒いぞ。何があったんだ?」


 セルファは家族を思い出す。

 年から年中ハイテンションであるレムは、今のところ風邪すらも未経験だ。まあそれはいいのだが、なんというか、ミナトの天然度をかなり引き継いでいる。セルファが家にいるときに空気になることも少なくはない。

 レムが元気なのはセルファにとっては無論嬉しいことなので否定などあるはずもない。

 だが、あまりにも、セルファに比べてレムやミナトと温度差がありすぎて色んな場面で取り残される時もある。

 夫婦で脳の構造が全く違うので少々不安だったこともあるのだが、まあ今はなんとかなっている。

 そう思いたい。

 今でも思う。

 私の遺伝子弱すぎ。と。


「まあ、質問ならいつでも受け付けるぞ」

「助かる。こればかりは僕にもよくわからない」


 そこでシャリオが口を開いた。


「そう言えばさ。一年の間でガックリする出来事ってあるけどさ。そのタイミングって決まってるか?」


 何かしらのネタがあればそれに引っ掛かってガックリするときがあるな。


「俺あるぞ」

「リーダーが?」


 ユフィが反応した。


「ああ、だいたい正月だな」

「新年早々何だ?」

「いや、そんな深く考えることじゃないけどな。ただ、年賀状で『荻野(おぎの)』が8人に一人くらいの割合で『萩野(はぎの)』になってんだよ」


 ああ、地味。

 どうでもいいけど、その8人に一人がユフィだったりする。

 ものすごい勢いで作業が進んでいるなか、こんな風に、会話があった。

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