5話 ダメな大人達
届いたメールを眺めながら絶望の表情になるピリオドそこにこう書かれていた
《修理の見積もり出来たぞあとこれ費用な》
そこに書かれていた金額はピリオドの持っているお金では足りない額だった
家に帰り着いたピリオドは継ぎ目の無い金属の球体に手のひらを当てスマホのロック解除するようにいろいろな方向へ手を動かすと金属の球体が喋る
「登録者を確認できましたロック解除手順を確認できましたお名前をどうぞ」
「ピリオド」
「音声と名前の確認完了、ロックを解除し解放モードに移行します、間違えて閉じてしまった場合もう一度解放手順が必要となりますのでご注意ください」
継ぎ目の無い綺麗な金属の球体に線が入り、そこから扉が現れる。この時代の金庫だ
金庫から全財産を取り出すとピリオドは溜め息を吐く、いくら数えても請求には足りなかった
「コンマどうにかならない?」
「当機ハ金銭面ニ関与シナイヨウプログラムサレテイマス」
「だよねぇ」
コンマなら電子マネーをハックして簡単に増やせる。そうじゃなくても株式を扱うAIを操作して儲ける事も可能だ、しかしコンマは頑なにそれをしてくれない、コンマを作った人を軽く恨みもう一度溜め息をついてピリオドは札束を鞄に詰め込むと肩を落としてオヤジさんの所へ向かう
オヤジさんの工場へ着くと中からイビキが聞こえてくる、絶妙な体制で事務所の椅子で寝ているオヤジさんに近づきゆすり起こそうとするとツーンっと鼻と喉の中間を突く酸っぱい臭いが漂ってくる
「クサッ」
その声にビクリと反応してオヤジさんは椅子から落ちる
「イテェ……おう来たか」
起きたオヤジさんは落ちた時に打った肩をさすりながらピリオドに近寄るがピリオドはそのまま後退った
「おやじさんごめん、臭い…」
「そうか?」
オヤジさんは自分の腕をスンスンと臭う
「あー確かにちょっと臭うかもなまぁ気にすんなそれよりだなバイクの新パーツだけどな」
「先にお風呂入って!」
そのまま強引にオヤジさんをシャワーへぶち込むとピリオドは事務所の掃除をしながらオヤジさんを待とうとしていた
するとシャワーから出て来たオヤジさんは腰にタオルを巻き、髪の毛からポタポタと水を落としながら工具箱へ向かうと中からケーブルカッターを取り出しおもむろに髪の毛を切り始めた
「おやじさん何してるの…?」
「見りゃ分かんだろう、鬱陶しい髪を切ってんだよ」
「工具で切らなくても…」
「こいつが一番よく切れるんだよ」
そう言ってオヤジさんは散切り頭にしていく、髪を切り終えるとまたシャワーに戻って行った
オヤジさんが去った後に残された髪の毛をため息交じりに掃除をする、事務所内をさっと掃除してオヤジさんが寝ていた場所に掃除道具置き場にあった殺菌レーザーを照射していく
「掃除してくれてたのかありがとうな」
シャワーから上がった後にさっとツナギを着て工場から台車に乗せられたピリオドのバイクを持ってくる
バイクはほぼ骨組みだけになっていた、オヤジさんは資料をピリオドに送信して説明を始めた
「まずはコイツだスカイ・T・ドライブ社の新型粒子加速エンジン、こいつに俺が手を少し加えるこれで100kmくらいは速度が増すはずだ。それから次は・・中略・・楽しくなってくるだろ?」
オヤジさんには悪いがそのの生き生きとした説明をほぼ聞き流していたピリオドは笑顔で適当に相槌だけをうっていた
「それと違法だが重力緩和ジェネレーターも入れるピンチの時以外絶対人前で使うなよ?」
「わかった…それでお金なんだけど今これだけしかなくて」
ピリオドは鞄から現金を取り出してオヤジさんに渡す
「また、現金かよ現金はめんどくせぇって知ってるだろ」
「ごめんなさい」
「まぁ電子だろうが現物だろうが金は金だ。これだとパーツ代の3分の2にはなるな、残りは建て替えといてやる1年くらいはまってやるが俺も金持ちなわけじゃねぇからできれば半年くらいで返してくれるとだと嬉しい、もちろん工賃はサービスしといてやる」
「ありがとう」
「まぁ俺も人の金使って好き勝手やらしてもらってるんだ礼を言うのは俺だったりするぞ、それで完成だがな2週間後くらいを見ててくれ。出来たらまた連絡を入れる」
「おやじさんよろしくお願いします」
机に向かって早速作業をし始めているおやじさんは軽く手をあげて返事をしてくれた
オヤジさんの工場を後にしたピリオドはいつものバーへ向かう
ドアの前まで行くとそこにはクローズの表示がされていたがピリオドはそれを無視して裏口から中へ入る
「ピリオドか…」
そこにはグデングデンに酔ったマスターがカウンターで項垂れていた
「仕事は…そんな状態じゃなさそうね。また飲んだの?弱いくせに」
ピリオドは被っているフードを脱ぐ
人の来ないバーでも極稀に人が来ることもあるので警戒して常にフードを被っているピリオドだがクローズが出ている時は人が間違って入ってくる事もないのでフードは被らないようにしている
「娘に会って来たんだよ」
「娘さんに会った後はいつもグデングデンだね、そう言う所治せばもう少し嫌われないかもよ?」
「別に嫌われてねぇよちょっと気難しい時期なだけだ」
マスターは手元の酒を流し込むとまた伏せる
「そうだといいね」
マスターに娘が居ることは聞いていた2・3ヵ月に1回会いに行っているのも知っている娘に会った後は必ず酒を飲んで潰れているので二人の関係がどのような関係かは突っ込んで聞いてはいない
「それよりピリオド歌上手いらしいな?あいつから聞いたぞ」
「余計な事を…」
バンマスだろうバンマスの前でしか歌った事はない、二人は幼馴染だとバンマスが話していたから連絡をしていても不思議はない
「寂しいおっさんの為に歌ってくれよ」
ピリオドは考える今日はもう仕事の話はできないはだろう後は帰るだけ、この前の不思議な粒子の事もあるので試してみるのもいいかもと思った
「ダメマスターの為に少しだけ歌ってあげよう」
「あぁ頼む」
ピリオドは歌い始めるアカペラではあるがその場を包み込むような優しい歌声だった
1曲歌い終わるがピリオドに変化はなかった。それに安心するピリオドだったが、今はこの酔っ払いが少し心配だった
「いい歌だ」
マスターはピリオドへ向けてコインを指で弾き飛ばすが酔っているのでコインはピリオドの顔の横を通過しそうになるがそれをなんとか掴む
「すまんな酔ってたみたいだ」
その一言を最後にマスターは潰れて寝てしまった
コインの価値はそれほどでも無いが自分の歌に対するお礼を少しだけ嬉しく感じる、ピリオドはそのコインをレジに入れ、マスターに毛布を掛けると勝手にカウンターの中へ入り生卵とトマトジュースを使いプレーリー・オイスターを作るそれを小型冷蔵グラスに入れてメモを張る
《起きたら飲んで》
それは事情も聴かずピリオドを雇ってくれたマスターへの小さな恩返しだった
※中略部分
「まずはコイツだスカイ・T・ドライブ社の新型粒子加速エンジン。こいつに俺が手を少し加えるこれで100kmくらいは速度が増すはずだ。それから次はモーターだなレース用の超高回転モーターをぶち込む変わりに発熱量が増えるから全開で回すのは10分くらいが目安だ20分も回せば確実に焼き付くから注意しろ、それに伴ってインタークーラーは超熱電動のフェムトにした軽くて丈夫だ。制御系は前に玉っころが勝手にいじったままにしとくぞ、というか正直俺じゃどうすりゃいいのか分からんくらい複雑なの組みやがって。次は足回りだなフロントフォークはフェムトと疑似パスタ鋼の合材なのは変わらねぇがフェムトが新製法だこれで前よりはかなり強くなってるはずだ、それとブレーキ用のエアダスターも直列ファンを使って構造も新型にしてあるこれでマッハからでも制動距離はそんなに出ないはずだ、変わりに体への負担はでかくなるぞ、それとボディだな全部ドライフェムトで作るこれで前より軽くなる。ギア比は普段の街乗りなら3までにしとけ3で引っ張ても600くらいは出るようになる。で4~6でクロスレシオ組むから600まで引っ張た場合は6まで飛ばしていいそっからは普通に10まで行けるこれでマッハは余裕で超えてくるはずだ。どうだ?楽しくなってくるだろ?」
※スカイ・T・ドライブ社
資本が逆転して産まれた会社 2022年現在原型はあるが実在はしない
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