1 最悪のクリスマス
20歳の12月24日
僕はこの日を忘れる事はないだろう、良い意味ではなくて悪い意味で
ちょっと想像して見てよ、好きな娘が自分の親友と付き合う事になったとして、その親友は自分と同じアパート、もちろん自分に彼女がいる筈もなくコンビニに買い物に行くときアパートの階段で手を繋いだ二人とすれちがったりもする
そんな状況が半年続いたらどんな人間でもかなりキツいんじゃないかな?オマケに今日はクリスマスイブ…
その日僕は夕飯を作る気もせずにいつもの近所のコンビニに飯を買いに行った
コンビニもクリスマスムード一色店員もサンタの帽子なんか被っちゃったりしてる
買い物を済ましてレジに向かうといつものお姉さんが軽く笑顔で会釈をしてくれた胸のネームプレートには
「小野」
と書かれている
ここ半年の間学校やバイトそして失恋の痛みを癒してくれた唯一の心のオアシスだ
心のオアシスって言っても特別仲が良いとかアドレス聞いたとかじゃない
笑顔を見るだけで
「頑張ろう」
って気持ちにさせてくれる…
それだけでちょっと幸せになれる僕はつくづく安い男なんだな〜って思う
家に帰る途中で同じアパートに住んでる親友
「達矢」
と会った話を聞くと今から彼女の
「美咲」
を迎えに行くらしい
「三人で飯でも食べるか?」
と冗談を言われたがちょっと泣きそうになった
僕の心の内を知っていたら多分こんな事は冗談でも言わないだろうに
「イブの夜に邪魔したくね〜よ」
とだけ言って達矢と別れた
「イブの夜に独りでカップ麺か」
呟いた後凄く自分が惨めに思えた