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執事なんかやってられるか!!! 生きたいように生きる転生者のスローライフ?  作者: Gai


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第20話 初めての感心

「っ、はい。どうぞ」


ノック音が聞こえ、入って問題無いと伝えると……今度こそ、アルフォンスたちが来た。


(って……なんでお嬢までいるんだよ)


アルフォンスと護衛の初老騎士と女性騎士……の後ろに、むすっとした表情のルチアまでいた。

バトムスも「なんでてめぇまで来てんだよ!!!!」と、思いっきりむすっとした表情をしたかったが、来訪客が第五王子ということもあり、さすがにあからさまに不満を顔に出すのは不味いと判断した。


「やぁ、バトムス。ようやくアブルシオ辺境伯たちとの話が終わったよ」


「お疲れ様、アル……で、良いんだよな?」


「勿論だよ」


アルフォンスをアルという愛称で呼ぶバトムスに「こいつはなんて恐れ多い呼び方を!!!???」と、仰天を隠せないルチアだが、更にアルフォンスがその読み方を了承していることに関して、更に……面白い顔になっていた。


「それにしても、やっぱりバトムスはどこかの屋敷に仕えてる従者の子供だったんだね」


「もしかして、ある程度解ってたのか?」


「なんとなくだけどね」


「そうか……俺の方は、やっぱりなんて予想を越えられたよ」


バトムはバトムスで、アルフォンスの事を伯爵家以上の爵位を持つ家の令息だと予想していた。

しかし、実際は貴族を飛び越え、王族の子供……王子であった。


「ところで、アルがここに来たのは……縁談、みたいなのが関係してるのか?」


「ふふ、そんなところだね」


まだ、確定している訳ではない。


五番目の王子とはいえ、それでも王子は王子、

まだ七歳でありながら非常に利発であり、将来有望なのは間違いない。


当然、令嬢たちからアプローチされる数は多く、現段階でまだ婚約者は確定しておらず、候補段階で止まっている。


「…………アルも物好きだな」


「なんですって!!!!!!」


婚約者候補としてアルフォンスに認めている。

その事実に仰天から一転、表情が非常に緩み、乙女の顔になっていたが……更にまた一転し、顔を真っ赤にして怒りを爆発。


「ふっふっふ。君たちの関係は……少し、羨ましいね」


「そうなのか? …………まぁ、そういうもんか」


貴族の諸々の事情、考え方などに関して、前世では一般人。今世でも両親が貴族に仕えている従者ではあるが、一般人よりではあるので理解も納得も出来ないところがある。


王族の諸々の事情ともなれば、本当に訳が分からないものもあるだろうと、ある意味納得出来た。


「そういえば、アブルシオ辺境伯から聞いたんだけど、バトムスはとても強いらしいね」


「えっと……そう、だな。同世代の中では、強い方なんじゃないかな」


「良かったら、その強さを見せてくれないかな」


今は友達の様に会話をしている二人だが、立場的には王子と従者の間に生まれた子供。


バトムスにとって、基本的に拒否権など無いようなものであった。


その後、アルフォンスからの提案通り、バトムスは訓練場に移動。

そしてバトムスの目の前には……ルチアが立っていた。


「はぁ~~~~~~~~。お嬢、マジで今ここで戦るつもりなのか」


「当然よ!!!!」


「前に戦ってから、大して期間空いてないだろ」


「私は日々、前に進んでいるのよ!!!!」


(……俺はべつに構わねぇけど、仮にも王子様の婚約者候補が、淑女とは程遠いガチバトルとかやっても良いのか?)


バトムスの心配は杞憂であり、アルフォンスはルチアががっつり戦闘技術を学んでいることを知っており、寧ろそこを気に入っているからこそ、候補に入っていた。


「あっそうかよ……んじゃ、やるか」


少し離れた場所から、友人? であり、第五王子であるアルフォンスが見ている……それでも、今日も今日とてバトムスがやる事は変わらない。


「二人共、いつも通りあまり激し過ぎず、お願いします」


「解ってるわ」


「了解っス」


「それでは……始め!!!」


ルチアにほんの少しだけ悪いと思いながらも、バトムスはいつも通りルチアの体重移動を利用して、転ばせて終わらせるつもりだった。


(あん? なんか…………ちょっと、無理そうだな)


斬り結び始めてから約十回……木製の剣と大剣をぶつけ合うが、今回は中々転ばせるチャンスが訪れない。


「なる、ほどね……どうしたん、お嬢。今日は、随分と頭を、使うじゃん」


「あんたに、勝つためよッ!!!」


木製であっても、大剣は武器の中で重い部類に入る。

そのため、全力で振るうと、どうしても体全体を移動してしまう。


これまで何度も何度も、ルチアはその瞬間を狙われ、転ばされてきた。

故に、ルチアは騎士たちにどうすればあのバカに転ばされない様に済むかと尋ね、上半身だけで大剣を振るうことが出来るようになった。


(俺に勝つためにかぁ…………なんだろうな。お嬢のことは別に好きじゃねぇけど、そうやって俺に勝つために、努力したってのは……なんだか気分が良いな)


初めてルチアに感心した。


だが、バトムスとて毎日適当に訓練を繰り返していた訳ではない。


(幸いにも、全体重を乗せて、振り下ろしてないから、そこまで速くない……出来そうだな)


バトムスは再びルチアの大剣と打ち合う……とみせかけ、受けの体勢に入った。

次の瞬間、戦いが始まってから、初めてルチアの表情が崩れた。

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