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執事なんかやってられるか!!! 生きたいように生きる転生者のスローライフ?  作者: Gai


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第32話 お礼

(指導者か……ピンとこないな)


家に戻ったバトムスは、パーズと共に風呂に入りながら、狩りの途中でジーニスに伝えられた内容を思い出していた。


現在七歳であるバトムスは十分なほど、両親が仕えている家、アブルシオ辺境伯家に貢献している。

実際にバトムスがアブルシオ辺境伯家の当主、ギデオンにどういった提案をして貢献しているのか解っている者は少ないが、それでもバトムスがギデオンと何か企み、大金を得ているということは多くの者が知っていた。


「別にニートじゃないんだけど……働いてる様には見えない、か」


バトムスはこれからも鍛錬を続け、実戦を続ける。

しかし、ある程度のレベルまで到達すれば、そこそこに留めようと考えている。


七歳にして一軒家の家を建ててしまったこともあり、出て行くつもりは一切ない。

そうなった場合……多くの者、バトムスが十五歳ほどになった時に、各見習いの若い者たちから、ニートだと思われるかもしれない。


「それは…………うん、嫌だな」


「?」


主人が何を言ってるのか分からず、パーズは可愛らしく首を傾げる。


(とはいえ、今更やっぱり執事に、って気には全くならないな)


ニートだと思われるのが嫌であれば、普通に執事として働けば良い。

バトムスであれば、兵士や執事……今後の成長次第では、魔術師という進路もある。


だが、バトムスはそれらの道にも進むつもりはない。

当然……冒険者の道に進む予定も、今のところない。


(指導者、講師……そういうのをやってれば、多少は格好が付くというか、ニートだとは思われない、か………………ん~~~~、でも全然柄じゃない気がするんだよな)


自分があれこれ若い見習いたちに指導する姿が、全くもってイメージ出来ないバトムス。


とはいえ、五年後十年後、若い連中にニートと思われるのは嫌だ……しかし、真っ当に働くつもりはない。

なんとも我儘なことを考えながら就寝に付いた。




「よし、作るか!!」


翌日、昼食を食べ終えてから約一時間後、バトムスは厨房にいた。

傍には当然、元騎士の料理長、クローゼル・キルチがいた。


「あまり無茶をするなよ」


「分かってますって」


バトムスの周囲には卵や牛乳、強力粉などが用意されていた。

作る料理は、パンケーキ。


先日、パーズのお陰で助かったバトムスは、パーズにそのお礼をしようと思い、パンケーキを作ることにした。


まだバトムスの身長では台の上で満足に作業が出来ないため、踏み台に乗って調理を開始。


(……手順を知っているとはいえ、ここまで手際よく七歳の子供が作る、か……将来料理人の道に進んでくれればと思うのは、俺の我儘か)


比較的、そこまで難しい工程はない。

良い物を作ろうとすれば見極めが重要になってくるが、ザっと作るだけであればそこまで難しくはない。


しかし、それは料理やお菓子作りに慣れている者であればの話である。


バトムスは偶にお菓子など作ったりはするが、常日頃から料理見習いとして働いているわけではない。


「ふぅ~~~。クローゼル、良い感じかな」


「…………あぁ、良い感じだ」


「よし!!!!」


クローゼルがオッケーを貰ったバトムスは知り合い錬金術師に頼んで造ってもらったホットプレートのマジックアイテムに軽く油をしき、幾つかに分けて生地を乗せ、熱湯を入れて蒸気焼きを行う。


弱火でじっくりと焼く間、バトムスは再び生地を作り始める。


「バトムス、最初の物が出来上がったぞ」


「ありがとうございます!!」


出来上がったふわふわとろとろパンケーキの上に……バトムスは更に蜂系モンスターの巣から取り出した蜂蜜を掛けた。


(……メイドたちが見れば、嬉しい悲鳴を上げそうだな)


甘い物を食べ過ぎれば、太る。

栄養学などがまだまだ確立されてないこの世界でも、それは世の常識であった。


しかし、多くの女性が甘い食べ物が大好きである。

人によっては、スイーツは人を魅了する魔力を纏っているとまで評し、多くの女性

たちはその意見を大袈裟だとは言わない。


「お待たせ、パーズ!!」


「バウっ!! ……っ!!!!!」


つい……つい、パーズはバトムスが手に持つ皿に飛びつこうとしたが、ギリギリのところで踏ん張ることに成功。


ただ、本当にギリギリであった。

それほどまでに、蜂モンスターの蜜を纏うパンケーキは、甘い物好きを狂わせる魔力を持っていた。


「はい。まだまだ作ってるから、先に食べちゃってて良いよ」


そう言って、バトムスは本当にパーズと共に食べるのではなく、再び厨房へ向かってしまった。


「………………っ!!!」


本当に自分一人で食べても良いのかと数秒ほど迷ったが、バトムスは厨房に戻ってしまった。

その姿を思い出し、パーズは本能に従ってパンケーキにかぶり付いた。


(((((い、良いな~~~~~!!!!!)))))


先程まで休憩中にパーズをもふもふしていたメイドたち。

バトムスが、パーズの為に何かを作る……そこまでは薄っすらと聞いていた。


だが、パーズの為に作ったお菓子が、ここまで自分たちの別腹を刺激するものだと思っておらず、自分たちも食べたい欲が火山噴火の如く溢れ出した。


しかし、現在パーズが食べている蜂蜜を纏ったパンケーキは、パーズの為だけに作られた物。

当然ながら、メイドたちに食べる権利はなかった。

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