第六話 子どもは時に意味不明な行動をする
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ジョブを獲得しました。あなたのジョブは【コールセンター・オペレーター】です。
ジョブ:コールセンター:オペレーター
ジョブ特性:コールセンターに関わる行動や成果に対してボーナス
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珍しい黒い光に少し教会内がざわついている。司祭は笑顔が引きつっている。気にせず戻ることにする。
心配そうな両親に微笑みを向け、外に出ようと声をかけた。
「あまり見ない黒だったが、大丈夫か?」
父も心配そうな表情だが、俺も困惑している。
「うーん、珍しいジョブになったとは思うよ。【コールセンター・オペレーター】だって」
「「「コールセンター?オペレーター?」」」
3人の声がハモる。そうか、コールセンターという言葉自体を聞いたことが無いのか。
「うん、よく分からないよね。ねぇ父さん、どんなジョブが確かめるためにもモンスター退治に行っていい?12歳になったよ!」
一瞬瞑目した父だが、頷く。
「そうだな、明日にでも冒険者ギルドに登録して、近場でモンスター退治をしてみるか。俺も一緒に行くからな」
「うん、ありがと!」
初めてのモンスター退治だ。気合入れていこう。
その日はジョブ初獲得のお祝いで豪華な夕食を食べて過ごした。豪華と言ってもレシピを考えたのは俺、調理は俺と母の合作だ。
初代国王は料理には疎かったようで、マヨネーズやケチャップ、醤油や米など一通りの食材を揃えることには成功したがあまりレシピ開発は出来なかったらしい。この国は食材の豊富さの割に料理のバリエーションは少ない。
今日の夕食はコウケ◯テツのチキン南蛮だ。鶏むね肉だが小麦粉をはたいて卵にくぐらせて揚げ焼きすると驚くほど柔らかく仕上がる。リ◯ウジフリークだった俺だがこの世界ではコウケン◯ツレシピの使用回数が多い。味の素がないからだ。昆布やきのこで旨味を足すのにも限界がある。風味が変わってしまうからな。
美味しいご飯を食べ、一人部屋でベッドに入る。結局ビティア以来弟妹は増えなかった。ビティアは未だに両親と寝ている。
ベッドの中で【コールセンター】について考える。
12歳までの行動でジョブが左右されるとは聞いていたが、前世まで参考にされるとは思わなかった。【ゲーマー】や【営業】や【独身貴族】になる可能性もあったんだろうか。それよりはマシかもしれない。
しかしこの世界にはコールセンターは無い。電話も無い。【コールセンターに関わる行動や成果に対してボーナス】というのがどういう意味なのかによって、今後の行動がかなり変わってくる。
コールセンターと言えば電話をする仕事だというイメージが当然ある。しかし関わる行動と言うキーワードから考えるとどうだろうか。
顧客の課題を解決すること。
顧客と対話し、契約を勝ち取ること。
生産性を高め、より短い時間でより高いパフォーマンスを発揮すること。
顧客や市場にひときわ近い存在として、お客様の声からそれらが持つ課題やニーズを発見すること。
こういったコールセンターに関わる行動に関してボーナスがつくと考えれば、ギルドの依頼をこなしてボーナスという可能性だってある。
もしこれがコールセンターそのものの存在が必要であった場合、電話を開発しコールセンターを作ることを目指さなければいけない。初代国王のアイデアマップに電話は存在すると思うが、コールセンターは無いだろう。そもそもコールセンターがほしいから電話を開発するというのが意味不明だ。
下手したらコールセンターを立ち上げるまでで一生を終えてしまう可能性もある。メタ的な見方をすると、流石にそれまで意味がないジョブというのは無いんじゃないだろうか。そう信じて眠ることにする。初めてのモンスター退治。楽しみだ。
翌朝。
スッキリとした目覚め。対して父の寝覚めは悪そうだ。
「どうしたの父さん。具合悪い?」
「いや……なんでもない。今日は初めてのモンスター退治だな。準備はいいか?」
息子に聞いたことのないジョブが授けられて混乱や不安があったのだろうか。
父は不安そうだが、俺はそこまで悪いことにはならないんじゃないかと思っている。
「準備はばっちりだよ!行こう!」
「分かった分かった。父さんも準備していくからちょっと待ってなさい」
「わたしも行きたいーー!連れてって!!!」
ビティアが騒いでいる。しかし連れて行くのは却下だ。
俺は魔法を覚えたいと両親に告げた際に、5つの約束をした。その約束はビティアも同じように両親と結んでいる。
モンスター退治に関わるのは12歳になってから。実力が無いと危険だというのはもちろんだが、子どもは時に意味不明な行動をする。
そうした危なっかしさ、不確定さを考慮してある程度判断力のつく12歳を区切りとしているのだ。
「あと3年だな。それまではお留守番だ。」
「むぅ……帰ってきたら、しゅぎょーの相手してよね!」
「分かったよ。それじゃあ行ってきます!」
「行ってらっしゃい!気をつけてね!」
うむ。やはりちょっとお転婆ではあるが、良い子だ。
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