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無職金無し

「暗いな色々と。」


やっとの思いで着いた、小沛を見た良の最初の一言だった。

よく解らない所に急に着てしまい、人生初の殺人を犯してしまう。

そして、この時。100%タイムスリップに近しい状況だと理解してしまった、何せ今の時代槍や剣を使い、人を殺す盗賊などいる訳が無いのだから。

そして町で休めると思っていたら、関所で止められ賊の引き渡しに時間がかかり、やっと入れたと思えば目の前にあるのは世紀末だ、こう言いたくなるのも仕方ない。


「そう言わないでください良羽殿。ここ最近は民達にとっても辛い事続きですからな。

近場での大虐殺、それを起こした本人から逃げてきた呂将軍が此所にいるのですから民も不安でしょう。」

 

網金がフォローを入れる。

最近起きた暴虐の一言で片付ける事もできない行いを、忘れる事とのできない出来事を言いながら。


「・・・徐州大虐殺ってことかい?

なんでんな事したんだろうな。利的にも義的にも碌なこっちゃないと思うがね。

曹操ってそんな事するバカには思えねーんだけど。」

『といっても三国志イメージだけど。』


「おそらくですが、それには義にも利にも理由があると考えますが・・・。

まず義に言えば、建前上ですが、一族を殺されたと言う大義。


そして、一族を殺した者に関する事の尽くが許せなかったのでは無いですかな。

曹操は特に祖父に感謝し、父を尊敬ていたと聞いています。実際、父の訃報を聞いたときの荒れ方は一商人の私でさえ耳にしています。


そして利に関して言えば、青州兵の事が考えられますな。

青州黄巾との間で、何やら取り決めがあったようですし、何であろうと三十万近くの者どもが増えるのです。用は土地ですな。

まあどのような理由があれ受けた側からすれば、許せる事ではありませんが。」


ある程度理解していても、やはり思うとこがあるのだろう怒りに声がふるえている。


「そういえば良羽殿はこれから如何するのですか?」


空気をかえるために問う全法。


「・・・ヤベッ金もねぇしどうすっかなぁ。つかずっと歩いてるけど何所向かってんの?」


「あぁすみません今は呂将軍の殿に向かっております。

あぁそうでした・・・護衛の皆さんは先に店に行っていてください。そこで報酬を払います。」


「ハイよ旦那。」

「じゃぁなぁ強いの。」

「お先になー。」


ここ数日一緒にいた護衛達と別れを告げる。

数名は良の頭に、顎を置いて寝ている白を撫でた後に。


「さて、ではついてきてください良羽殿貴方がいると心強いですし、商品を守っていただいた恩もありますから。悪いようにはしませんよ。」


「・・・恩?」


「はい将軍の荷ですから商人としても、人としても命の恩人ですよ。賊に襲われ殺されたかもしれませんし、積み荷にもしもの事があれば首が飛んでいたでしょう・・・。

受けた恩は返さねば。

まぁ商人の勘ですが、貴方は、少なくともそれなりの地位にはなるでしょう、商人として利もありますしね。」


良的には賊に襲われた時の事を言っているのならば、自分も襲われた訳であるし思っていたより賊が弱かった事もあり、速攻で片付けられた。

それどころかむしろ、網金に会えなければ、どうなっていたか解らないのだ。


まぁ網金からすれば、急な用件で大事な荷物があるのにも関わらず護衛をあまり連れて来れ無かったところをもうすぐ町につくと頃で、ソコソコの人数の賊に襲われたのだ。

それこそ死を覚悟したが、そんな中、小沛の道中にたまたま見つけた偉丈夫が、賊共をすぐに片付けてしまった。

そこそこ多めに持ってきた携帯用の飯を分け与えるだけでは、全法の商人としての矜持が許さなかったのだ。

まあ、網金自身が言ったように、賊とはいえ五人の人間を瞬く間に叩き潰すような人とは、商人として誼みを通じておくべき等考えていたのもあるが。


「うーん。なんか悪いけどそう言ってくれるならまかせますよ。

まぁ・・・無職金無しですし・・・・・。」


自分で言って泣きそうになる良だった。

その後周りの空気と空腹で、機嫌の悪い白の腹減ったコールこと、爪出し虎パンチ(出血必至)をくらい本当に泣くはめになったが。

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