第三話 親として
ボクは森で拾った赤ん坊を聖木の洞へと連れてきた。
「ここがボクの家だよ」
赤ん坊は何が何だかわかっていないようだった。
でも、家に置いてある器用な調度品に興味はあるみたいで、玄関に置いてあるエリクサーを凝視していた。
「ボクは君のお父さんだよ」
この年齢の赤ん坊なら自分が生まれた時のことはあまり覚えていないだろう。いや、覚えていないほうがマシだ。
「自分が捨てられたことを知るのなんてボクでも辛かったもん」
◇◇◇◇◇
少年は自分の子供を見るように優しく赤ん坊を見ていた。
「これまで辛かったね」
赤ん坊にはまだ自我はないはずだが、透明な涙があふれた。
やはり、少し寂しかったのだろうか。
その光景は、まるで仲の良い兄弟のようであった。
◇◇◇◇◇◇
「そうだ!名前をつけてあげよう」
どうせだから神語の名前にしよう。
ううんと、、、
「シュン!君はシュンだ!」
洞に微笑ましい声がこだまする。
◇◇◇◇◇◇◇
ボクはしばらくシュンと遊んだ後、これからすべきことについて考えた。
「う〜ん、子供育てたことないからなあ〜」
取り敢えず我流で行くことにしよう。
と、その時、コツコツと扉を叩く音が聞こえた。
「あ!アル!」
アルが僕の家に来たようだ。
「今開けるよ〜」
ボクが扉を開けると、そこには絶世の美女と言うべき清楚な女の人が立っていた。
古代神竜アルカディアだ。
「ご主人様の元に何か普段と違う気配を感知したため、参上いたしました。ご無礼をお許しください。」
「うん?全然良いよ〜 アルが感じたのってこの子の気配でしょ?」
「っ!?!?」
まあそりゃびっくりするよね。あ、まって、
「あ、アルって子供嫌いだったっけ?」
「可愛い、、ーゴホン、いえ、それは私のことではなくルリのことでしょう。あの子は本当に、、、」