第一話 コールセンターは底辺職と言われているが案外楽しい
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「今日もなんとか事務処理が終わった……」
本当に疲れた。
新卒で教育関係の営業に就職し、塾講師やメーカー営業に転職したどり着いたコールセンターの仕事。
主に企業からの依頼に基づいてコールセンターを運営する会社へオペレーターとして入社し、だんだん管理者を任されるようになって7~8年。管理者へはいくつか呼び方がある。センターによっても違うが、現在の俺の役職は『SV』だ。
現在35歳。独身、彼女なし。モルモットと二人で賃貸マンション暮らし。休日はスポーツをネットで見ること、アニメや漫画やネット小説を読むことで一日が終わる。
モルモットは本当にかわいい。P◯IPU◯モ◯カーというアニメが一時期流行ったことがある。モルモットは本当にあのようにプイプイ鳴くのだ。モルモット好きとしてはあのアニメを機にモルモット人気が上がってくれればと思ったのだが、自分の周囲ではあまりモルモット人気は感じられなかった。かわいいのに、モルモット。やはりモルモット=実験動物という言葉のイメージが悪いのだろうか。
我が家ではモルモットはほぼ放し飼いにしており、ケージの扉を常に開け放っている。ペットカメラを複数台設置し、昼休みにモルモット探しをするのが地味に楽しい。
独り身男性あるあるだとおもうのだが、料理をすることも少し好きだ。カレーや麻婆豆腐を、市販のカレールーや素を使わずに作って一人満足している。野菜をカットしているとモルモットが足元でプイプイと鳴いて野菜を要求するのも楽しい。道端で引っこ抜いてきた雑草でも喜ぶくせに、ピーマンを要求するなんて贅沢なペットである。
最近は電気圧力鍋を買った。低温調理モードで鶏ハムやローストポークを作り、冷蔵庫に作り置きのタッパーが複数あることが少しの楽しみだ。
リ◯ウジのバ◯レシピとコウケ◯テツのレシピばかり作っている。味が濃くて美味いんだ。リュ◯ジのバズ◯シピで実食コーナーに出てくるなんだかちょっとやんちゃそうなスタッフ陣はちょっと苦手だが、レシピに罪はないのだ。やはり味の素だ。味の素は全てを解決する。コウ◯ンテツの丁寧なレシピに味の素をぶち込むのが最強だ。
コールセンターは巷では『AIに淘汰される仕事』などと言われることがある。実際AIの活用も始まっているが、どうにもこの人間が運用するコールセンターというものはしばらく無くなりそうにない。
『人と話したい』という主に年配の方々には多くご利用頂いている。『ネットを見たけどよく分からなかった』という電話もよくある。『とりあえず文句を言いたい』という人もAIでは満足出来ないようだ。
そういった需要から、もう新しいプロジェクトに基づいたコールセンター立ち上げも4件目だ。立ち上げは楽しいが、とにかく最初がしんどい。
何がしんどいかというと、事務処理をする時間がないのだ。
立ち上げ当初は多少管理者陣が依頼元企業より研修を受けることもあるが、基本的には全員初心者。
少し毛の生えた程度の初心者である管理者が、全くの初心者であるオペレーターをサポートしながらスタートするのが常だ。
そうなると、電話がなっている時間はサポートにかかりっきりとなってしまう。サポートというのはそのセンターにもよるが多岐に渡る。
不慣れなオペレーターの音声をリアルタイムでモニタリングして、雲行きが怪しくなる前にチャットで助言を送る。
お怒りのお客様への対応を引き取り、対話を試みる。
資料がごちゃごちゃしているのでデータベースを探しに行くだけでも結構な時間がかかることもある。
お叱りを受けて心が折れそうになっているオペレーターへのメンタル面のフォローも必要だ。
しかし、管理者の仕事はオペレーターのサポートだけではない。
管理者の大きな仕事は、事務処理だ。
お客様から寄せられた不具合やエラーの報告をまとめてクライアント企業へ調査要請を上げる。
通常の決済手段以外の手続きが必要な対応について、対応依頼を作成し上げる。
オペレーター権限では途中までしか出来ない処理を引き取り、確定作業を行う。
こうした日中8~12時間ほど受電し集められた処理を行う必要がある。
理想を言えば、日中に少しずつ行えればいいのだろう。しかし立ち上げ当初はそうもいかない。結果、このように毎日夜中までかかってしまっている。最初は元気だった同僚たちも死屍累々だ。
しんどい、しんどいが、自分たちで一からなにかを作り上げる感覚というのもいいものだ。
まぁ、センター運営が軌道に乗ってくるとコールセンター一番の命題である『生産性』への取り組みで神経を削る日々が待っているのだが、今はそれどころではない。
そう疲れと細やかな達成感を感じながら、電車に乗って自宅の最寄り駅までたどり着く。
こころなしか重い足取りの周囲に共感を覚えながら階段を降りる。最寄り駅の地味に不満な点だ。利用者もそこそこいるからエスカレーターを設置してくれてもいいと思うんだが。毎朝エレベーターへの列が行列となっている場面を見るたび思う。
背中から衝撃。
「あっ……」
驚く女性の声が聞こえた気がした。上下がわからず激しく転がる体、受け身が取れず何度もぶつかる頭。
誰かに後ろからぶつかられ、階段を転げ落ちたのだと気づいたのは、意識を失う寸前だった。
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