聖女に告ぐ
掲載日:2025/11/07
私はこれまで聖女の王女として生きてきて、もうすっかり大人になった。王子は私に毎日、告白しているけど、私たちはまだ互いに顔を合わせたこともない。
王子は私に伝えたい想いを無自覚に私に伝えていた。
私たちの王家には想いを伝える特別な便箋がそれぞれ一枚ずつあり、いつの時代も親から大人になった子へと受け継がれていく。
私が王子に初めて会った日。
彼はまっさらな便箋を私に見せた。
けれど、私は彼が直接伝えなかった数えきれないほどの言葉を母から受け継いだ便箋を通して知っている。
私と彼の王家に伝わる便箋に文字を書くと、白紙の方の便箋に言葉が伝わる。
それは魔法で何度も言葉を書き直しても変わらない。
そして、その事実は私の王家の女性しか知らない。
王子は、便箋に文字を書いて伝えることができないほどに君を想っている、と私に直接口で伝えてくれた。
もちろん、そのことを十二分に把握している私は嬉しくてそっと涙を流した。




