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執事なんかやってられるか!!! 生きたいように生きる転生者のスローライフ?  作者: Gai


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第31話 凡人中の凡人だったから

(あれ……もしかしてバトムスの奴、あのゴブリンに気付いてないのか?)


昼食を終えてから約二時間後、バトムスとパーズは五体以上のゴブリンの群れに囲まれていた。


数は多いものの、それでも魔力の扱いなどはバトムスの方が優れており、ゴブリンの中に上位種が混ざっていないことも確認した上で、ジーニスは離れた場所から二人の戦いっぷりを観ていた。


そんな中、戦闘の中心から少し離れた場所に、どこで拾ったのか……弓を持つゴブリンがいた。


(バトムスの奴は頭になんも付けてない……準備だけしておくか)


ジーニスが剣に手を掛けてから約五秒後、矢が放たれた。

しかし、ジーニスが鞘から剣を抜くことはなかった。


「バウっ!!!」


「っ!?」


「っ!! 助かったぜ、パーズ!!」


バトムスはギリギリまで気付くことが出来なかったが、それでもパーズが一手早く気付くことが出来、バトムスに当たる前に叩き落とした。


「こっちはもう、大丈夫だから、あいつを仕留めてくれ!!」


「ガゥっ!!」


バトムスの頼み通り、パーズは矢を放った弓使いのゴブリンに向かって全力ダッシュ。


ゴブリンは必死で逃げようとするも、まだ幼体とはいえBランクモンスターであるマーサルベアのパーズから逃げられるわけがなく、あっさり斬殺された。


「マジで助かったぜ、パーズ~~~~!!」


「~~~~~っ!!」


バトムスから盛大にもふもふされ、ニヤけ面が止まらないパーズ。


「良いコンビだな」


「へへ、そうっすかね。でも、やっぱり自分で気付けるのが一番良いんすけどね~」


「まだ七歳だろ。パーズっていう頼れる相棒と一緒に戦ってるって考えても、五体以上のゴブリンと戦えてるだけで十分だぞ」


「それは……かもしれないっすね」


七歳という言葉を聞いて、バトムスはまだ自分がこの世界では七歳なのだと……肉体的には、前世と比べてまだまだ小さいことを改めて把握。


「そういえばバトムス、そろそろお前より三つ四つ歳上の奴らを実戦に参加させて鍛えていこうと思ってるんだが、何かアドバイスとかあったりするか」


「えっ……それって、ジーニスさんたちが教えるものなんじゃないですか?」


「そうだな。でも、お前という本当に幼い頃からモンスターと戦い始めたレアケースがいるんだ。そういう人物の感想、アドバイスも大事だと思わないか?」


「うっ…………まぁ、かもしれませんね」


一応自分が転生者であり、この世界では十分レアケース、例外的な存在に当てはまるという自覚はあった。


「ん~~~~……………………あぁ、あれですかね。ゴブリンとか、ホーンラビットぐらいのモンスターなら、頑張ってこれまで積み重ねてきた動き通り、斬ったり突いたり出来なくても、最悪思いっきりぶっ叩けばなんとかなる」


「ふふっ、はっはっは!!! そうだな。確かに、そういうやり方でも、倒せるには倒せる。それは間違いない事実だ」


モンスター……明らかに自分たち人間とは異なる存在。


一部の例外を除き、初めてモンスターと対面する者たちは、本来の実力の三分の一も発揮出来なくなる。


ただ、真剣に努力を、訓練を積み重ねてきた者であれば、華麗に仕留めることは出来なくても、倒す……殺すこと自体は決して難しくない。


「とはいえ、短剣使う奴、魔法をメインに戦う奴なら、どうすれば良いと思う」


「……ゴブリンとかが相手なら、自分から突き刺しにいかず、襲ってきた時になるべく垂直に刃を、杖の先を突き立てるのが一番じゃないですかね」


(最適解だな。それにしても、それをあっさり思い付くとはな……バトムスは、ここを離れるつもりはないんだよな?)


先程聞いたため、無理に騎士や冒険者の勧めるつもりはないが、一つ提案したいことが頭に浮かんだジーニス。


「なぁ、バトムス。お前、今よりももっと大きく……後八年ぐらい経ったら、五つ以上歳下の奴らに色々と教える……指導者にならないか」


「し、指導者ですか? 俺が?」


ゴブリンの体から魔石を回収しながら、バトムスは面白いほど顔を歪ませ、首を傾げた。


がっつり迷惑はかけてない。

それでも好き勝手に、自由に生きているという自覚はあるバトムス。


そんな自分が教師、指導者など……想像しただけで似合わな過ぎて笑ってしまう。


「お前の歳で、それだけ考えられるっていうのは、やっぱり一種の才能だと思う。それに、お前自身……バトムスの様なレアケースじゃない相手の立場になって物事を考えられる。これは指導者にとってかなり重要な事だと俺は思ってる」


名選手、名指導者に非ず。


バトムスからすれば、前世では凡人中の凡人なので、本人は寧ろそういう考え方が出来て当然と思っているが、ジーニスからすればそういった点も普通とは言い難かった。


「ど、どうも……でも、俺は騎士にも冒険者にもなるつもりはないんですよ」


「嘗められたりってのが問題だと思ってるんだろ。安心しろ。まず、存在感自体は半端じゃないから」


アブルシオ辺境伯家の中で、嫌でも意識してしまう存在。

それがバトムス。


その為、ジーニスの言う通り存在感に関しては問題無くクリアしていた。

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