8話 調べもの
バーに着くとクローズの文字が現れる、マスターが気を効かせて休みにしてくれたようだ
中に入るとすでに着いていた拙者が滅多に使われる事のないテーブル席で端末を広げて待っていた
拙者はピリオドに気づくと手を大きく振って呼びかけて来た
「ピリオド殿こっちでござる、むさくるしい所ですがささこちらへ」
「おい」
マスターのツッコミを聞き流し言われたままに拙者の対面に座ると拙者が説明をしてくれた
「結果で言うとピリオド殿とコンマ殿からは何も見つからなかったでござる、しかし二人のデータを入れた端末を精査している時に見たこと無いデータが入っていたでござる、どうやらピリオド殿とコンマ殿のデータを端末に同時に入れると出て来る隠しファイルだったようでござる」
それから拙者は隠しファイルを解読して、その中から出てきたのは国立国会図書館の中の指定の本を探せと言う物だった
「とういうことで拙者はこれから国会図書館で調べてくるでござる」
「一人で大丈夫?」
「伝手もあるし大丈夫でござるよ、まぁ万が一を考えてどこに行くかの報告をしただけでござる」
「そう気を付けてね」
「美少女アンドロイドに心配されるとぐっとくるでござるな」
ピリオドは何と返していいか分からずに言葉に詰まったがマスターが「変態は死んでも治らねぇ」とボソっと言っていた
拙者が調査に出る事が決まってから数日後にバイクの受取日が来た
「来たか嬢ちゃんバッチリ仕上げといたぜ」
「ありがとう、お金はまだ用意できてないのごめんなさい」
「気にするなそんなにすぐ用意できるとは思ってねぇよ、これからはこいつでバリバリ稼げよ」
パンッと座席を叩いてバイクをピリオドに渡すとオヤジさんは次の仕事へ行ってしまった
愛車にまたがり火を入れるとゆっくりと走り始める、30分ほど走り車通りの少ない場所へ来ると少しづつアクセルを開けていく
久しぶりの加速の感覚が気持ちいい。ピリオドにしては珍しく音楽も掛ける、アルファの曲だ、一通り聞いてその中でもお気に入りになったのがアルファが初期に出したと言われている曲だった
流れる景色が曲が楽しくて仕方なくなってくる。テンションが上がったピリオドは自然と曲を口ずさみそれにつれてスピードも上がって行った
気分よく飛ばしていたピリオドだったがコンマが警告を出す
《速度超過》
気持ちよく飛ばしていたがその気分を台無しにする警告だった仕方なくスピードを緩めてコンマを睨む
「もう少し空気読んでよ、スピード違反くらい誤魔化せるでしょ」
コンマを軽く小突く
《緊急時以外ハ法ニ従ッテ下サイ》
「ケチ」
《働キタクナイ》
コンマはたまにしょうもない事を言う、ピリオドとしてはプログラムした人の顔が見てみたいと思うのだった
それから運び屋らしい仕事を再開する、1週間ほど経った頃に仕事を終えると拙者から連絡が入った、送られてきたのは地図だ、これからバーに戻る事を伝えるとそこで合流することになった
「それじゃ調べて来たことを伝えるでござるよ」
拙者によると図書館の中でデータを調べたが該当する物はなかった、しかしデータ化されていない本もある為その中から探し出したらしい、しかもそれは最初の1冊を見つけると次へと導かれるようになっており5冊目でようやく場所が書かれたメモが見つかったと教えてくれた
「しかも全てアンドロイの基本理論絡み知識のが必要でござった」
「大変だったんだねありがとう」
「なんのこれしき。それで出て来た地図でござるが、衛星写真から見ると現在はただの森でござるよ現地まで行って確認しないと何があるかわからんでござるな」
「それじゃ明日にでも行って見るね」
「明日でござるなそれでは待ち合わせはここでいいでござるか?」
「えっ?行くの?危ないかもしれないよ?」
「ここまで首を突っ込んで行かないはありえんでござる、宝探しみたいで面白いでござるしな」
どんな危険があるかわからない場所にピリオドは生身の人間を連れて行きたくなかった
「一応備えはしていくでござるし、もし足手まといになるような状況が来たら捨て置いてくれていいでござる」
「危険そうだったら無理矢理でも送り返すからね?」
「大丈夫でござる拙者もまだ死ぬ気はないでござる」
拙者の押し切られる形にはなるがピリオドはしぶしぶ同行を許可するしかなかった
次の日の夕方から地図の場所へ向かう
拙者の車の後部座席には荷物が沢山乗っていた、トランクにも何やらぎっしりと詰まっているらしい
ピリオドがバイクで先導して目的の場所近くでバイクと車を止めると拙者は後部座席にある荷物の中からパワードスーツを着るとトランクを開けると武器を取り出す
「どこからそんな物騒な物持ってきたの…」
「いろいろ伝手と貸しがあるでござるよ」
得意げに笑顔を見せる拙者を見てピリオドは溜め息をついた、拙者はトランクからさらに光学迷彩シートを取り出して車とバイクを隠していく最後にリュックを背負い完全武装になる
ピリオドの見立てでは拙者の装備を見る限り防御力に特化していそうだったのでそのまま目的の場所へと森の中を進む
森の中を進むが拙者はすぐにへばった、パワードスーツには色々な補助機能が付いている、その中に歩行用に筋力強化もあるはずだがそれ以上に拙者の体力がなかったようだ
「ぜぇぜぇ……」
「少し休む?」
「お気遣いは…ぜぇ…ムよ… おえぇ」
歩きなれていないのか獣道のせいもあるのだろうがまだ歩き始めて15分くらいしか経っていないのだがこの有様だった。次は心肺強化機能を持つ装備も持って来てもらおうとピリオドは思った
休憩を挟みつつなんとか目的の場所に着くが拙者は汗でずぶ濡れになっていた
「休んでていいよ、目的地はこの辺りのはずだから周辺をちょっと探ってくるね。何かあったら信号弾でも上げて」
「ぜぇぜぇ…」
どうやらもう喋る元気がないらしく、座り込み下を向いたまま拙者は親指を立てた
ピリオドは木々が生い茂る中周辺を捜索する、拙者がいなくなった事で探索速度も上がる10分ほど周辺を捜索して拙者の元へ戻る
拙者は10分の間にかなり水分を補給したようだった周りには500mlのボトルが数本転がっていた
「本当に大丈夫?」
「もう大丈夫でござるよ」
余裕を見せて答える拙者だったがまだ肩で息はしていた
「それで何か見つかったでござるか?」
「特に何もみつ」
見付けれなかったピリオドがそう言おうとした時にコンマに異変が起きた
「プログラム発動ナビニ従イ対象ヲ案内スル対象機ハコノ端末ヲ追従シテクダサイ」
コンマの急変に驚いたピリオドだが拙者が一応付いて行こうと提案するのでコンマに従い移動した
斜面に木が2本並んだ場所に案内されるとコンマがその間に移動して二人に告げる
「当機ノ横ニ立ッテクダサイ」
コンマの指示通りにコンマを挟んで木の間に立つとそこはエレベーターになっていた
エレベーターが動き出し地下へ潜って行く体感で5・6階ほど降りた所でエレベーターのドアが開く
そこは地下駐車場らしき場所に繋がっていた、コンマが先導して案内をしてくれる
「コンマどこへいくの?」
「プログラムニ従イ目的地マデ案内シテイマス。目的地マデノ到着予測時間ハ20分」
コンマを信じて駐車場の中を進んで行く。その後ろを拙者は無駄に警戒行動をとりながら着いて来る
5分程歩くと壁の前に着くコンマが光ると壁が上に上がり奥へ進むと5人ほど乗れるリニアが現れそれに乗り込む
「地下なのに大掛かりな施設でござるなリニアまであるとは」
「そうだね、思ってたよりヤバそうだから今から帰る事もできるよ?」
「男には危険だと分かっていても行かねばならぬ時があるでござるよ」
決め顔をして言う拙者にピリオドは溜め息を吐く本当にわかっているのかコイツとちょっぴり思ったりもしていた
「危険だったら逃げてね」
「ははは、これに乗ったら正直もう逃げられんでござるよ」
余裕の顔をして拙者は言うがその額には汗がびっしりと流れていた
リニアは目的地までの10分間なんとも言えない緊張を纏い進んで行った




