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白虎将軍

感想ありがとうございます。


暇潰しにでも見てってくれたら幸いです。


今回の話を読む上での注意。

今回の話で民謡?的な物を出しました。無論、中国語は勿論、漢詩とか分かんないし、センスもクソも無い自覚はあるのですが私の脳みそでは此れが限界です。

次に酔っ払っているところを全部儀同三司の所の様にしようとしたのですが、何故か上手くいかず読み難い感じになってしまいました。


それでも良いよって方は暇潰しにでも見てってくれたら幸いです。

皇帝の義父となり儀同三司(扱い三公と一緒)から、太尉と言うガチ三公になった呂布だが、誰もが予想した通り浮かれていた。


ここ一月、飲めや歌えの騒ぎである。

また、何時もであれば其れを諌める妻や高順陳宮なども呂布の娘が貴人となった事や朝廷との相互理解、銭政策と異民族統治の話し合い、何よりも袁紹の遼東平定対応で忙しく、アホな状況になった呂布に構っている暇が無い。


故に呂布の羽目の外し方たるや筆舌にしがたいものがあった。


「ハッハッハ!ハーッハッハッハ!!!

さぁ、皆おめぇい!!此ろろふがさえをふいであほーぅぞ!!!


意訳)さぁ、皆飲めぇい!!此の呂布が酒を注いでやろうぞ!!!


えんほーがなにすうーもおぞ!!


意訳)袁紹が何するものぞ!!


ハッハッハ!ハーッハッハッハ!!


井をようかえっらなァーハッハッハァ!!!


意訳)井よ、よく帰ったな!」


デフォトークがこのレベルである。

袁紹軍恐るるに足らずという気持ちは頼もしいし、緊張しているよりは良いかも知れな‥‥‥くない。何語であろうかイヲヨウカエッラナァーとは。


「ハメ外すってレベルじゃねぇ」


涼州に派遣され異民族や合流を望んだ商人達を引き連れ、故にこそ行きより長い時間をかけて帰った良が青筋を浮かべて言う。


白が良を見上げた。


良は青筋を浮かべたまま頷き、呂布を指差す。


「行けっ白!!」


白はフンスと鼻を鳴らすと雄々しくも凛々しい足取りで呂布に近づく。既にポケットどころか懐にさえ入らなくなったモンスターこと、白がグパーーーと大きく口を開く。


朝廷側の客人は唖然としている。


ム?ろーしあ、はふよ(む?如何した、白よ)‥‥‥ギャァァァアアチョ、ッマッ、イッダッ“ア”ア“ア”ア”ア“!!!!!」


「び、白虎様が御乱心!!」


白の必殺ジャンピング噛みつきによって呂布が元に戻った。


「いや、うむ。本当に悪かったと思っている」


「おう」


「ガウ」


朝廷側の人に説明した後の別室に移る。

珍しい事に青筋浮かべた良と其の頭に顎を乗せた白の前で、呂布が床に正座して猛省すると言う珍事が発生していた。


「じゃ俺、龐白ちゃんトコ行って三日後には豫州に帰るから。

涼州の報告と土産の葡萄酒は屋敷な。飲みすぎて悪酔いすんじゃねーぞ」


「ハッハッハそれは良い!葡萄酒は久々だ、気をつけねばな!!


‥‥あ!待て井よ」


「?」


「此度、続とお前に将軍位を授かることとなった。

続を伏波将軍とした後に安遠将軍、更に後将軍とし、お前を新たな雑号将軍、白虎将軍とするそうだ」


「え?」


良はどーゆー事っすかと表情一つ。口には出さずとも誰であろうと理解できるように歪める。


「陛下は涼州の乱が収まった事を殊の外喜んだそうだぞ!


新たな義弟に何か褒美を用意したいと相談されたのでな。お前の渾名を伝えたらこうなった!!」


良は驚き戸惑い、大笑いをかます呂布に益々怪訝な顔を向けて問う。


「こうなったって‥‥それ良いのか?

安易に将軍位増やしたりしちゃって」


「ハッハッハ、ハーッハッハッハ!!

年の近いお前を気に入っているのだろうな!!!」


朝廷のこの行為は有り体に言ってご機嫌取りだ。


散々、宦官と外戚に好き放題されていた後漢王朝は少帝弁廃位より統治機構を失ってから暫く。呂布と言う外的な力を得る事でやっと息を吹き返したのだから過剰に気を遣うのは察するに余りある。


例えば呂布の娘を皇帝が娶ったのも呂布を朝廷から離さない為。

此れは強力な外威誕生と言えるが、そんな事を気にする余裕が無い程度には、朝廷の力が無く呂布に頼りきりの状況であったのだ。


控えめに言って呂布に見捨てられれば則ち漢王朝は潰える。


無論、其れのみでは無い。鍾繇が出した早馬によって涼州の安定化を聞いた劉協が「親族に衛青、霍去病を得た。武帝も斯様な心持ちであったろうか」と喜んでいたのも関係している。


其の喜び様は、良を皇族や外威のつけられる車騎将軍にしようかとハイテンションで問う劉協を、呂布と同格では余計な負担になると臣下が全力で諌めた程である。その代わりに新設の将軍号を劉協が直々に創設し任命してはどうかと言う話になり、皇帝として初めて主導し成した皇帝っぽい事だとウキウキ顔の劉協が作ったのだ。


皇帝の軽い暴走に焦りはしたが、朝臣達も良に新設の将軍職を設けるのは良い案だと思っていた。

それは呂布が董承をドッゴォして洛陽の治安回復した辺りから考えられていた事で有ったのだが、朝廷から漏れたのだろう話から民謡が生まれ、其の思いはより強いものになる。


それは以下の通り。


天佐五将、洛陽在


東方深謀、陳青龍

西方兼愛、武白虎

南方多才、魏朱雀

北方潔白、高玄武


奉天天守、率四将

古今無双、呂黄龍


こんな感じの。


良は涼州を鎮め、陳宮は兗州奪取の立役者。

高順は洛陽の北河内で黒山をボコって、魏続は揚州統治をし、呂布は洛陽の不穏分子を一掃した。


まぁ、要は洛陽の民も呂布を頼りにしている状況。此の将軍位新設は朝廷にとって洛陽の民の機嫌をとるのに丁度良いのだ。


何故良なのかと言われれば、民謡とは民の実直なイメージをそのまま表している物で、兼愛とは墨家の考え方で全ての人を平等に愛するという意味。それだけ良が民に親しまれているという事であった。


良が暇な時に洛陽を散策し、住人との関わりがあった故だろう。


では反対に何故魏続では無いかと問われれば、揚州にいる魏続は洛陽の住人にとって遠い存在すぎる。だからこそ無駄な諍いは起きない様に実を魏続に、名を良にと采配したのだ。


・・・それにしても劉協の父ちゃん霊帝も無上将軍とか作ってるし、この親子は将軍職作りたい病にでもかかっているのだろうか。


まぁ、皇帝直々に作り出した白虎将軍などとクソ仰々しい名な割に実態は、呂布との繋がり強化を利益と感情の両面から欲した朝廷が異名を公認したという以上の何かがある訳では無い。


「ハッハッハ、ハーッハッハッハ!!

まぁ、名だけではあるがな、さぞ価値のあるモノに見えるだろう。陳宮が任せたと言っていたぞ!!」


そう言って竹簡を渡す呂布。中を見れば陳宮の伝言であった。


楊彪と相談して二人に将軍職を受け渡す談合した経緯等が書かれており、続けて名に溺れる者を誘き寄せる誘蛾灯になって欲しいとの事だ。


良は理解する。間者ホイホイになれって事だと。


「成る程ね。せいぜい馬鹿を炙り出すとしますか」


「ハッハッハ、任す!!」


まぁ、こういう仕事を任せられるのは、呂布が良と其の周りの者を信頼出来るからこそだ。


良本人悶絶モノの風評と劉協お気に入りというイメージから、良を祀り上げようと寄ってくる危険因子を炙り出すには丁度いいだろう。


其れはさて置き、この日の昼頃には帰った報告と土産を其々に渡して、待望の嫁さんの元へ帰った。


「お待ちしておりました」


「「「「「おかえりなさいませ」」」」」


妻に従者や侍女代わりの子供達に迎えられる。


「ただいま」


満面の笑みで言った良は仕事に行く従者や侍女を見送ると、イソイソと抱えていた箱を龐白に渡した。


「此れお土産。涼州って言ったらこれかと思って何とか見つけたんだ」


「まぁ、何でしょう?」


良が開けてみてと言うと龐白は笑みを浮かべながら頷く。

蓋をあけると箱の中は布で厳重に固定されており、其れを解くと目を見開いた。


「‥‥夜光杯!」


夜光杯とは玉を削って作られた杯だ。


形状としてはクリスマスで子供が鳴らす手持ちベルをひっくり返したワイングラスのようであるが、淡い翠色に黒い点描が混じって巻積雲の如き美しい模様が浮かんでいる。


大地から生まれた筈のこの杯は、薄緑の空を閉じ込めた様な独特の雰囲気を晒していた。


其れが二つ並べられている。


前漢武帝の頃の東方朔とかいう人物が書いた詩だか何かを見せられた良が、故郷を遠く離れて暮らす龐白を思って手に入れた土産だ。


良は喜んでくれるか不安と期待で身が避けそうになる。


「有難うございます。貴方様」


普段表情の動きが余り無い龐白が、満面の笑みを浮かべて礼を言い、感情のまま良に抱きついた。


彼女を抱き止め「喜んでもらえて嬉しいよ」と言った良が、夜光杯が割れないかヒヤッとしたのは内緒で有る。


この後、葡萄酒で酔った後の二人がどうなったかを言うのは無粋だろう。

ヒントとしては葡萄酒と言うかワインって飲み易いせいで悪酔いする事があり、ナイアガラの共同作業とだけ言っておく。




二日後、やったら機嫌の良い皇帝に将軍位を授けられ、礼を述べた良は「驃騎将軍と白虎将軍は朕の一族、貴兄は義兄弟だ。二人と会うのに憚る事は無い。白虎と共にいつでも来てくれ」と手を取り言われて見送られた。


洛陽から潁川へ行き、船旅を楽しみながら潁水を進んで興平に着く。随分と時間はかかったが戻ってきた。


城門を潜る馬車の中で民からの結婚を祝う声に赤面し手を振りながら気恥ずかしさと、予想される仕事量の多さからくる絶望感で、赤面と蒼白の感情で丁度いい表情になっていた良は龐白を屋敷に案内すると惜しむように政庁に向かう。


何となく懐かしの面々が並んでいた。


「御結婚おめでとうございます白虎将軍」


「おめでとうな!!遂に良羽も結婚かよ」


「うんうん。嫁を持つのは良いことです」


「白虎将軍。白殿が将軍に任じられたか」


「いや奉孝殿、流石に、フッフフ・・・」


「まぁ、見てねぇが俺の嫁のが可愛いな」


上から袁覇、袁敏、卞喜、郭嘉、王粲、潘璋である。因みに句陽に居る崔均と文稷文欽親子からは、既に洛陽で祝いの手紙を受け取っていた。特に崔均などバームクーヘンみたいな祝辞を送ってきている。


「ありがとう」


朗らかに笑みを竹簡の山に挟まれ良は言う。薬院は兎も角として、医院の設立は儒教的な観点で忌避される所があり、そう言った意味でのサポートを厚くする必要があった為だ。


後、時期的に多忙な月の代わり目前後に呼ばれたせいである。


「薬院はもう薬草栽培始まってるのか。助かったよ袁覇さん、王粲さん」


「お気になさらず。其れが私の仕事ですから」


「ッフフそれに植えても大丈夫な物だけです」


真面目な袁覇と郭嘉の言葉がツボに入ったのか笑いを堪ていた王粲が言う。しかし王粲は続けた。


「それと医院も其の決済が終われば一応は稼働できるでしょう。しかし、身体を切り毒を削ると言うのは些か恐ろしく思います」


「王粲、其れでは白虎将軍に伝わらんだろ。白虎殿、単純に儒者が騒ぐぞ」


「マジでか、相当だな。

まぁ、だからこそ犯罪者使ったお試し期間って事にゃしてるが」


「まぁ、犯罪率が減るのは良い事じゃねーの?複雑だけど」


頭使う組が儒者云々、医院について話して居る横で武官組は言った。


「俺としちゃ助かるんなら何でもしてほしいがな」


「私は複雑ですね。黄巾党は儒を否定する気は有りませんが、かと言って部下を救えるのなら救いたい」


さて、儒教の教え最盛期のこの頃、髪を切る事でさえ憚る世において、彼等がこんな感じなのには訳があった。


良の人材発掘は未だ継続中で有るが、豫州開墾二年目あたりの頃に遡る。


「此処なら士大夫(貴族)になれると聞いて来たのです!」


という感じで華佗とかいうのが来たのだ。

ギョロ目に独特の富士額、真っ黒な癖っ毛の辛うじてお兄さんと呼べない事もないオッさんのインパクトたるや。


彼の矢継ぎ早な言葉を要約すると自身の医療技術の売り込みに来た訳だが、名声があって尚も外科手術というのは儒教の教え的に立ち位置はグレーゾーンである。


良は当たり前の様に受け入れることが出来ても、袁覇以下の者は何言ってんのコイツという感じにはなった。


袁覇以下の者達の感覚を説明するのは難しい。先ず外科手術とは儒教においてどう説明すべきか迷う所で有るが、強いて言うなら普遍の常識に異議を唱えるに等しい行為であり、倫理の外から常識を抉られた様な思いで有る。


万が一、億が一、京が一そう思っていたとて其の発言は普通はしない様な事だろうか。


其れだけ儒と言うものはこの時代において絶対的な価値観なのだ。


しかし腹痛で倒れた爺さんの腹を割き治療して見せ、真面目くさった顔でその出世欲の根底を語ると良と言う変人の前例からか其れも変わったのである。


「私は儒に否定されて来ました。

しかし儒という教えを世の道義として導にする事は理解できます。故にこそ全てを盲目的に受け入れ、未だ生きられる者を殺す。


即ち正道を指すべき儒が人の盲目さによって無意味に堅牢な固定観念となり人を殺す事。其れは在ってはなりません。


そして固定概念とは先ず上の者が示してこそ正される。故に私は士大夫となりたい」


ただ一人。儒教云々については「ほーん」と言う感想しか抱いていないが故に、外科手術に対して悪感情の無い良が真っ先に肯定的に其の思いと言うか医術を認め、乱世という外傷の多い土壌だからこそ必要悪ぐらいの面持ちでは有ったが華佗筆頭の医院設立が通ったのだ。


無論、良は知識層儒者の説得で更なる地獄を見たが、この時代に来て数年も過ぎたのにそう言った事を想定してない良が悪い。


ただ、生きたいと願う人の命に代わる物無しと、儒者と言う堅物相手に一歩も引かず、根気強く説得し続けたのは大いに褒められた事だろう。


まぁ、兎に角。そう言った諸々含めて良もようやく業務に戻れるなと安心した。無論、薬院医院の設立によってその仕事は三倍を優に超えている訳だが。


「‥‥俺って竹簡に挟まれる呪いにでも罹ってんのか?」


という呟きには誰も触れなかった。

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