ネイバーワールド・オンライン
『ネイバーワールド・オンライン』。略称は『NWO』
2513年に発表されたそのゲームタイトルは、『剣と魔法』と言うもっともありふれたジャンルのゲームだった。
だがしかし、このゲームは『VRMMORPG』。仮想現実のシステムが採用されており、まるでその世界に入って戦っているかのような気分を味わうことが出来る。
ネイバーワールド・オンラインはこれまでに存在したVRMMORPGを圧倒的に凌駕するスペックを持ち、かれこれ15年間。存在し続け、さらに、最も人気のゲームだった。日本では、プレイヤーの数は1500万人にも及ぶとされている。なお、自動翻訳機能が付いているので、海外のプレイヤーも存在する。
プレイヤーの種族は全て『ヒューマン(人間)』のみであるが、多種多様なまでのスキル。無限種類と言っても過言ではないアイテム。さらに、総面積は地球に匹敵するほどの広大なマップ。『レベル制』であり、『課金アリ』という、どんなものでも楽しむことがされるとされたゲームだ。
レベル制であるため初心者は不利に思われるが、救済処置がたくさん用意されており、どんなタイミングで始めても楽しめるゲームだ。年々プレイヤーの数は増加している。
しかも、基本料金は1か月500円である。
戦闘を行うもよし、鍛冶を行うもよし、商人になってもいい。芸人にもなれる。
とまあ、そんなこんなで有名なゲームであるが、ゲーム開始から7年が経過したころ、NWOプレイヤーなら誰もが知る伝説が発生した。
NWOは『何でもできるゲーム』だが、その根本にあるのは『戦闘』や『冒険』であり、また、『無限種類』と言われるほどに、『武器』や『防具』や『道具』も存在している。無論。これらはプレイヤーの手で作成可能である。
2520年、圧倒的な性能を持つ『武器』の『片手剣』が、あるオークションで売られたのだ。匿名であったが。
その性能はゲームバランスをいきなり崩壊させるほどにまで圧倒的であり、数々のモンスターを蹴散らし、今まで勝てなかった『エリア解禁条件モンスター』を葬り去るきっかけを作ったのだ。
さらに、『武器』のみに限らず、その決まったオークション会場では、不定期でそのような『一級品』が出されるようになった。
ある『盾』を手に入れたプレイヤーは、ボスの攻撃を10分間ノーダメージで耐えきった。
ある『杖』や『弓』を手に入れたプレイヤーは、モンスターの大群を、近づく前にすべて葬り去った。
ある『ハンマー』を手に入れたプレイヤーは、時折設置されている『障害物地形』の中で最も厄介な『岩石』すら、たった1人で粉々に砕いた。
ある『ロザリオ(十字架)』を手に入れたプレイヤーは、50人規模のギルドメンバー全員を『HPレッドゾーン』『死亡』『各種状態異常』に関係なく完全回復する手段を手に入れた。
ある『指輪』を手に入れたプレイヤーは、理不尽なまでの『ステータス上昇』を可能にした。
全てのプレイヤーが、その作成者を求めた。
ちなみに、NWOでは、全ての作成アイテムに『制作者名、または作成された工房名』が記され、どちらを記入するかは本人の自由だ。
全てのアイテムの欄に『作成工房 オラシオン』と記入されており、全プレイヤーがその工房を探し求めていた。
だが、8年が経過した2528年。いまだにその工房は発見されていない。
ありとあらゆる伝説のきっかけをなる『オラシオン』と、その従業員。いまでも、数々のプレイヤーが探し求めている。