家族紹介そして異民族
張遼との親睦会的なものがあり兵士達が地獄を見た翌日。良はまだ呂布の屋敷にいた。つーか養子になったので、すでに呂布の屋敷に身を移しているのだが。
良の義親父曰く、耳朶徐州牧の居る城へ行く前に家族などの紹介をしときたいとか何とか言われ召使いに案内された。
心の底から今頃かよと思ったが。
「ハッハッハ。おぅ!!井!!」
待っていたのだろう呂布が部屋のど真ん中に座っていた。
「ウェーイ。」
もうアレである。養子つーか気が合いすぎてダチみたいになっている。と言うか呂布も良も気の合うダチな感覚だ。
そして、その呂布の周りに何人かの女が座っている。彼女達が呂布の紹介したい家族だろう。
「ハッハッハ!!井よ!!この者達が私の妻と娘達だ。
まず、この者が我が正妻、厳正。」
そう言って良の右にいる背の大きな女性に頷く。
男とかでも160ででかい方なのだが彼女はそれより10cm程デカイ。
「わたくしは厳正、字を弁諌。あなたの義理の母となる者です。
よろしくお願いしますね。井。」
「あ、よろしくお願いいたします。」
『・・・ヤベェ気ぃメッチャ強そう。
つか、スゲェ・・・ガンたれてる。
そして何より、どう対応していいか分からん。』
もうアレである。目つきからして厳しそうな感じがプンプンしている。
親に対してウェーイってなんだ、とでも言いたいのだろうか。
もう一つの問題は呂布とダチ感覚で接してきた為オカンというより
「そして、この者が側室、貂蝉。」
そう言って右にいる女性に顔を向ける。
「貂蝉、字を美連です。
よろしくお願いいたします。」
「よろしくお願いします。」
こっちは逆に、背は小さめで雰囲気的に控えめである。
なんか、雰囲気がポワーンとしてる。
「そして、私の娘の政だ。」
「呂政 遠略、齢は16なので姉になるかしら。よろしく義理の弟さん。」
「よろしくお願いします。
養子になる呂井だ。字を良羽。」
そう言って三人に向かって頭をさげる。これにて顔見せは終わるのだった。
*厳正・・・厳正 弁諌(げんせい べんかん)
厳氏。ぶっちゃけあまり話が無い。
呂布の正室。呂布が曹操に攻められた時に陳宮が「私が城にいて、貴方が城から出て戦えば何とかなるかも。」と掎角の計を進言したが厳氏がガン泣きして「陳宮は曹操に厚く遇されたのに受けたのに裏切りました。高順とも常日頃から仲が悪く裏切りに会えばどうなるか分かりません。」と諌めた。
と言う話があるくらい。
英雄記とか言う書物かなんかの中では、実際一回は陳宮に裏切られてるしどんな感じか判断しにくい。
落城後家族と一緒に許都に送られた。
名前と字は、【正】しいと思って【弁】で【諌】めたんだろうなぁと。
*貂蝉・・・貂蝉 美連(ちょうせん びれん)
言わずと知れた中国四大美女の一柱で楊貴妃、西施、王昭君と並ぶ美人とされている。
・・・架空人物だけど。
三国志演義第8回から登場。
王允の美女連環の計の為犠牲になる養女として出てくる。
董卓の死後は呂布の妾になる。
因みに厳氏と一緒に下邳城攻防戦で陳宮の策を実行しようとした呂布を諌めている。
城が落ちてからは記述が無い。
因みにモデルになった人物と言われている人がいて、その人は三国志の呂布が董卓の侍女と密通しと言うこの侍女っぽい。
字とかはそのまま【美】女【連】環の計から。
*政・・・呂政 遠略(りょせい えんりゃく)
本当に話が無い。
呂布の娘で袁術の子供と政略結婚しかけた程度。
名前と字は、【遠】方に【政】【略】結婚する予定だったから。
つーか、気がつけば白が二人に囲まれ遊ばれている。
そして良は知っている。女複数に囲まれてはもう白は助からない。助けれない。
「ふふ。スマン白許せ。」
頬っぺたを摘まれている白をニヤニヤ見ながら呟く。helpそんな顔を向けてくる白を断腸の思い(笑)でスルーする。とそこで肩に掌が置かれる、おそらく義理のオヤジ殿も良と同じ思いなのだろう。
「・・・プッフ。
あぁ、オヤジ。
アレはダメだわ・・・ブッハ。白は助からねぇ。もう二、三十分は変顔を強要されるわ。」
笑うのを抑えながら顔面が流れるように変化する白を指差し、振り返る。
「さて、井。母として貴方に言っておきたい事があります。」
義理のオヤジかと思ったら青筋立てた義理の悪鬼羅・・・母だった。
『ヤベェェェェ!!やっぱ何か知らんけどムッチャ怒ってるぅぅぅ。
ハッ・・・そうだ、help!!オヤジhelp!!』
未だ女の圧倒的逆らえない空気に毒されていないであろう義理のオヤジに助けを求め呂布を探す。
勿論、広い部屋とは言え呂布は大柄だ、すぐに視界に収まる。
何かムッチャ毛を逆立てた白に壁際に追い込まれてた。
「待て、待つのだ!!白よ悪気があった訳ではないのだ!!
いや、本当に悪かった!!」
「グルゥゥゥ・・・」
「毛を抜くつもりなど微塵もなかった。不慮の事故というヤツだ!!
謝る!!謝るから!!」
だが必死に弁明している呂布苦労は報われないのは必至だろう。
突き出した二本の右腕に狙いを定め跳躍準備の力を溜める姿勢、頭を低くし牙をむく。
ピョン・・・・・グァブッッ!!
食い込む牙、駆け上がる激痛。
「イッッッッッッッッッッッダァァァァァアアアアアアア!!!」
腕の耐えがたい痛みのあまり床を転がり回る呂布。
「お、おい!!貂蝉!!政!!
白をっ!!白を説得してくれ!!!」
近くにいる二人に説得を試みるように頼むも・・・。
「さすがに白ちゃんが可哀想です父上。」
「そうですよ。痛がってましたよ貴方。」
厳しい目を向ける娘とヤレヤレと困ったように言う側室。
ミッチィ・・・
「グオォォオオオ!?」
『貂蝉!!痛いのは私だぁぁ!!
何だこれは!!矢が刺さった時より数段痛いぃ!!!
・・・っは!!そうだ白に言うことを聞かせられる井に頼めば!!』
「良いですか?井!?
貴方はこれから呂の家を支え呂布軍の者達を支え導き束ねなくてはならないのです!!
相手に侮られたりしてはならないのですよ?
確かに貴方の父は礼儀も知らず、何処か抜けている所があります。ですが最低限の・・・・・。」
その後、約半刻程だろうか説教と絶叫が続いたとかどうとか。
そんな感じで呂布軍の者やその親族との顔合わせで二、三日か過ぎ、白のおかげである程度距離を縮める事に成功した。
主に婦人達の井戸端会議情報網のネタされたのは言うまでもないが。
そして、更に数日経った後に良を含む呂布軍は耳朶の徐州僕の本拠地下邳城に、その中間地点として彭城国に向かい隊列を作り出発していた。
その呂布軍の者約数千程の軍列の中腹の外れに良は居り、その様相は何時もと少し変わっている。
「あ、ば、お、ほふ。」
「グゥ、ゥガァ」
「漢ノ一族ダト言ウノニ、ヨク馬ヲ扱エテイル。馬ノ世話も上手イヨウダナ、良ク懐イテイル。」
「マ、ジか?それ超ぅ、嬉しい、わ。あっぶぅあねぇ!?ハッバッそし、てイテェ・・・。」
振動とともにパカパカと軽快な足音がなる。しかし良のケツは現在真っ赤では無かろうか。
何故か?良が長時間の乗馬をしている為だ。
「グゥルゥ」
「モウ少シ足デ重心ヲズラサナイ様二スルト良イ。」
「おっ、とぉ。こんな感じか?」
「ガァウ」
ガップ
「ウム、ソノ調子ダ。」
途切れ途切れに喋り、頭の上のモフモフがイライラしだし良の額に甘噛みをかます。額から流血している良の喋り相手。
狼らしき動物の毛皮で出来た帽子にフェルト製の衣服を着て弓を肩にかけ良と馬を並走させている男、筋肉お化け成廉と似た様な体格だが特筆して脚がムッキムキの彼は呂布の子飼いの異民族の部隊の一人で匈奴の一族らしい。
馬を習うには彼がいいと呂布から言われ練習中である。
「ソウダナ、例エバ上手ク重心ヲ支エテイレバ・・・。」
言葉を切り横を向くとと共に手綱を離し背中の弓を構え・・・射た。
空気を切り裂くような弦のもどる音がした後、荒野と言うか明後日の方に飛んで行ったように見えたが、馬を駆け良から離れ馬を駆る。
良に気を使わず走らせた為だろうか。良の記憶する原付より早く感じる。
そして少し馬をユックリ歩かせ待っていると野兎を吊るし帰って来た。
「マァ、コンナ事モ出来ル。
ソシテ、馬ヲ全力で駆ケルトアレホド早イ。」
「うおー、スッゲェ!超ヤベェ!!」
「ガァウ!?」
・・・クリスマス前のガキのような面をして良が褒める。
良も2日程かけて大人しい馬に早足で走らせる位はできるようになった。しかし、気を抜けば馬の振動でちゃんと喋る事もままならない。と言うか舌を噛んで最悪落馬する。
その様な状況の自分と比較して、あのガックンガックンの状態で弓を射るなど此奴の脚と肩の筋肉どうなってんの?レベルだ。
まぁ、服の上からでもわかるゴッリゴリのムッキムキ太腿パンッパン筋肉異民族がやる騎射だ。凄いのは当たり前なのだが。
さらに良が驚いた事を言えば、今射た野兎は良には草に隠れ少なくとも移動距離を目算して200メートルは離れており、良には見えていなかった。
異民族、正しく身体能力化け物である。
「呂布ニ言ワレテイル。
オ前ニ騎射ヲ伝授シテクレト。」
「オオォ!!ちょっマジか!?
良いわぁーカッケーわー。」
満更ではないのだろう。異民族の40歳ほどの男が照れている。
ぶっちゃけ厳つい顔が変形して怖い。
良の方は、なんか流鏑馬っぽくてカッコいいと興味津々だ。
そして白は腰に吊るした野兎に興味津々だ。
「弓ノ腕ハ悪クナイト聞イテイル。取リ敢エズ馬ダナ。」
「オウ。オッケー。」
やる気を出し馬を走らせる。
勿論この後上下の揺れで不機嫌になった白をご機嫌取りする為にメチャクチャ甘やかす事になったが、教授の為射抜いたウサギが役に立ったのは言うまでもない。




