2話 襲撃とおやじさん
18:00ピリオドは特に用事がなければこの時間に起きることが多い
起きて顔を洗い食事の買い物にでかける
有機アンドロイドはエネルギーをスリープポッドと食料から接種して初めて動ける。食事は専用の錠剤もある、有機アンドロイドを家族として扱う人の為に一緒に食事もできるようにと普通の食事から接種することも可能だった
ピリオドは主に料理派だった。自分で料理をするのが好きなのと錠剤が苦手だからだ、といっても料理のレパートリーは少ない作る物は卵料理が多かった
食事が終わると仕事に行くかあてもなくドライブをする事が日課だ
一人で家に居ると考えなくてもいい事まで考えてしまう、ピリオドは3年より前の記憶が無い
誰かに消去されたのだろう、自分は何者かそんな事を考えてしまう。アンドロイドのピリオドは消された記憶を思い出すことは基本できない。誰が何の為にそれを考えてしうまうのが嫌だった
今日は食事も終わり仕事もないのでドライブをする時刻は21時少し車も減って来たところだ特に目的もなく目についた案内表示の気が向いた所へいく
何処へ行こうがコンマがナビとリンクしているので迷子になる心配もない
今回は街から少しはずれて海沿いの道をゆっくりと海を眺めながら走っていたセミオートドライブなので前を見ていなくても問題はないどちらに曲がるかそれだけを支持するだけ
ぼーっと流れる海を見ながらドライブをしていると海の中に緑に光る物を見つけた
「コンマまずい久しぶりの襲撃かも」
緑に光る物が海面から浮上する。長細い四角で若干丸みを帯びている前方と思われる所はカモノハシ状だ大きさは軽バンくらい、こちらを発見すると水面を掻き分け浮上してくると両側のハッチを開けて小さい物を射出してくる
「軍用のクイーンとワーカーだ今回も振り切ってやるよコンマジャミングお願い」
射出されたのはハチ型をしている子機が10機、その指令機として二回り大きな物が通称クイーン
「セミオートドライブカラマニュアルドライブへ移行、当機ハジャミングヲ開始スル」
ピリオドは2速までギアを下げて3秒で時速350キロまで加速していくがワーカーは難なく着いて来る
「足が速くなってる…」
一定の距離まで近寄るとワーカーから弾丸が発射される
「なめられてる?今時そんな時代遅れの兵器で落とせるのは虫くらいだよ」
この時代、一般車ですら飛び石対策の為に運動エネルギー相殺フィールドが搭載されているので旧時代の兵器は一切効かない、安全対策の為に車道と歩道の間にもこのフィールドはあった
「ウィルスノ侵入ヲ確認、処理ニ30秒、クイーンニ依然トパターンノ変化アリ、ジャミング完了マデ3分」
「ウィルスとはまた基本に戻ってきたね…3分あれば追いつかれるかも、仕方ない迎撃するか」
ピリオドが迎撃の意思を決めた瞬間ワーカーはレーザー兵器を発射してくる
「また旧時代の兵器?とりあえずダメ元で試してるの?」
レーザーはチャフで簡単に相殺できるがチャフ1発の高額だった
「1か月分のご飯代がー」
そう叫びながらピリオドはチャフを3発巻く
「コンマ信号が赤ー」
「ウィルスの除去完了、ジャミング中ノ為道路ヘノハッキング処理ハ停止中」
こちらの信号が赤ならば当然青の信号があるわけでそこからトラックが交差点へ侵入してくる
「コンマ先にフィールドへの干渉ジャミングは後回し」
「リョ」
短く返事をするコンマはピリオドの命令通りトラックの運動エネルギー相殺フィールドへ干渉する、このままトラックへ突っ込んでしまえばそこで速度は失われ追いつかれてしまう
「もうやだー」
ピリオドが嘆いていたのはバイクに傷が付く事だった塗装は剥げるし無理をさせる分何処かへダメージが入るかもしれない
叫びながらピリオドは浮いているトラックの寸前でバイクを寝かせてトラックの下へバイクを滑り込ませるようにするとトラックの少し前で体をバイクから離し両足と片腕を道路に接触させて無理矢理ブレーキを掛けてトラックの下をバイクだけを通過させて腕力でバイクを無理矢理180度ターンさせる、無理な態勢で道路とバイクが接触して塗装が剥げる、バイクを立てして飛び乗ったピリオドは泣きながらクイーンとワーカーに突っ込んで行く
クイーンとワーカーに対峙したピリオドはバイクを真っすぐ走らせながらすれ違う前にバイクから飛びワーカーを叩き落としていく。ワーカーも反撃はするが対面に味方機がいるため安全装置が働き弾丸は使えずレーザーもチャフの影響で拡散する、残りは近接攻撃用の電撃だけだが有機アンドロイドであるピリオドは電気を通さない仕組みになっているのでそれも効果はなかった
すれ違いの一瞬で6機落としたピリオドはバイクへ着地してまたすぐに180度ターンをすると同じ要領で今度は残りのワーカーを叩き落とし最後に残ったクイーンを捕まえる
「どこのどいつだー」
クイーンのカメラに向かいピリオドはそう叫ぶとバイクを止めてカモノハシの輸送機に向かい跳躍する
カモノハシに着地したピリオドはクイーンをグローブ変わりにしてカモノハシにその拳を叩きつける
「お返しします二度と来ないで!」
カモノハシとクイーンはそのまま粉々に爆発する、爆風で舞い上がった海水に濡れながらその勢いを利用してピリオドはコンマの待つ海岸沿いへ戻る
「メッセージハ通信妨害ノ為送信サレマセン」
「知ってる文句を言いたくなっただけ」
爆風で脱げたフードを深く被り直しながら呟くがそのフードは海水でベタベタになっていた
「もうっ!」
仕方なくフードを脱いで海岸沿いを帰路へ着くがその途中でパキッっと音がする
「車体ニ異常ヲ検知」
ピリオドは路肩にバイクを止めて見回すとバイクに無理をさせ過ぎた反動でフロントフォークとリアカウルにヒビが入ったようだった
「あぁ…おやじさんに怒られる…」
がっくりと肩を落としピリオドはその後優しく運転しながら街へ帰って行くのだった
街へ帰るとピリオドは自宅へ向かわずに真っ先にバイクのメンテをしてくれるオヤジさんの所へ行く
時間は24時も近くなって来た所だがこのバイクショップは個人経営で夜向けに店をしているために営業時間が20時~翌日の朝6時店主の気分で多少前後だった
騒音対策の為に遮音フィールドが敷地内にかかってはいるが敷地に入ればオヤジさんが今日も何やらバイクをいじっていた
「ごめんください」
ピリオドは消え入りそうな声で工場の中を覗く、夢中で作業をしているのかピリオドの声は無視された
そのままピリオドは中へ入りおやじさんの側までいくと
「おやじさん…」
「うおっ!!くったぁ」
驚いて肩を少し震わせている、オヤジとは言っても30代前半だ外見はもっさりはしていてヒョッロしているので20代中盤と言われても違和感はない。自分のショップを持った時にオヤジさんと呼ばれる事に憧れがあったらしく常連にはそう呼ばせている
「嬢ちゃんかどうした何か不調でもあったか?」
ピリオドは少し間を置いて
「ヒビが入った」
そう言って自分のバイクを指す
おやじさんはピリオドのバイクのリアカウルを見る
「珍しい擦ったのか?」
「そこだけじゃないこっちも」
おやじさんの視線がリアカウルしか見てない事を悟ったピリオドはフロントフォークを見せた
「はぁぁ?はああああああああああああああああ?」
おやじさんの溜息が叫びにないっていった
「ちょっとまてこいつはフェムトファイバーと疑似パスタ鋼の合金だぞなんでそれにヒビなんて入ってるんだ!」
「襲撃されたから」
「それならさっさと逃げりゃいいじゃねぇかその為にコイツをやったんだ」
「追いつかれそうになったから…」
ピリオドの声はもう聞こえるかどうかというほど小さくなっていた
「そうか追いつかれそうに…あああああああああああああああ?」
おやじさんは最初は静かにそして後半は怒号のような叫びをあげた。その後深呼吸をしてピリオドを椅子に案内して静かに話を聞く
「そうか、玉っころそん時の映像出せるか?」
コンマはピリオドが頷いたのを確認して襲撃時の主にチェイスをしていた時の映像を出す
その映像には速度の表示もされていた。3秒で350キロ5秒で640キロ最終的には820キロと表示が出ていた
「設計上は780MAXだったはずだが流石俺だ820まで出てるじゃねぇか!」
速度を見て喜ぶおやじさんだったが、徐々に近づくワーカーを見て拳を握る
「くそっ!初速は勝ってるが中盤以降追いつかれちまってる」
それから一人でぶつぶつと考え始めた
「おやじさん直る?」
「嬢ちゃんまだいたのか直っても前と性能は変わらねぇ。いろいろ手を入れてみる今度はぶっちぎれるようにな!それまでの足にそこにあるやつでも使ってくれ」
オヤジさんが指したのはスクーターだった
それだけ指示するとオヤジさんはもうモニターの前で改良を案を打ち込んでいるようだった。こうなると話は聞いてもらえないので言われた通りにスクーターを借りて帰る
生活と襲撃に対抗する為に背に腹は代えられないしかもああなったおやじさんをピリオドには止められないピリオドは後日渡されるであろう請求書に想い馳せて特大の溜息を吐いた
※運動エネルギー相殺フィールド
目に見えないガードレールだと思ってください
推進力があるものならば貫通します
銃弾はどれだけ威力があっても貫通はしませんがミサイルなら貫通します
パンチは貫通しますが普通の人なら水を殴ったような重さがかかります
クイーン・ワーカーにも同様の物はついていますがそれを貫通する威力で殴ってます
車等はフィールドに当たった瞬間に安全装置が働いて推進力がOFFになる用設計されているので貫通することはありません
※フェムトファイバー
カーボンナノチューブの4世代後の物。2022年現在は見ることも出来ない細さ。もちろん架空の物
※疑似パスタ鋼
核パスタを参考に作った鉱石 硬度的には核パスタの100万分の1 鉄の1万倍の硬度 もちろん架空




