表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/24

第10話 おしゃべりは…時と場所を選べ!!

「今日はとてもいいお天気ですね」

 イズンの機嫌がすこぶる――良い。

「……」

 俺の機嫌は――最悪だ。



 昨日は「打ち合わせ」と言って、万が一ドラゴンと出会ってしまった時の話をイズンとした。

 これがいけなかった。

 この女のテンションを「ハイ」状態にしちまった。



 俺が無視しようと――構わず話しかけてくる。

 昨日のことで味をしめたようだ――うぜぇ。マジうぜぇ。ガチうぜぇ――。



「どうされました、ユリウス様? 」

 問題の「森」へと向かう道で――ずぅーっとイズンはこんな調子だ。

「……少し黙れ……お前」

「そんな……ユリウス様でも緊張されることがっ!? 」

 イチイチかんに触るんだよ――てめぇの言い方がっ!!

「……黙れ」

「本当は寂しいくせに……」

 うあああああああっ!!

 この女ぁぁっ!! ドラゴンに真っ先に食わせてやろうかなぁぁっ!?



「ユリウス様。私には本当のあなたを曝け出していいんですよ。

 全て受け止めますから……」

 ニコニコニコ――と笑顔のイズン。

 もぉ「限界」だ――俺。

 もぉぉ――「無我の境地」を極めよう。そうしよう。

 俺は――「無」だ。なーんにも喋らない。考えない。



「もうユリウス様ったら……恥ずかしがっちゃって……」

 照れるイズンの仕草に――俺の中で何かが「ブチっ」と音を立てて切れた。



「うるせぇぇっ!! もう二度と俺に話しかけるなぁぁっ!! 」

「そんなぁ。酷いですっ!! 」

 そして俺の必殺――「無我の境地」は――五秒ともたなかった。



◆◆◆



「ここが? 」

 俺にあれだけどやされても――ビクともしないイズン。

 疲れきった俺と――この女の前に――街を出てからしばらくして、山道が見えてきた。

「この上だと。登るのメンドくせぇな……疲れる」

 この山道を上がったところに開けた草原があり――そこの先に広がる森がその「問題の場所」らしい。

「ユリウス様って、本当のお歳は三十を超えているんじゃないですか?

 十七って……無理していませんか? 私の好みは幅広いですから大丈夫ですけど」

「……行くぞ」

 無視、無視、無視、無視、無視。

 関わらない。もぉぉ、無視。

 俺は構わず山道を登り始めた。

「人の話はちゃんと聞かないと……」

 呆れた様子で話す――イズン。

 貴様以外の全人類の話だったら――今の俺は喜んで聞くだろうよ。



◆◆◆



 一人で話し続けるイズンを――片っ端から無視をしつつ。

 俺たちが山道を登りきったところに、なるほど「草原」が急に――広がった。

 山あいに囲まれて。窪地になった場所が草原になっている。

 そしてその先に――その「森」はあった。

 


 なるほどねぇ。これなら「別荘」を建てるには最高の立地と言うわけだ。

 とても眺めが良さそうだ――。



「ここは素敵な場所ですねぇぇ!! 

 私とユリウス様の新居はこんな場所がいいですね」

 うっとりと景色を眺めていたイズンが呟いた。

 妄想、暴走――大暴走っ!!

 もう――誰もこの女に触れてはいけないんだろうなぁ――。

 悟りを開きつつ。是非に「悟り」を開きたいっ!! 俺は無言で「森」に向かって歩き出した

 


「お待ちください、ユリウス様ぁっ!! 」

 現実に戻ったイズンが――ようやく先を進む俺に気づき――後を追いかけてきた。



◆◆◆



 そして「森」へと入った俺たちだが――。



「別に何もないですね……」

 初めてまともな言葉を吐いたな――イズン。

 その通り。別に見慣れたそこここの「森」と何ら変わりはしない。

「……とにかく行くぞ……。

 いつ「それ」が出てくるかわからないから。警戒してろ」

 ずぅーっと警戒してろ。お前は。

 そんな願いを込めて――俺はイズンに話しかける。

「はい。任せてください」

「ああ。あてにしてる」

 だからずーぅっと警戒してろ。俺を見るな、気にするな。

 「頑張ります」とテンションをさらに上げたイズンに、俺は心の中で語りかけた。




 俺は――気配を探る。

 森の中に俺の「意識」を広げていく――何か敵意を持つ「何か」が居るのかどうか。

 


「……なっ!? 」

 気配を探っていた俺の「感覚」に触れる「何か」が不意に「生まれた」――。

「避けろ、イズンっ!! 」

 しかも――イズンの後ろの茂みに。

 一瞬放っておこうか迷ったが――それでも本当はよかったんだが――仕方がない。

 イズンに叫び、イズンが俺の方へと駆け寄った。



『ギャァァァっ!! 』

 その茂みから現れたのは――赤いウロコに覆われた――ドラゴン。

 目撃情報とは違うだろうぉっ!?




「……お任せ下さい……ユリウス様」

 するとイズンが冷静に――俺に囁いた。

「おい? 」

 訝しがる俺に背を向け。イズンは何やら「唱え」始めたのだった――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ