悪魔の園使い猫
第2話です。
新キャラが2人ほど出てきます。
お楽しみに☺️
「私の名はデルタ。悪魔の園使い猫である」
猫は、見た目に見合わない男の声で喋り続ける。
それにしても、ジャックに差し出した左前脚はなんなのだろうか。
猫は、軽く笑い、猫の前脚を握るように言ってきた。
摩耗した精神で、特に考えもせず、ジャックは猫の前脚を握った。
すると、握った猫の前脚から強い光が発せられた。猫がにやりと笑った気がした。
眩しさに閉じた目を再び開けると、何やら真っ白な、立方体の部屋に立っていた。周りを見渡すと、ジャックと同じように困惑の表情を浮かべた、2人の男性がいることに気がついた。
1人は欧州人らしい金髪の、メガネの男性。
もう1人は、アジア人っぽいオールバックの黒髪男性。
猫がいたはずの場所には、緑の髪を短く切りそろえ、目隠しをした執事服の男性が立っていた。
「改めて名乗ろう。ようこそ、悪魔の園へ。私は悪魔の園使い猫、デルタだ」
黒髪の男性が、えっ、と声を上げた。
あの猫が、男の姿になったとでも言うのか。
「私はデルタ。使い猫だ。それ以上でも以下でもない」
デルタは、少し苛立った様子でそう言った。
本人がそういうのならそうなのだろうし、こちらに確認する術はないから、一旦は納得しておく。
黒髪の男性は、山上新と名乗った。日本人だそうだ。
メガネの男性はカイ・アインホルンという名前で、フランス人とのこと。
ジャックも、しどろもどろながら自己紹介をして、お互いの顔と名前を一致させた。
自己紹介が終わると、デルタが指を鳴らした。
真っ白だったはずの壁に、それまでなかった立て付けの悪そうな木製の扉が現れた。
デルタは恭しく礼をしながら笑った。
「ようこそ、"悪魔の園"へ。」
デルタの後方で、扉が耳に痛い音を立てながら開いた。
強い光に、思わず目を閉じた。
ご覧頂きありがとうございました。
カイ・アインホルン、山上新の登場回でございました。
2人の素性、職業などはまた後々出てくるかと思いますので、乞うご期待!