発見される目的
ゼツヤは武器を作っていた。いや、作り終わったところだった。
「ゼツヤ様」
「ロイドか。どうした?」
「ミズハ様からの伝言ですが、生産が完了したら始まりの町にいくようにと」
「このタイミングか。はっきりいってわからんな」
なにかを発見したのだろうか。まあそれはいいのだが、行ってみることにしよう。
すでに多くの生徒が集まっていた。
で、ミズハ発見。
「ミズハ。いったいどうしたんだ?」
「あ、ゼツヤ君。あれを見て」
上だった。
……何で天空城があるんだ?
「なんだあれ?」
「行き方がまだ分からないから具体的に何なのかは分かっていない。ただ、新ダンジョンが20個クリアされた瞬間に出現したらしい」
バスターが答えた。
「きりのいい数字ではあるな」
で、行き方が分からないということか。
「NWOでは、空中ダンジョンの行き方って基本的には二種類だよな」
「そうだな」
一つ目は、何処かに転移装置が出現し、それを用いて転移する。
もう一つは、直接橋がかかり、それをわたっていく方法だ。
どちらも運営からいく方法の報告があるか、周辺エリアに、いく方法を知るためのクエストがあったりするが、どちらの場合も空中にいく場合はその方法場所が限られるので、その場所を占拠して新情報を独占する集団がいたものだ。
まあ、どちらもコテンパンのボッコボコにされたのだが。
「で、どうするんだ?」
「多くのプレイヤーがこの町周辺で転移装置を探しているが、見つかったと言う報告はなかった」
「ある……よな」
「なかったらどうするつもりだい?」
「他の方法を考えるしかないな」
よく見ると、空中城の底辺に、ものすごく長い突き出たものがある。そのしたに板があるのだ。
そのつきでたものがあることで、到達必要高度がやや低い。
それでも、多分500メートルはあるかな。城そのものは3000メートルを越えているが。
でっぱりにははしごがかかっている(ように見えるように感じる)ので、あそこが目標地点か。
何であんな設定になっているのかは分からない。
「なんだか。自力でいかなくてはならない予感がする」
「私の直感もそういってる」
「マジか……」
ミズハの直感が同意してくるとは……。
なんかちょっとだけ目の光が弱いな。小さくマリオネット・ストリングを使用している。
確定率99.9%だな。
「これはめんどいことになったな」
バスターが呟いた。
ふむ。
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「ゼツヤ君。どうしたの?こんなよなかに呼び出して」
始まりの町にミズハと二人できていた。
「いや、まあ、ちょっとな」
ゼツヤはウィンドウをひらいて、左手の装備に『エレメントミラージュ』を設定する。
柄だけの剣なので、鞘はない。ベルトに追加される感じだ。
それを握ると、普通の鉄の剣が出現する。
「甘い強そうじゃないね」
それって普段の俺はたいしてプレッシャーを感じないと言うことなのだろうか。いやまあ、ただの鉄の剣から何を読み取れと言うのか自分でもよく分からないが、まあそれはいい。
オーバーライド。前提『飛翔』
次の瞬間。刀身が消滅し、ゼツヤの背中に水色の翼が出現する。
「うそーーーーーー!」
ミズハ絶叫。とうぜんだ。今までのNWOに、翼を出現させるシステムなどなかったのだから。
まあそれは今はおいておくとして。
「行くか」
「うん!」
ミズハをお姫様抱っこして飛翔する。
「すごい。この世界を上から見たことなんてなかったから、これは感動的だね」
「ああ、俺も飛翔の練習をちょっとしたくらいで、ここまで飛び上がったのは初めてだから感激だ」
「あ、あの山にある町ってチャネラじゃない?」
「そうだな。この高さまで来ると近く感じる」
「それにしても、スゴいものを作ったね」
「俺の感情に合わせて千差万別の刃を生み出す剣。『エレメントミラージュ』だ。ミズハのヒントがあって作れたんだよ」
「私あれ勘で言ったんだけどね」
「女の勘は素晴らしいと言う言葉は誰が言い出したんだろうな。尊敬するよ……本当に」
「ふふふ。あ、もう見えてきた」
「ああ」
空中城の座標にきた。
完全な城塞風景。緑のみの字もない場所だった。
「なんか重苦しい場所だね」
「ああ。ん?」
急に減速した。
「うわっ。ビックリした。どうしたの?」
「急に減速した。というか、ここから上にいけなくなってる」
「高さ制限か。やっぱり直でボス部屋にはいけないんだね」
「そんな直行ルートがあったら苦労はないな。ていうか、壁も窓も耐久値無限だと思うから形状が変化しないと思う。行ける確率はゼロだ」
「この剣でも無理なの?」
「ああ、前提を『森羅万象斬』にしても耐久値無限は越えられなかった。なんかショックだった」
「世の中うまく行かないね」
「そこまで高望みはしてないって」
降り立った。
「どうするの?」
「まあ今すぐ直行してもいいんだが、まずは転移ポイントを作らないとな」
「作れるっけ?」
「うん」
で、作った。枠を作ってあとはパパっと設定するだけだったので簡単だ。あとはしたに戻ったときにもう片方を設定するだけである。
「やっとここまできたね」
「ああ、しかし、空中城という本来行くことが難しい場所に、何も迷わずに来ているというこのチート感が凄まじいな」
「オラシオンだからいいんじゃない?」
「そういうことにしておくか」
「もともと公式チートでしょ」
「否定できないな。完全にその通りだ」
今回は挑むのはやめにした。
「最終ダンジョンだね」
「ああ、多分。このダンジョンをクリアすれば、俺たちは帰れる」
「私の勘もそういってる」
「それ持ちネタ?」
「多分ね」
まあ、それでいい。
これでやっと、全てをおわらせることができる。
終わった先にあるのが猛勉強というのが悲しいのだが。
というか、帰ったあともやること多いし。
いつも通りか。




