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早い者勝ち

感想有難う御座います。

暇つぶしにでも見てってくれたら幸いです。


詩(笑)と地図(笑)が有ります。

それでも良いよって方は暇つぶしにでも見てってくれたら幸いです。

長江建業港付近。なんか凄い事になってた。


こう、如何言えば良いのか。取り敢えず語彙力が死滅する程凄い。


宵闇に煌々と炎が相対する。其れは巨大な軍船達の篝火、銅鑼と太鼓と蛮歌が静寂の存在を許さず轟々と轟く。


左右の両炎の間をいくつもの焔が駆け抜けた。水上戦に於ける前哨戦を行う先登船だ。


炎を引き延ばし進む一団の片側手からは一際大きな声で軍歌が歌われる。


我等武敵無(我等の武に敵は無く)鏖戦気不収(鏖戦して気は収まらず)

残虐武安君(残虐さは白起の様で)威勢昌国君(威勢は楽毅の様)


長江埋兵骸(長江を兵の骸で埋め)広陵沈鮮血(広陵を鮮血に沈める)

今正斬伏敵(正に今敵を斬り伏せ)孫軍悉殺戮(孫軍悉くを殺戮する)


暗夜の中、軍歌のみが状況を知らせる。軍歌吼える者のみが残りそれ以外の兵は水面に消えた。


歓声が上がり、全軍が先陣切った勇者に続けと声を張って歌い出す。


殲滅された軍は慌てた様に次軍を進ませたが、切られようが射られようが、狂ったように進み狂ったように歌う。


「何だあの気持ち悪い軍」


孫策はドン引きして言った。凛々しく雄々しく美しい顔をヒン曲げて。


魏続が居ない間に長江の主導権を握ろうと夜襲をかけた筈が、蛮歌を歌う軍に阻まれ逆に押されているのだ。背筋に寒いものを感じている間にも、歌が全軍に伝播していき狂った軍が出来上がった。


兵の数は優っていたはずが此の様、訳が分からない。

敵悉くが狂騒しながら孫策の兵と将を殺そうと殺到するのだ。軍としての動きは有れど欠片の躊躇い無く唯々狂って突撃する。


また、先登船が交差し孫策軍の二陣が鎧袖一触粉砕された。


孫策の横に立っていた美人すぎて女っぽい男こと周瑜が呆れたように言う。


「あの歌、留賛の軍だな。

齢十二で黄巾の将を殺し、その時負傷した足を己で切って直しただったか。


魏続の州牧就任と同時に見出され、劉表と魏続の小競り合いの際に、歌いながら軍を率いて敵船を鹵獲し名を挙げた男。


会稽では気骨ある狂人として有名だぞ。これは引き時だな」


「長江南岸はやっぱり無理か?」


「無理だ。予想より敵の数が多い」


「ハァー、損害は?」


「大きい。が今なら間に合う」


孫策はもう一度溜息を吐いた。あの敵軍の状況を鑑みれば下手に撤退すれば最悪壊滅する。が退くべきだ。


さらに本拠を任せていた呂拠から伝令。


内容は西から軍馬が来襲。即ち陸路を伝って魏続が荊州から帰還し広陵に攻めて来たと言う事だ。


儘ならぬ状況に唾を吐き捨てるように言う。


「クソッタレ」


同時に損害覚悟の撤退を即断通達し、大多数の味方を撤退させた孫策は流石小覇王と言えるだろう。……本人はブチキレるだろうが。


一方で相対する軍の本陣には騎馬の一隊が突入し、勢いのまま評定に人が集まっていた。


「皆様、お待たせした」


ラッセル車が如き髭の男が十数の揚州の要人を前に言う。汗に塗れた様はどれ程急いで此処に来たかを理解させるに十二分。


「いえ、荊南の対処もせねばならぬのであれば致し方なく」


「其の通りです。あの同族の恥爺めに備えるは必然」


筋の通った鷲鼻に鷹の目の顧雍と梟の様に丸い大きな目と小さな丸鼻の劉曄が拱手して言った。


何というか二人合わせて鳥類園っぽい。


「待っていた!弟の仇を打たねば!!」


「私めも思い等しく有りますれば」


虎の毛皮を纏いどんぐり眼で横広な鼻の厳虎と、やや膨よかながら狼の様な目と鼻筋に頬髭の王朗が続く。


何というか二人合わせて動物園っぽい。


四人合わせて揚州鳥獣戯画。今回の孫策の奇襲に際して顧雍を総大将に魏続が帰るまで揚州を守った功労者達代表である。


「手短に言う。俺は北方の騎兵を操る才は少々心得がある。

しかし此の地で最も重要な水軍の扱いは不得意、故に馬鹿共に本体を任せ歴陽に向けて進軍させた。孫策は居城を守る為に陸に退かざるおえん。


顧丹陽太守、水軍での追撃戦は貴公ら揚州の方々に任せる。長江を奪い返し、南と西から挟撃する」


「ハハッ!!揚州牧、一つ提案が御座います。

我ら孫策を討つために死力を尽くす腹づもり、陳登と許貢は孫策と確執が有り其れを利用したく思います」


「ふむ」


魏続は興味を持って続きを促す。


「敵に陳登が広陵太守の地位と引き換えに寝返ろうとしていると言う噂を広め、後に書簡を持たせた密使を敢えて捕まえさせます。


次に淮陰に居る許貢へ密書を送り長江沿岸周辺を荒らして意を逸らし、続けて江都に部隊を入れ淮陰に入れれば孫策を三方から挟撃し撃滅出来ましょう。


兵の分割は愚、されどそれが出来る士気と勢いが我等には有り、それを成せば豫州牧の大きな助けとなるかと」


顧雍の言葉は正しい。孫策への恨みだけでは無く揚州に住む者の戦意は高かった。良が怒られ覚悟で皇帝に銭政策を上奏したお陰で、手付かずの鉱物資源が豊富な揚州は空前絶後の急発展をしつつあったのだ。


魏続の統治以降は漢と越の両民族が争う事が減り、銭政策以降は両方の民族が飢える事が無くなった。此の状況を変えようとする者など此処には居ない。


「良策だ顧太守。ふむ…陸県尉」


そう言うと魏続は評定の半ばにて凛と佇む青年に目を向ける。陸遜だ。


孫策が来るや否や叔父の仇を討つ為に私財を悉く使い、荊州に水軍を送って居た所為で少なかった水上防衛戦力を補ったのだ。


「貴公は此度集めた軍船で海を迂回し江都へ向かって劉備と孫策を分断してくれ。上手く行けば白虎の坊主の大きな助けになる」


「はは!豫州牧には陸家一同世話になっています。そして若年の私が侮られずに家を保てて居るのは皆様のおかげ。死力を尽くします」


陸遜は闘志を眼に宿して言う。良には様々な面での恩があり、今こそ報恩の時と年相応に燃えに燃えて居た。


恩人に牙を向けた不義の男劉備をブッ殺すと息巻いている。


しかし何時もは年不相応に落ち着いていて理知的な陸遜が息巻くと言う時点で相当な事、鷹の様な顧雍は少々不安になって陸遜に諭した。


「陸遜、戦場とは短慮を起こしやすい。古の名将や私程度の者とて又然り。


甥の頼れる者は君しか居ない。短慮はならんぞ」


陸遜はハッとして強く頷く。目に見えて気炎を抑え、心と思考を切り離して見せた。


魏続は呂布に此の聞き分けの良さの一割でもあればと思いながら息を吸い雰囲気を名将の其れに変え呼ぶ。


「徐文嚮は何処か!!」


スッと小柄で寡黙な男が長槍を握り一歩前に出て軍礼。冷然な眼差しに内包する炎が周囲を圧倒する。


「此処に」


「徐州の出だったな?」


「ははっ」


「兵千を預ける。陸県尉を補佐し、先陣を切れ!!」


「はっ!!!」


魏続は頷く。


「留正明は何処か!!」


「此処にぃ!!」


ズンッと意志の強そうな片足を引きずる男が威勢良く出てきた。身の丈程もある長い長剣を杖代わりにした鉄の様な男だ。


「此度の孫策撃退、見事!!

我が匈奴の弓を貴様に預ける。陸従事を手伝うのだ。生きて帰れ!!」


「ははっ、閣下の御為に敵を殲滅いたします!!比類無き忠誠を我が君に!!!」


若き揚州三将。知将陸遜、勇将徐盛、猛将留賛を第三軍として揚州軍が徐州広陵に進軍する。孫策に親族を殺され仇を返し、魏続と良に恩を返す時を待ち望む者達。戦意は天を貫き勢いは濁流が如くであった。




劉備は進軍しようとする度に全てを見通したかの如く兵を展開する豫州軍を相手にしていた。譙を狙う関羽も神出鬼没の賊っぽい二将と異様に強い寡黙な将軍に手を焼いている。


悪い情報も得た。夏侯家の者が居たと言うのだ。即ち、曲がりなりにも豫州は呂布軍の下で結束していると言う意味。


状況を鑑みれば沛国を奪って終わりという何とも微妙な戦果。無理をする必要は無かったが余りにも不出来。


それよりも気になる事がある。数日おきに来ていた孫策からの報告が途切れて久しい。


「張飛、孫策のガキが不安だ。一旦徐州に戻って広陵に援軍を送れる様にしてくれ」


「あ“ぁん!?何言ってんだ兄貴、また俺を除け者にしようってのか?袁術との戦いの時は俺が留守番だったつーのに」


「……張飛、嫌な予感がすんだ。沛国は関羽に任せて俺も徐州に戻ろうと思ってる」


張飛は察して舌打ち一つ。


「わかった、任せとけ」


吐き捨てる様に行って部屋から出て行った。


劉備の予感は最悪の状況で当たることとなる。歴陽港からの撤退途中に襲撃を受け孫策は重篤となったのだ。


孫家の三老将によって広陵城に軍の撤退は叶った。しかし敵は士気の高さを利用して孫策軍の二倍程の兵力を敢えて三方に分け劉孫を分断。


広陵の戦線の後退は確実であり、張飛は徐州の留守を守らざる負えなくなった。


流れがまずい方向に向かっているのを肌で感じ、劉備は天下九州を記した地図を眺めながら溜息を吐いて呟く。


「天ってのは意地が悪りぃ。袁紹は何時になりゃ動きやがる……」


その袁紹は遠い鄴城評定の間にて沮授に命じた。


「沮授、呂布と開戦にあたり貴様が成果を皆に申せ!!」


王の気風を持って気炎吐く袁紹に、獅子が如き沮授は頷く。確たる圧を持って文武百官を視界に収め口を開いた。


「先ず劉備に五千の援軍を送り豫州を攻撃させることで豫州揚州の進軍を遅らせました。特に兵の多い豫州は歴戦の将劉備に相手をさせました。


次に黒山賊張燕に張楊を攻撃させ、楊醜を扇動する事で呂布を并州に封じる事に成功しております」


群臣から喜色と感嘆の声が漏れた。呂布と戦うにあたって最も大きな懸念、呂布本人が本拠兗州から離れたのだ。


袁紹は騒めく群臣に手を掲げ黙らせる。


「我等は沮授の敷く戦略の元、王道を征く。

逆臣呂布を討ち、皇帝陛下の天下一の忠臣は我等であると世に知らしめるのだ!!」


轟々と猛る袁紹の言葉に群臣は咆哮を持って返す。袁紹と言う炎が燃え移るかの様に気炎が移り行き戦意が評定を覆う。


「英雄達よ」


沮授は諸将を眺め尚、涼しげに声を発した。群臣は一斉に業火を内に秘め沈黙する。


「先ず本軍、閣下には曹太守を先陣として、十万の兵と共に兗州東郡へ行って頂く」


目を見開く群臣。しかし誰も声を発さず、沮授は続けた。


「続いて淳于監軍に三万で延津攻めて頂き、司隷河内から帰る呂布を防いでいただく」


群臣達は一理あるようにも思えたが、また疑問も等しく覚えた。察した袁紹が甥で袁家における并州牧高幹に目線を向ける。


「皆の思いを言うが良い」


齢三十強程の高幹は沮授をチラリと見て黙礼すると口を開く。中々の将才を持ち政道もまた得意とする彼は拱手し言った。


「ではいくつか。

先ず大兵の常道とは即ち無策。唯、其の数を持って敵を押しつぶす事こそ肝要と存じます。


延津の三万。此れは并州から帰る呂布に備えた物でしょうが、呂布は兗州に帰るでしょうか?あの呂布とて大業山脈で賊を討ち兗州が落ちる前に帰るなど不可能でしょう。そこまで警戒致しますか?」


沮授は頷くと述べる。


「奴と相対した時、常識と言うものを考えて戦う勇気は私には無いのです。反董卓連合、黒山賊、曹中郎将、董卓残党連合。此れらの戦況の変化と戦果は異様。


呂布軍の戦闘とは基本的に敵の最も重要な地点への電撃的進軍で有り、其れは兵が増えても変わらない。万一、億が一に備えました」


此れには皆納得した。呂布の戦いを見た者などは同意の意思を思わず漏らす者もいる。


「ふむ、では兵が異様に多く思います。周辺異民族を兵に組み込んだ我等ですが、先の遼東戦の傷が完全に塞がってはいなかったはず。一体何処から湧いたのですか」


「北方鮮卑匈奴二万。遼東戦以降に従属を願う鮮卑匈奴から、降伏の許可と糧食を対価に兵として雇いました。囮か足の速い略奪部隊として期待できます」


疑問も消えた様なので沮授は作戦を伝える為に言葉を続けた。


「では先ず進軍経路です。此の大都市鄴から牛と驢に船舶を大量に投入して黎陽港に兵糧を集積します。

水軍を持って兵糧と兵を白馬港へ運び込み、延津を取った後に白馬延津を物資兵糧を分け東郡西郡を制圧します」


淳于瓊が片眉を上げた。腹を撫で摩りながら「宜しいかな?」と言って続ける。


「監軍、そもそもの話になりますが、東郡の白馬延津付近を決戦地と想定するのですか?噂に聞けば白馬港と白馬城は陳宮の提言によって砦が建造されていると聞き及びます。敢えて其の攻め口を選りに選って虎の口に選ぶ意味はないのでは御座いませんか?」


淳于瓊程の男が此の程度の疑問をしたのは諸将に前以て説明するためであった。沮授は頷いて言う。


「道が無いのです。

黄河沿いの地域の田畑は荒れたまま放置されており、民も濮水以南に集約されている。故に唯一河内への港と穀倉地帯を兼ねた白馬にしか大軍を進められない。済北国も然り。進軍先を限定されているのです」


沮授はそう言って一度黙る。

焦土作戦と言うやつだ。敵勢力付近の土地を荒れたままにして、その地の民を開墾が必要な都市部に集め生産力をあげる。


比較的短期間で呂布達が兗州を立て直すことが出来た理由であり、同時に外敵から身を守る戦略である。


沮授とて要害であるのは理解していたが、青州からは遠すぎる上に山越えか狭道を通らねば成らない。


そういった理由で黎陽経由で兗州に行くのが一番マシな道にされてしまっていた。敵の思惑通りと言うのは恐ろしいが汝南と言う穀倉地帯を得た呂布の飛躍ぶりに今討たねばならないと考えていたのである。


「しかし、だから何だと言うのか。黄河を防壁とせず白馬に港がある事自体が愚策。十万を超える軍が上陸すればどの様な策を打とうと其の命運は決まっている。呂布無き軍など言わずもがな」


諸将は沮授の言葉に頷く。


もし、あの十万の黒山賊と相対し数十騎で突撃して崩壊させた男が率いる万の軍と戦うのは十二分に部の悪い賭けに見えるだろうが、沮授の戦略によって呂布は居ない。


呂布軍は多く見積もっても司隷、兗州、豫州、揚州の全てを合わせ七万と予想されていた。

しかし沮授の策で豫州と揚州の兵は居ない。


誰もが十二分に勝ち筋が見えたように思えるのは必然。


沮授は策の成就を実感した。


袁家に蔓延する呂布への恐怖心を払拭する事こそが此の策の一番の意味、呂布の狂笑を聞けば将も兵も問わず勝利を想像する事が出来なくなる。十万の賊に笑顔を浮かべて突っ込んで行き、平然と帰って来たかと思えば再度突撃する。


帰陣する毎に身を紅く染め、尚笑みを浮かべる武神の姿を一時忘れさせたのだ。


気炎は鎮火できぬ猛火へと移り変わる。後はもう天命を待つだけだ。決戦の地は兗州東郡である。


しかし、既に并州の大行山脈で龍の咆哮と賊将の悲鳴が交差しているという事実を知る者は此処に居ない。


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ーーーーーーーーーーーーーーー幽幽幽幽

ーーーー并并并并并幽幽幽幽幽幽幽ーー幽

ーーーーーー并并并幽冀幽幽ーーーーーー

涼涼涼ーーー并并并冀冀冀冀冀ーーーーー

ー涼涼涼涼涼并并并冀冀冀青青青青青ーー

ー涼涼涼涼涼并司并司◯兗兗青青ーーーー

ー涼涼司司司司司司兗兗徐徐徐ーーーー

ーー涼ーーーーーー豫豫豫徐徐ーーーーー

ーーーーーーーーーー豫豫徐徐徐ーーーー

ーーーーーーーーーーー豫揚揚揚ーーーー

ーーーーーーーーーーー揚揚揚揚ーーーー

ーーーーーーーーーーー揚揚揚ーーーーー

ーーーーーーーーーーー揚揚揚ーーーーー


*袁紹陣営

[袁紹軍]幽州・冀州・青州

[劉備軍]徐州


*呂布陣営

[呂布軍]兗州・豫州・揚州

[張楊軍]并州

[朝廷軍]司隷・涼州


*予定主戦場

◯兗州東郡、黄河濮水間

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