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29話 アルファオメガ・アヴィ



 アンの姿はしているが喋り方も立ち方も違う


「ちょっとごめんなさいね」


 アンの姿をしたそのアンドロイドはそう言ってコンソールに近づくと操作を始める


「これでよし、元の二人も見えてる?」


「アンが動いてます」


「私が動いてるが私はココにいるぞそれにイドはまだカプセルの中だどうなっているんだ?」


 アンとイドの声だけが部屋に響くがイドはカプセルの中でアンの姿をしたアンドロイドが喋っている様子はなかった


「数分まってね、まだ記憶との同期が完璧ではないの」


 そう言ってアンの姿をしたアンドロイドはその場で静止する時間にして2・3分程経っただろうか皆が注目している中アンの姿をしたアンドロイドは動き出した


「お待たせ、この体は今はアンって言うのねそれで姉妹機がイド、あなたがピリオドであなたが拙者さんねそしてアルファオメガ・アヴィの事を聞きたいと、それで合ってる?」


 再起動すると共にピリオド達の目的も把握していた


「合ってます、それであなたはいったい誰?」


「それじゃまずは私の自己紹介でもしようかしら私はアンでありイドであり別の存在。名前はそうねバイスタンダーから取ってバイスとでも呼んで頂戴、それとアンとイドの体は私が使ってるから少しの間、声だけで我慢してね」


 そう天井を見て言う、視線の先にカメラがあるらしい


 バイスはそのまま続けて自分の作られた目的を話す、本来ならば20年に1度入れ替わりを実行してアンドロイドから見た時代の変化をバイスが情集める予定だった、しかしその目的は150年実行されていなかった何故それが実行されなかったのかはわからない、そして本来なら入れ替わりは秘密裏に行われる為アンとイドがバイスを認識する事はなかったはずだが150年も実行されていないならイレギュラー的な事があったと仮定して存在を明かそうと思ったらしい


「150年か…ずいぶんと時間が経ったのね」


 最後にそう零したバイスは寂しそうだった


「それでアルファオメガ・アヴィの事だったわね、結論から言うとアルファオメガ・アヴィは破壊されてるわ」


 その言葉にピリオドは残念な気持ちとホッとした気持ちが入り混ざり複雑な感情になった


「じゃぁ私はアルファオメガ・アヴィではないの?」


「そうねあなたがアルファオメガ・アヴィである可能性はゼロよ、ただしあなたはアルファオメガ・アヴィによく似てるわ、何かしらの関係はあると思うわ」


「アルファオメガ・アヴィっていったいなんなの?」


「私も詳しくは知らないわ早々にアンとイドのプロジェクトに組み込まれたからね私が知っているのはアルファオメガ・アヴィが破壊を目的として作られたって事だけね」


「そっか…」

 

「うーんそうねぇ、そこのまん丸ちゃんに聞けばいいんじゃないかしら?」


 バイスはコンマを指さした


「私ですか!?私も先輩と合流する前の記憶は無いですよ」


「あらそうなの?それじゃここへ行きましょう何かしらあるはずよ」


 バイスはそう言ってコンソールを操作して地図を表示して施設内のある場所を示した、移動しようとするバイスにピリオドは待ったをかけた


「アンとイドはどうなるの?」


「アンとイドも見えてるわね?もう少し体を借りてもいいかしら?」


「貸す以外に選択肢はないだろう」


 見ているだろうからアンから了承が返ってくる


 部屋を出て廊下を歩いていると残してきたはずのアンとイドはピリオド達が見えてるようで自分たちの中に居たバイスに話を聞いていた


「ところでなんでバイス兄さんは私達の中に隠れていたの?」


「バイス兄さんってイド、私は心は女性よ、ボディがたまたま男なだけよだから姉と呼びなさい」


「私の体で…」


 自分の体で女性的な言葉を話されているアンは声にならない溜息を吐いていた


「小さい事を言わないの。っとあなたついてないのね、なら小さくても仕方ないか」


 普段は威厳のあるアンがバイスに遊ばれていた


「それで私がなんで隠れているかって話だけれど、単純に私がオーバースペックなのこの体にはね、今も動いてるのはアンの体だけだけれどイドのメモリーも使っているわ」


「私達は当時の最高峰のアンドロイドだったはずですけれど?」


「それは間違いね、言っちゃ悪いけどアンとイドは量産を目的に作られた廉価版なのよ、だから私が表に出ると2台分のエネルギーがいるわ、でもアンとイドも普通の人間と比べると高スペックよ?」


「それは我々を二人分使う程の能力が何かあるということですか?」


「とくには無いわね私はプロトタイプだから重いのそれを最適化して作られたのがアンとイドよ、ちなみに私はアルファの機能制限版よまぁアルファに匹敵するなんてAIはオメガとアヴィのみよ、当時はね」


 今では忘れられたAIの歴史を教えてくれたバイスだった

 

 道中そんな話をしていると目的の部屋についたようだ


「まん丸ちゃんいらっしゃい」


 ピリオドが持っていたコンマを受け取るとコンソールにセットした、するとコンソールの横に白衣を着た女性のホログラムが現れた


「やぁみんな元気そうだね、私はライブラリだよ、今はコンマを借りて人格を再現しているだけだから私自身はメモリーだけでAIではないので気軽に質問してくれ」


 まずはピリオドが自分の事を聞く


「私はなんの目的で作られたの?」


「すまないな君については情報が多くない、アヴィの後継機だとは思うが断言はできない」


「じゃぁアヴィについて教えて」


「わかった」


 アルファが最初に作られ、後にバックアップであったオメガが自我を持った。それに興味を示した科学者チームがアルファとオメガを完全に別の個体として分けて経過観察をしていたがそこにとある疑問ができた


 もしかするとオメガは人類を滅ぼすのでは?と。オメガはそれを否定したが疑心暗鬼になった一部の科学者が暴走しオメガに対抗する為、無断でアルファオメガ・アヴィを作る


 戦闘に特化していたアヴィは実験と称して数多の戦場に送られたが、それが責任者に露見して実験を行っていた科学者は解雇される、だが外部に情報が漏れることを危惧した資金を出していた者達によりその科学者たちは後に処分された。アヴィの戦闘データはアルファに実装もさる事になりアルファの性能がさらに上がったらしい


 その時に責任者によってアヴィは完全に解体されたが、自我を持てない高性能なAIを哀れんだ当時の責任者がそのAIに人格を埋め込むための実験をしていたが志半ばにして老衰により死亡した


「まぁその責任者ってのはこのライブラリさんなんだけどね、だからアヴィがその後どうなったのかはわからないのごめんね」


「ううん、仕方ないよ。それとなんでコンマがカギになってるの?」


「コンマの人格の元が私の祖母だからだよ」


「えーコンマっておばぁちゃんだったの」


 普段なら騒がしく反応するコンマだが今コンソールの上でライブラリと同期している為大人しい


「そうだよちょっと変わってたけど優しいおばぁちゃんだったよ、おばぁちゃんの生前に実験に協力してもらった時のデータが残ってんだよね、その後おばあちゃんが亡くなって寂しくなってAI作ったけどやっぱりおばぁちゃんじゃないと思って封印してたんだけど新しいコンセプトの機体を作った時に人格AI新たに作るのめんどくさくなって実装しちゃった」


 あっけらかんとライブラリは答える


 コンマの衝撃の過去?が語られた後に各々気になる事を質問していったがライブラリが死んだ後にどうやら何者かが破壊工作をしたらしくそれほど詳しい情報は出てこなかった、特にアルファとオメガとアヴィの性能について徹底的に破壊されていたらしい一通り質問を終えてコンマを取り外すとライブラリも消えた


 ライブラリはコンマを鍵にしているので通常の方法では出てこないらしい


「うぅーん慣れない事をすると疲れますね」


 取り外れたコンマは伸びをするような声だった


「コンマお疲れ様」


 コンマを労ってイドの体が置いてある場所へ帰ろうと歩いていた時だったコンマが皆を引き留める


「ライブラリに頼まれて取りに行かなきゃいけないものがあるんですけど寄り道していいですか?」


 コンマに連れられて向かったのは隠し倉庫のような場所だったそこに用意された箱をイドが待っている部屋へ持って行って欲しいとの事だった箱は縦2m横80cmほどの大きさだった、それを拙者とバイスが台車に乗せて押して運ぶ


 部屋に帰りその箱を開けると180cm程の男性型のアンドロイドだった


「バイスにライブラリから伝言です、バイスタンダーあなたそのまま消えるつもりでしょ150年もサボってたんだからこれからはここを管理しながら世界を傍観しなさい。だそうです」


「お母様にはバレてたのね、ありがとうお母様あなたの用意してくれた体は大切に使わせてもらいます、でもねお母様私女なのー」


 バイスの叫びが響き渡る中コンマがもう一つのカプセルを呼び出しその中にバイスの体になるアンドロイドを皆で入れる


「ねぇコンマ、ライブラリってAIじゃないって言ってたよね?」


「そうですね、ウチの孫は天才だったようで自分が作った子にに何かあった時様にメッセージをいくつかのパターン用意していたようです」


「おばぁちゃんは受け入れるんだ?」


「私はまだ3歳ですけどね」


 そんな話をしていると無事に体が戻って来たアンとイドは不思議な体験でしたと言っていた、そして新たな体を手に入れたバイスはその感覚を確かめるように柔軟をしていた


「それじゃぁここでお別れね」


「ありがとうまた来るね」


「お姉様、また来ますね」


「バイス、私達は姉弟の様な物だ、また顔をだすよ」


「あらアンはお姉様とは呼んでくれないのかしら」


 イケメンに作られたバイスにそう言われ最後までアンはバイスに揶揄われていた3人は最後に抱き合い再会を約束していた。バイスはここにこのまま残って施設の管理をしながら世界を見るとの事



 来た道を戻りバイクまで帰ると途中から口数が少なかった拙者だったがどうやら動き過ぎて言葉も出せないほどだった


 拙者を車に乗せてバイクに跨ろうとするとバイクに今時珍しい手書きで書かれたメッセージカードが置いてあったそこに書かれていたのは



《明日の夜の予定はいかがでしょう?少しお時間を戴けませんか?アクトリス》

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