表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/12

第二話 奪われる前兆

何とか2話出せました。事情があって毎日投稿が難しかったりしますが、ご理解の程よろしくお願いします。

 リディニア王国で孤児だったおれたち兄妹を救ってくれたのは親父だった。親父は五大マフィアが一つ、『ガルシア家』のボスだ。親父は、孤児で学のないおれたちを学校で学ばせてくれた。そして様々なことをおれたちに叩き込んた。護身術、国政について、裏社会のこと、全てを学んだ。そして、親父は言った。


「いいか、全てを頭を叩き込め。いつか必ずお前たちの役に立つから」と。


 そして、六年後ー


 おれたちは、十七と十五になった。『ガルシア家』はマフィアだが貴族、ゆえに娘、もしくは息子がいれば、社交の礼儀といして、お披露目がある。そして今は、そのお披露目の前日で最終チェック中だ。


「エヴァ、招待客リストの名前と顔は全員覚えたか?」


 おれは、必死になって招待客リストを穴があくほど見ている妹に声をかけた。


「兄上、からかうのはやめてください。わたくしが暗記苦手なの知ってますでしょう!」

 

 エヴァは、あれからさらに美しくなった。純白の髪は綺麗に結われ、宝石のような瞳は輝きを増し、ワインレッドのドレスがよく映えている。だからこそ、そんな妹が必死になって覚えているのがおかしくてつい笑ってしまった。


「まぁ、兄上。いい加減になさいませ、また父上に言いつけますわよ」


「いいぞ別に、エヴァが可愛くてやってしまったと言うから」


 大抵それでどうにかなるし、エヴァが可愛いのは本当だし。親父に見られないなら大丈夫。


「おいおい、カイ。エヴァにちょっかいかけすぎだぞ。お前、明日はちゃんとしろよ~」


 ・・・ここは、おれの執務室だ。親父に《天力》の使い方も学び、人の気配が分かるようになった。はずなのに、


「なんで親父は気配がねぇんだ!?つうか、いつの間にいんだよ」


「うん?最初っからいたぞ。いつ気づくんだろうと思ってずっと待ってた、ていうかエヴァはずっと前から気づいてたけどな」


 またか、エヴァは気配を隠しても気づく、これだけは謎だ。それよりも、気になるのはー


「親父、何か用があるんじゃないのか?]


 親父が用もなく来るわけねえし。親父はスッと真面目な顔になり喋った。


「カイ、エヴァ。お前達はいつまでも俺の子どもたちだ。だからこそ、お前たちに話さねえといけないことがある。エヴァ、お前は大天使ミカエル様のご息女、ミネルヴァ様の魂を持っている」


 おれたちは言われた事が分からなかった。親父はイスに腰かけて喋り始めた。


「どこから話そうか。ん~まず、大天使ミカエル様は分かるな」


 「はい」「ああ」


「じゃあ、ミネルヴァ様についてだが。ミネルヴァ様は、ミカエル様のご息女だ。だが、ミネルヴァ様はお前たちに合う九年前、エヴァ、お前が生まれる年に天界で謎の消滅をした。その時、魂は地上に落ちた。その魂が入ったのがエヴァだった。そして消滅された時ミカエル様から天啓が降りた、『ミネルヴァ様の魂を持つ者を連れてこい』と。そして、お前達を見つけた時にエヴァの《天力》があまりに澄んでいて、すぐわかったよ。この子がミネルヴァ様のお子だとね」


「で、ではなぜ父上は王国に報告しないのですか。報告すれば『ガルシア家』の地位が上がるのでは?」


 確かに、それはそうだ。エヴァを差し出せば地位が上がり『ガルシア家』の評価もぐんと上がる。


「まぁ、そうなんだが。情が移ってしまったんだよ、俺も孤児だったところを先代のボスに助けられたからな。だからお前達を手放したくなかった」


 ああ、俺達は守られ続けていたんだな。ありがとう親父。

 

「そうなのですね、父上。・・・だとすれば今、なぜこの話をされたのですが」


「明日のお披露目パーティーにミカエル様の使者がくるからな。その時にエヴァがミネルヴァ様の魂を持っていると悟られてはならない。だから、髪色、瞳を変え、《天力》の力を弱める。これを使って」


 親父は内ポケットから小瓶を取り出した。見覚えがある、たしか・・・


「それはわたくしが外出るさいに飲んでいるお茶に入れている物では」


 そうだ、エヴァが外出する時に茶に混ぜていた物だ。だが、親父は「これは落ち着かせる薬だ」と言っていたが。


「これは《天力》を弱める薬だ。お前達を拾ったとき開発した。今まで嘘ついてすまなかったな」


「おれが言うのもアレだが、親父が謝るのは違うぜ。親父のおかげで今があるんだからな」


「ええ、兄上の仰る通りでございます。感謝こそすれ謝られる筋合いはございませんよ」


 親父が顔を上げるのとほぼ同じにおれたちは微笑んだ。親父は笑って言った。


「ありがとな、さすが俺の子共達だ!・・・それじゃっもう夜遅い、エヴァ、送って行くから行くぞ」


「送ってくださるのですか。では、お言葉に甘えさせていただきます。兄上、おやすみなさいませ、眠姫の加護が兄上におつるよう」


「ああ、おやすみ。眠姫の加護がお前におつるよう」


 二人が出て行き、おれも執務を終えて寝室に戻り眠った。


◇◇◇


「で、何でこうなる?」


 おれの前で正装に着替えた親父とエヴァが笑いまくっている。この状況なんだ?


「い、いやよく似合って、くはははっるよ。ただ、くくくっいっつもお前軽装だから、正装してるがもう面白くってよ」


 あー、なるほど。今のおれは紺のブレザーにスカーレットの上着を着て、髪をかき上げてるからまー、いつも平民みたいな服着てるからな。 


「ええ、ふふっお父様の言う通りでございます。兄上の正装が少し新鮮で、ふふ」


 扇で口元を隠しながらそう言うエヴァも、髪も瞳も変わってるくせに。


「はいはい、取りあえず行くぞ。()()、エヴァ」


「くくっ、父上、ね。まあ良い、行くか」


「はい、参りましょうか」


 おれたちは、馬車に乗り込み、少し離れた『ガルシア家』の舞踏会用の館まで向かった。


◇◇◇


「着いたぞ。あっ、エヴァのエスコートはカイ、お前がやれよ」


「わかってるって。降りるぞエヴァ」


 エヴァは、社交用の微笑みで


「ええ、お願いしますね。兄上」


 館に入ると大門の前にいた使用人の一人が声を張って言った。


「『ガルシア家』当主、イデワルド・ガルシア様。並びにご子息、ご息女のカイ・ガルシア様、エヴァ・ガルシア様のおなりです!!」


 張った声と同時に勢いよく大門が開き、おれたちに視線が集まる中、階段を降りて大臣達に挨拶に向かった。


「ご機嫌よう、イガルフォン大臣。この度は、私達兄妹のお披露目にお越しいただきありがとうございます。私、カイ・ガルシア、妹のエヴァ・ガルシアともども、皆様を歓迎いたします。ゆっくりなさって下さい」


「ありがとうございます。カイ様ももう十七でございますか。早うございますな。エヴァ様は初めましてですな、ミダゼレート・イガルフォンと申します。聞いていた以上にお美しい」


「お褒めに預かり光栄でございます、イガルフォン様。エヴァ・ガルシアと申します」


 大臣はもうエヴァに魅せられたようだ。さっきからエヴァをいろんな男共が見てやがる。まっ、エヴァはすぐ帰るけど。


「大臣、エヴァは今日に限って体調が優れておらぬのです。少ししましたらエヴァは帰ります」


「そうなのですか、それは残念だ。今度、我が息子にお二人ともお会い出来たら嬉しいですな」


 なるほど、友好関係を結びたいわけだ。


「ええ、また今度お会いできる日を楽しみいたしましょう」


 おれはさっさと切り上げ挨拶回りをし、一旦エヴァを家に送ろうと親父に声をかけた。


「父上、そろそろ」


「ああ、エヴァを頼む。ミカエル様の使者はもうそろそろだからな。薬の効き目も後少しだろうしな」


 おれはうなずいて、エヴァと共に大門を出た。エヴァの《天力》が戻り始めている。急がなければ。


「エヴァ、行くぞ」


「はい」


 おれたちが足早に館を出ようとすると、すれ違いで一人の男性が通った。胸に天使の翼の紋章。ミカエルの使者だ。聞いていたよりも早い!


 おれは冷や汗をかきながらすれ違った。


「気づかれたでしょうか」


「わからねえな、取り敢えず出るぞ」


 それからおれたちは、馬車に乗って家に帰りエヴァを送り、また館に戻り挨拶と雑談。何とかお披露目は終わった。


◇◇◇


「ほう、やっと見つけたか。私の娘、ミネルヴァの魂を持つ者を。迎えに行かねばな、愛しい私の娘ミネルヴァ・・・いや、エヴァよ」


 薄暗い中、大天使ミカエルは怪しい笑みを浮かべた。

いかがでしたでしょうか?エヴァの正体がわかり、怪しい陰りが見えて参りました。させ、どうなるのか!

それでは皆様、皆様に眠姫の加護がおつるように・・・!

ご拝読ありがとうございました♪

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ