25話 ピリオドはハメられる
周りでは慌ただしく人類解放連合の男が拘束されていく
アルファの足を見て言葉を失いそうになったピリオドだが気持ちを切り替えてアルファに声を掛ける
「がんばったね」
少し軽くなったアルファを抱きしめた
「うえーんごわがっだよぉぉぉ」
「よしよし」
安心したのかアルファは堰を切ったように泣き始めた
拘束した男を連行したアクトリアスがこちらに近づく
「二人ともありがとうございました、おかげで大きな被害も出ずに済みました」
頭をゆっくりと下げるアクトリアスだったがピリオドは両足を失ったアルファを見てこれが大きな被害でなくなんだと眉をしかめたがそれに気づいたアクトリアスが言う
「泣き虫さんは怖かっただけで足が無くなる事は大した被害じゃありませんよ、そうですよねアルファ?」
泣いてスッキリしたのか目に涙は残したままのアルファが答える
「せっかくピリオドに甘えてるんだから邪魔しないでよ」
そう言って膨れていた
「アルファ?足無くなったんだよ?」
「あぁそれは大丈夫、痛覚は切ってあるし時間はかかるけど修理できるし…」
急に沈黙したアルファは次の瞬間、絶叫した
「ああああああああああああああああああああああああああ…ライブどうしよう…」
アルファが叫んだ理由は足は修理できるが普通のアンドロイドではないのでスペアが無く修理に2週間程かかる為、次のライブは8日後で修理が間に合わないという事だった
「ピリオド…助けて…」
アルファの縋るような声と今の姿を見て思わずピリオドは頷いてしまった
「街を守って頂いたお礼も含めて修理費はこちらで持ちましょう、その姿では不便でしょうし代わりの足も用意しますよ他に何か出来ることはありますか?」
「ピリオドとの時間の邪魔をしない、ピリオドを手に入れようとしない」
「それは両方できませんよ、ウフフ」
「私抜きで私の話をしないで…」
その後はアルファの応急処置の為にアンドロイド用の病院に連れて行く、そこにはアクトリアスが用意していたホバー式の車椅子が用意されていた
どうやら特注品らしく速度は簡単に50キロほど出るようになっていた、小回りも利くようでそれに乗ったアルファは縦横無尽に乗り回して喜んでいた
簡単な処置をしてホテルに戻ると今後の事を話すはずだったが、アルファと一緒に第8ステーションに向かうまでは決まっていたがアルファが遊び始めたのでそこから先の事は現地で決める事にした
マスターにアルファの手伝いをするために帰るのがもう少し遅れるとメッセージを送ると拙者だけは先に帰せと言われたので拙者だけを帰す事になった
翌日にはアルファ負傷のニュースは世界中を駆け巡った、朝一でアルファは世界に発信するようのメッセージを撮る
「皆さん、ご心配をおかけしましたが今回は怪我人も被害もありませんでしたのでご心配なさらないでください。あっでも今回の事で尻餅をついて痣が出来た方にはお見舞い申し上げます。私は元気です、次のライブも内容は変更になりますが皆様に楽しんで頂けるのは間違いない内容になると思いますので是非いらしてくださいね」
そう言って世界に向けてメッセージを送った、そのメッセージを撮り終わった後にはでろーんと溶けたアルファが居た
「目の前に歌姫が居たはずなのに居なくなった」
「あんなのずっと続けてたら脱皮して中からエイリアンが出てくるよ」
「私の憧れた歌姫は幻想だったのか」
「ほほうピリオドさん私に憧れていたと」
「アルファには憧れてないよ、伝説の100年歌姫だよ」
「それ私、私」
「絶対に違う」
朝からドタバタと遊んだ二人は先に出る拙者を見送りに出た
「バイクの事よろしくね」
「任されたでござる、書かれていた住所に持っていけばいいでござるな」
バイクのメンテをしてもらうとアルファはおやじさんの住所が書かれたメモを拙者に送っていた
「うん、ありがとうメッセージは送っといたから持って行くだけで対応してくれると思うよ」
「了解した拙者も些事はすぐ終わらせてライブには合流するでござるよ」
「拙者くん楽しみにしてるといいよ最高のライブを見せてあげよう」
「そう言われると期待が高まるでござる、それではまた第8で」
拙者と別れた二人はラスベガスから一番近いランチリニアのあるコアケへ向かう列車に乗り込む
ランチリニアのある町は何処も栄えているようだ、こちらは主に宇宙で取った資源を集める場所らしく大きな倉庫と高層ビルが並んでいた
その街を見ることも無くランチリニアの発射場へ向かうとアルファの迎えと思われる人が待っていた
「お待ちしていました」
言葉は穏やかだがその額には青筋が立っていた
「ゲッ」
「ゲッっとはなんですか大丈夫というから自由にさせていたのがその結果が両足を無くすってどういうことですか」
その女性は怒ったと思うと泣き出す感情の激しい人だった
「まぁまぁマネ子ちゃん泣かないでいいよ」
「じゃぁ怒ればいいんですね、ほんっっっっとうに何考えてるんですか」
「どぅどぅ」
肩で息をしている女性を宥めるアルファが振り回されているのは珍しいと思うピリオドだった
「ピリオド紹介するね私のマネージャーのマネ子ちゃん」
「最初くらいちゃんと紹介してください、初めまして私はマリア・ネア・シェフラ・ヤコビーニ・コグットです。長いので皆さんにはマネ子と呼ばれています、よろしくお願い致します」
「初めましてピリオドです」
ピリオドは差し出された手を握り返す
マネ子はそのままもう一度同じ挨拶をコンマにする、コンマは沈黙したままだった
「あっごめんマネ子ちゃんにはコンマの事も話してる、ピリオドの事もほとんど知ってるよ」
するとコンマが今までの無反応が嘘のようにメッセージを表示しはじめた
《アルファ先輩、先に言ってくださいよ無視しちゃったじゃないですか、私感じ悪い人みたいになりましたよ。マリア・ネア・シェフラ・ヤコビーニ・コグットさん初めましてコンマです》
「感じ悪いとは思ってないですよ事情は聞いていますのでむしろ好感がもてますよ。それとフルネームでありがとうございます、でもマネ子でいいですよ」
《ありがとうございます、人の名前もちゃんと覚えれない失礼な先輩達とは違うという意味でもフルネームでお呼びしましたがこれからはマネ子ちゃんと呼ばせてもらいますね》
自己紹介をしていると時間になりランチリニアに乗り込む。ランチリニアには大きな個室が用意されていたそこに皆で入る
「これからの事を説明させてもらいますね」
そう言ってマネ子はこれからの事を説明してくれる。第8ステーションに着き次第ライブの準備、その間アルファは色々な番組への出演、コンマは演出、ピリオドは歌と踊りの選曲とレッスン
「ピリオドさんは少し忙しくなると思いますがよろしくお願いします」
「はい、手伝える事はがんばります」
そこでクスッと笑うアルファが気になったがその後はマネ子がコンマに耳打ちすると意気投合したのかライブの打ち合わせを始めた
そして第8ステーションに着くと休む暇もなくレッスン場所に連れてこられた
まずは最初の1曲を選曲して踊ろうとした時にピリオドはその立ち位置に疑問を抱く
「なんで私の立ち位置が真ん中なの?」
「それはピリオドが主役だからねぇ」
「今回はピリオドさんが主役をしてくれると言う事なので話題性も抜群のライブになると思います」
ニコニコしてアルファとマネ子は答えた
「主役?手伝いはするって言ったけど主役なんてやるつもりは…」
「MCの主役は私、歌と踊りの主役はピリオド、ほらお手伝いに違いはないよ」
「私はアルファが歌ってそのバックダンサーでもするのかと、それにアルファのファンは納得してくれるの?」
「バックダンサーだけなんてそんなもったいない使い方するわけないでしょ、今回のコンセプトは私と一緒に私の推しを見ようだからね、前回一緒に出たし行けると思うよ」
「新しい試みですけど私もいけると思います」
「いつからそんな企画になったの」
「昨日の夜だったよね?」
「はい昨日の夜でしたね」
二人はとてもいい笑顔でピリオドを見ていた
「ハメられた…」
それからのピリオドは怒涛の忙しさになった。踊りと歌を覚えそれをアルファレベルまで持って行く事になったのだから




